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ディメンシアの儀式 中編 ~シル公爵の最後~

 
 シル公爵を退治するために、公爵の寝室へと突入した。
 しかし、そこで死んでいたのは、公爵の影武者だった。
 シル公爵は、いずこかに潜んで奇襲作戦を企てているに違いないのだ。
 そうなると、表で敵を引き付けている緑娘が危ない!
 
 

「大丈夫――だな(。-`ω´-)」
「どうしたの?」
「なんでもなかとですばい」
 
 すぐに奇襲をかけられたわけではなく、緑娘は二人のダークセデューサーを始末していたのだった。
 マズケンだかマツケンだか永命の者だか知らんが、緑娘の敵ではなかったようだな。
 
「それよりも、シルのばばあは始末したのかしら?」
「それがかくかくしかじかなんだよ」
 
 キスランの話では、庭にある隠し通路を通って逃げたということだ。
 ということは、どこかに怪しげな場所があるはずだ。
 

「う~ん、庭をぐるりと回ってみたが、ここにだけ石像があるな」
「動かしてみなさいよ」
 
 緑娘に言われるまでもなく、石像を押して引いて回して――
 

「ほぉ、秘密の隠し通路か。用意周到だな、さすがシル公爵と言ったところか」
「たぶん奥に大きな門があるわ。二人分の返り血を浴びてないと、門は閉ざされ先に進めないの」
「なんやそれ」
 
 とにかくこの隠し通路に入って、シル公爵を見つけ出さねばな。
 

「ふむ、ネクロゴンド系の通路か」
「床に骨が散らばっているから、罠の確認もしといてね」
 
 突然床がせりあがって、天井で圧死されるような仕掛けは無さそうだ。
 

「おっと危ない!」
「あら、守ってくれたのね。ぽっ」
「何がぽっだ、そんなキャラじゃないくせに」
「あら、守ってくれたのね。ぼぇーっ」
「気色の悪い変な声を出すな、ぼぇーっ」
 
 馬鹿な事やってないで先に進むぞ。
 どうやらこの通路の先には、ハンガーみたいな石像があって、その口から火の玉を吐き出しているみたいなのだ。
 

 もっとも、端を歩けば全然影響ないし、犬のチロジャルに至っては、高さが届いていないのでそもそも当たらない。
 ぼんやりさんな人間の冒険者を、餌食にする場所なのだ。
 
 火の玉の罠を通り抜けた先は、サイラーンの砦内部のような場所だった。
 

 シル公爵を護衛するマズケンが、俺たちの侵入を阻止しようと待ち構えている。
 こいつらを始末せずに進めば、俺がディメンシア公爵になった時に味方になると思うが、シル公爵に時間を与えないためにも、ここは一気に切り抜ける。
 

 ファイアーボール!
 だが、ただのファイアーボールではないぞ。
 

 メガ・ファイアーボール!
 部屋の中に居た者は、一瞬で黒焦げになってしまうのであった。
 
「身も蓋もない技ね」
「敵の数が多くて距離があれば、これほど便利な技はないぞ」
「ふーんだっ」
 
 何が不満なのかわからんが、緑娘はそっぽを向く。
 今更つんつんしても可愛くないぞ、と。
 むしろ俺は、つんつんされるのは苦手だ。
 どっちかと言えば、アリーレさんのような――っと、なんでもないよ、なんでもないよ。
 

 同じ部屋でメガ・ファイアーボールを使うと自爆するので、近接戦闘になった場合は二人で協力して退治する。
 この部屋は何かの宴会をするような円形の部屋だが、すでに破棄された後か、机や椅子が散らばっていてごちゃごちゃだ。
 

 しかも、先へ進む扉はガラクタで塞がれていた。
 敵の侵入を阻止しているな、シル公爵め。
 
「ねぇあなたー、面白いもの見つけたよ」
「今は遊んでいる暇はないんだがのぉ」
 

「じゃあこれはあたしが動かす」
 
 緑娘が見つけたのは、この世界にある遺跡でよく見かけてきたボタンだった。
 これを押すことで、穴が開いたり壁が開いたりしたものだ。
 ゼディリアンでは、冒険者を混乱させる仕掛けを動かしたね。
 
「罠かもしれんぞ、俺が押す」
「だめ!」
 

「それじゃ今週の目玉~♪ ポチッとな!」
「なんやそれ」
 
 しかし、緑娘がボタンを押すと、すぐそばの壁が開いて、新たな道が生まれたのであった。
 おそらくシル公爵は、この通路を使って奥へと逃げ込んだのだろう。
 
 

「ちょっと! 邪魔しないでよ!」
「無駄な時間は省くことにしたのだ(。-`ω´-)」
 
 緑娘が弓矢を取り出した時は、遠慮なく割り込んで全力の一撃を敵に放つのだ。
 この距離でも、緑娘の矢は当たらない。
 
 
 そんな感じに、所々で待ち構えているマズケン、ダーク・セデューサーを始末しながら、砦の奥へと進んでいくのであった。
 そして一番奥らしき場所で、シル公爵を発見したのだ。
 

「来ましたね、この裏切り者め!」
「そうであるような、ないような。まぁいろいろありまして、あなたにはここで永遠に眠ってもらいましょう」
「そう思い通りにさせるとお思い?」
 

「まあ待ちなさい。あたしが相手よ、ラムリーザには指一本触れさせないわ」
「何このいやらしい格好した娘は。あなたたちやってやりなさい」
「はい、公爵様」
 

 こうして、緑娘は二人のダーク・セデューサーを相手にし、俺はシル公爵と一騎打ちという図式になった。
 いや、チロジャルがあっちこっちうろうろしているけどね。
 陽動作戦になっているのかどうかわからんが、公爵は巨大なハンマーを振り回して俺に襲い掛かってきた。
 ちなみに緑娘は、針付きの足を振り回して、マズケンを蹴散らしている。
 
「これでお前も終わりよ、食らえオゾンビート!」
「公爵の時代は終わったのだ、活殺破邪法!」
 

 
 …………(。-`ω´-)
 
 俺とシル公爵の渾身の一撃は、どちらも空振りに終わった……
 
 やはり、体術ではなく魔術で一気にけりをつけるべきだったか?
 ちなみにチロジャルも、盛大に空振りをかましていたりする。
 

「ラムリーザよ、私はあなたを信用して最高尋問官に任命したし、ディメンシアの廷臣に銘じたのに!」
「その件では、公爵には感謝しかありません。しかしこれは、シェオゴラスに命じられたことなのだよ」
「なんですって?! あなたは狂神の使い?! そんな、なぜそんなことに……」
「今、戦慄の島は変わろうとしているのですよ。あなたに求めることは、時代――」
 

「――の変化を認めて頂くことで――」
 

「す。シル公爵殿――ってなんや!?」
 
 親玉同士の舌戦中だろうが、空気読めよ緑娘!
 
「言ったでしょう、あなたには指一本触れさせないって」
「全くせっかちな、いい感じに冥土の土産を聞かせてやれたのに」
「そんなのあたしが聞かせてあげるわ。お帰りなさいませ、旦那様」
「なんか意味を取り違えてないかそれ?」
「ほら、心臓が必要なのでしょ? 取っちゃいなさいよ」
 

「ほんとせっかちな。頭せっかちな性格だな」
「何よ、シル公爵のおっぱい触って、嫌らしい」
「心臓抜き取るのだから仕方ないだろうが、だったらお前が抜き取ってくれよ」
「嫌よ、気持ち悪い。そんなの、モラ・ラムの仕事よ」
「誰だよそれは……(。-`ω´-)」
 
 針で踏み刺すのは平気なのに、心臓抜き出すのは嫌なのな。
 
 こうしてシル公爵は死に、その心臓は俺の手によって奪われたのであった。
 いかにもディメンシア的な出来事。
 しかし、戦慄の島のまずは半分を手に入れるために、仕方ないことだ。
 
 逆に考えると、ディメンシア公爵になるということは、いつかまた誰かが、公爵の心臓を狙ってやってくるかわからないのだ。
 その時は、返り討ちにしてやろうではないか。
 

「ちなみに、シル公爵の持っていたナーブシャターってハンマーを頂戴したわけだが、どうだ?」
「突然変異で人体みたいになったウズムシの口みたい」
「なんやそれ……(。-`ω´-)」
 
 相変わらず、意味不明なレビューしてくれる娘だこと。
 
 
 続く――
 
 
 
 
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©発行年-2021 らむのゲーム日記