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継承の儀式 前編 ~公爵の跡継ぎ?~

 
 アグノンの炎をニュー・シェオスに持ち帰り、マニア側に賛同して偉大なるかがり火を復活させた。
 これでニュー・シェオスは再び輝きを取り戻したわけだが、サセラム・アルデン=スルの教会に、突如シェオゴラスが現れたのであった。
 

 神出鬼没の狂気じじい、いつの間に現れたのだろうか?
 
「良い滑り出しだな! こいつは重要だぞ、わしにとってな。多大な時間を節約できたのじゃ」
「時間の節約しはなにか?」
「グレイマーチは近いのだ!」
 
 いまいち要領を得ないな。
 元々このじじいとの会話は、うまくキャッチボールができないのが難点なのだけどね。
 グレイマーチという秩序化が始まっていて、オーダーの軍勢が王国を蹂躙するらしいのだ。
 オーダーと言えば、オベリスクに変化が表れていて、オーダーの騎士が暴れていたっけな。
 あれがグレイマーチの一環だというのだろうか?
 そしてグレイマーチが発生するたびに王国は壊れ、時代ごとに作りなおさなければならないというのだ。
 
「お前が変えるのだ。この循環を破壊するのだ。お前がジャガラクを阻止し、わしは王国をあるべき姿に戻す。前例はまるでないがな」
「循環の破壊? そんなことが可能なのか?」
「斬新なアイデアを思い付いたんじゃ! 考えつくまでは、これまでに考えつかなかった策で、失敗しなければ、間違いなく成功する!」
「そりゃそうでしょうよ」
 
 独特な言い回しだな、俺も独特なことを述べてみようか。
 例えば――、俺は今日サイラークの砦に行ってきたので、アグノンの炎はサイラークの砦に行って入手してきました。
 こんな感じか?
 
「で、次は何をすればよいのかな?」
 
 いろいろ考えていても仕方がないので、話を先に進める。
 全部指示待ちみたいになっているが、このじじいが何を考えているのかよくわからんから仕方がない。
 自分で考えてできることと言えば、オベリスクの起動を止めるぐらいのことだ。
 
「次は、民の尊敬を勝ち取れ」
「偉大なるかがり火を復活させたことでは足りませんか?」
「足りんなぁ。わしが去った後、尊敬すべきリーダーが必要だからな。いかなる大国でも、背骨となるのは民じゃ」
「人は城、人は石垣、人は堀ですか? ――というか、去るんだ」
 
 これって、実質上俺の乗っ取り公認ってことでいいのか?
 緑娘の思惑通りに事が進みすぎて怖いのだが……
 しかし二度と不覚は取らぬ。
 さしずめオーダーの騎士とやらに注意しておくに越したことはない。
 グラマイトとかに寝首を掻かれるのであれば、さすがに諦めるが……
 
「お前は狂気の宮殿における、片方を支配せよ。今の公爵か、女公爵に代わってな」
「俺に公爵になれと?」
「左様。ただしどちらでもよい。そうすれば、尊敬を得られよう! 民衆はお前の周りに集まるだろう」
 
 この時俺は、アルゴニアンがにーにー叫びながら駆け寄ってくる姿を想像してしまった。
 怖いよー。
 何気に一番印象に残っている住民が彼女なのも、また怖いよー。
 
「でもそんなことしたら、今の公爵らが怒ると思いますよ。だってあの二人は――」
 
 ――と言いかけて黙っておく。
 別に誰と誰が付き合っても、文句は言われる筋合いはない。
 例えば俺が例のアルゴニーニーアンと付き合ったら――、緑娘が文句言うわなw
 
「うーむ、そうかもしれん。だが、卵も割らんといかん時もある。あるいは頭蓋骨をな。島にもしきたりがあるし、儀礼もある。あの二人には悪いが、その二つには従ってもらわねばならぬ」
「んじゃセイドンを蹴落として――」
「サセラム・アルデン=スルの高司祭である、アークタスとダーヴェニンから話を聞くのじゃ。お前がやるべきことを、教えてくれるだろう」
 
 それだけ告げると、シェオゴラスのじじいはわしゃわしゃ笑いながら、礼拝堂の奥へと向かっていったのである。
 
 さて、島の覇権へ向けての第一歩として、まずはマニアかディメンシア、どちらかの公爵の跡継ぎになるよう命じられた。
 じじいが言うには、二人の司祭から話を聞けと言うが――
 

 とりあえず、近くに居たディメンシア側の司祭、アークタスから伺ってみよう。
 
「あなたの判断には失望しました!」
「それはすまんかったということで、公爵の交代について聞きたいのだが?」
「それは珍しいことをおっしゃる。よろしい。炎のことは水に流して、喜んでお話致しましょう」
 
 アークタスから聞いたディメンシア公爵の交代については、継承の儀式というアルデン=スルという者が定めた特別な通過儀礼が必要だと言う。
 それははるか昔、アルデン=スルが身の回りでの裏切りを疑った時のこと。
 その刃で斬られることを望まなかった彼は、信者をこの礼拝堂に集めたのだ。
 そして聖餐のワインに毒を盛ることで、陰謀の根を一挙に摘もうとしたのである。
 
「それって、疑わしきを全て罰したと?」
「その通り。そしてあの方は、真意を測るために各人の死体から心臓を取り出したのです。それを占臓術として知られる古の占術に使ったのだ」
「それで、その結果は?」
「彼らの心臓から裏切りの兆候を見出すことができなかったので、アルデン=スル様は錯乱し、同じ方法で自らの命を絶ったのです」
「…………(。-`ω´-)」
 
 この羅刹的なところが、ディメンシアの一面をよく物語っている。
 物理的に命を弄ぶ、どうにも好きになれないのだ。
 狂った者は場合によっては治せるかもしれないが、命を失ったものは――
 
「その日以来、ディメンシアの公爵位を継ぐための、継承の儀式が定められたのです」
「で、何をしろと? 俺の心臓を差し出せと?」
「惜しい! 生粋のディメンテッドのような口ぶりのように聞こえるぐらい惜しい! 惜し過ぎて私の心臓を差し出したくなるぐらいだ!」
「差し出してみろよ。ほれ、差し出してみろ」
「おほんっ。ディメンシアの統治者となるなら、現在の指導者の心臓を切り出して、この礼拝堂にある祭壇まで持ってくるのです」
「極めて乱暴すぎるぞ!」
 
 つまり、シル公爵を殺して、力づくで強引に簒奪しろってことなのだ。
 いよいよディメンシアですなぁ……。
 
「それが終わると、私は心臓の持参人を公爵に指名します。そうすれば、我らが主シェオゴラス様も承認してくれるでしょう」
「安心しろ。そんな野蛮なことはできない」
 
 
 やっぱりマニアとディメンシア、どちらかを選べと言われたらマニアだね。
 さすがにちょっと乱暴すぎると思う。
 
 

 さて、頼みの綱、マニアの儀式を聞こうではないか。
 マニア側の司祭、ダーヴェニンの話では、こちら側の継承の儀式は以下の通りだ。
 
 アルデン=スルは、この地で最も偉大な公爵であった。
 同胞への愛を表現するために、日々酒やダンス、酒池肉林の宴会を開くことに明け暮れていたという。
 サングインみたいな奴だな、やっぱりこっちの微妙!
 そもそも狂気の世界というぐらいだから、どこかに妥協点を見出すしかないのだ。
 
 その宴会では、グリーンモートという物が湯水のごとく振舞われ、参加者はみな踊り狂ったのだという。
 
「ま、楽しそうでいいんじゃないかな?」
「えー、その通りなのだが……。宴が最高潮に達した時、人々は突然胸をかきむしり、心臓が破裂したのだぁっ!」
「…………(。-`ω´-)」
 
 ダメだこりゃ……
 どっちもどっちじゃないか……
 
「これぞ悪名高き、グリーンモートの副作用なのです! 彼らの冷たくなった身体から流れ出た赤き水により、大地は真紅に染まったのだ!」
「で、何をしろと? 俺もグリーンモートを口にせよと?」
「惜しい! 反転の杯でグリーンモートを摂取したくなるぐらい惜しい! 惜し過ぎて、宴会場ですっぽんぽんになりたいぐらいだ!」
「死ね、このサングイン野郎め……(。-`ω´-)」
 
 ダーヴェニンの話では、継承の儀式ではこの夜の再現をしなければならないのだと言う。
 マニアの統治者が替わる際、前公爵はグリーンモートを摂取し、新公爵がその生き血を祭壇に注がなければならないのだ。
 そのために大宴会を開いてセイドンにそれを三杯飲ませる。その結果彼の心臓は破裂するので、その遺体から流れ出た血をこの礼拝堂にある祭壇に捧げるのだとさ。
 
 つまり、セイドン公爵を謀殺しろというのだ。
 なんだかこっちの方が陰湿――いや、大宴会だから楽しい――のか?
 
「それが終わると、私は後継者を新公爵として宣言します。そうすれば、我らが主シェオゴラス様も承認してくれるでしょう」
「安心しろ。そんなサングインなことはできない」
 
 
 あれれ?
 どっちも前公爵は死んでしまうぞ?
 これはアレか?
 残された方の公爵に恨まれる流れで、結局双方始末しなければならなくなるのか?
 
 

 しかし、島の覇権へ向けての第一歩を踏み出すには、どちらかを選択するしかない。
 そうなると、消去法というよりこの流れを続けるということで、マニア公爵の道を選んでおこう。
 それに、シル公爵とセイドン公爵では、後者の方が御しやすい。
 心臓を抉り出すよりは、勝手に破裂してくれた方がやりやすい――と思うからな。
 
 それではシェオゴラスのじじいに、マニア側につくと宣言して――
 

「ちょっと待ってくれないかしら?」
「なんぞ?」
 
 決意した俺を、緑娘は引き留めるのであった。
 
 
 
 
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