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継承の儀式 後編 ~緑娘の策略とか、珍品博物館とか~

 
 シェオゴラスの命で、マニアがディメンシア、どちらかの公爵を引き継げという話になった。
 二人の司祭からそれぞれ継承の儀式について尋ねた後、俺はかねてからの計画通り、マニア公爵を継承することにした。
 継承の儀式的に、心臓をえぐり出すより、勝手に破裂させて返り血を浴びる方がマシだ。
 それに、ディメンシアのシル公爵よりも、マニアのセイドン公爵の方が御しやすいと思うからね。
 
 そこで、そのことをシェオゴラスに告げようとした時、突然緑娘が俺の行動を止めてきたのだ。
 どうした?
 公爵を継ぐのは反対か?
 島の覇権に向けての第一歩になるのだぞ?
 

「ちょっと待ってくれないかしら?」
「なんぞ?」
「ここでは言えないわ。そうねぇ、クルーシブルへ」
「ま、ええけど?」
 
 なんだろうね?
 そういえば少し前に「良い方法が浮かんだ」とか言ってたっけ?
 あの時は「今はあなたの思うとおりに動いて頂戴」で、その時が来れば話すと言ってた気がする。
 今が緑娘の言うその時なのか?
 
 

 サセラム・アルデン=スルの教会からクルーシブル地区へと出ると、そろそろたぶん日も暮れていた。
 ディメンシアの空はわかりにくいので、なんとなく薄暗かったら夜だと判断するしかないのだ。
 
「それで、言いたいこととは何か? ずっと好きでした、か?」
「それも嘘にはならないけど、もうやったわ。それよりも、せっかくここに来たから、珍品を届けてきたらどうかしら?」
「ん、そうだな。荷物になってるし」
 
 そんなわけで、まずは珍品博物館のウナに会いに行った。
 
 
「聞きましたよ。けばけばしいマニアの光でクルーシブルを汚すなど、なんてことをしてくれたの!」
「はっはっはっ、ばれてしまったか。それよりも、友愛のダガーは珍品ですか?」
「全くあなたは……。あっ、でも珍品は歓迎よ。これは最高に奇妙ね! 人を癒す短剣だわ。誰が何の理由で作ったのかしらね?」
「マウンテン・ピジョーンって言う、友愛大好きな変わり者よ」
 
 ウナの問いに答えたのは、緑娘であった。
 誰だよそいつは……(。-`ω´-)
 
「そうなのね。それで、マウンテン・ピジョーンの後継者で、最も無責任なのは誰?」
「チョク・トッカン、お前だぁー!」
 
 頼むから、勝手に二人で盛り上がらんでくれ。
 理解できない俺が狂っているのか、お前らが狂っているのかわからんじゃないか。
 

「ほら、博物館に加わったばかりのお気に入り。切った者を癒す短剣、なんて愉快な珍品なのでしょう!」
「次、サロニア・ヴィリアの頭蓋骨は?」
「誰ですかそれは? 珍しくもなんともない。ケロニアでしたら珍しい植物なので、ぜひとも飾りたいのですが……」
「あ、これは自殺者の丘行きだった。えーとそれじゃ、叫びの無口、かな?」
「まあかわいい! 見てごらん、叫んでも音が出ない。まさに無言で叫ぶ口よ。これは博物館にうってつけ!」
「集合! ってひそひそと叫んでみればよかろう」
 

「ごらんなさい、これが好きなのよ。叫べない叫びの口!」
「矛盾って言葉を知っていますか?」
「そう、矛盾。これ以上ないほどの珍品でしょう?!」
「まぁ、そうとも取れる……(。-`ω´-)」
 
 
 そんな感じに、ここまでの冒険で手に入れた、なんだかよくわからないものをウナに寄贈したのであった。
 これで錬金素材も珍品も無くなった。
 また新たに探し出したり集めたりする旅に出なければならんな。
 
 

 たぶんもう夜なので、今日は元気になったはずのバーニスの宿に泊まることにした。
 
「ややっ、あなたは! マニアの光を灯すなんて、なんてことしてくれたのですかっ!」
「おーおー、元気なバーニスになっとるなっとる。やっぱりあれは本物の奇跡の水だったな。ま、それはすまんこってすということで、宿取らせて」
「あなたには最高のお部屋を充てます! なんてたって、私の命の恩人ですからね!」
「わかったから、いちいち叫ぶな」
 
 やれやれ、病弱バーニスが、しゃかりきバーニスになってしまった。
 ゾンビ犬が再生するような水だ。
 普通の人が飲むと、こんなになってしまうんだね。
 
「ところで!」
「ゲートキーパー禁止」
「……どうしてセイドンはあんな聖杯から飲めるんでしょう?! それに付いてる細菌のことわかってるのかしら!」
「知らんわこの潔癖症しゃかりきおばさんが!」
 
 
 というわけで、以前泊ったことのある部屋に直行だ。
 

「ねっ、こっちの人は激おこぷんぷん丸でしょう?」
「なんやそれ」
「ここであなたは、あえてディメンシア側の公爵の後継者になるのよ」
「わざわざ嫌われている方に?」
「これで借りは返せるわ。それに、マニア側は炎を灯してあげたから貸しがある。これで両方のバランスがよくなるのよ」
 
 なるほどね、緑娘の策も一理ある。
 片方に思いっきり嫌われるという潔さもよいが、バランスが取れるならそれに越したことは無い。
 ブリスとクルーシブルが敵同士だと、一貫してどちらかに肩入れすべきだが、本来ならばどちらも戦慄の島の住民だからな。
 最終的に全てを統率するのであれば、どちらかを切り捨てるなどと考えてはならないのだ。

「しかしシルよりセイドンの方が御しやすいぞ」
「だからこそよ。どうせどちらかを始末したら、もう片方には恨まれるわ」
「そうなるわな。シェオゴラスもそれは仕方ないと言っていたし」
「だからシルのババアを始末するのよ。御しやすいお調子者のセイドンを残した方が、後々楽よ」
 
 こいつ、軍師というか参謀長というか、そんなのだったのか。
 自らの野望のみに任せて俺を焚きつけているだけかと思いきや、冷静に状況分析しているぞ。
 御しやすい方を始末するではなくて、御しやすい方を残す、か。
 そこは俺も思いつかなかった。
 確かにシルの逆襲は不気味だが、セイドンの逆襲はどうにでもなりそうな気がする。
 装備のレビューは意味不明だが、作戦参謀としては一流なのかもしれん。
 
「だから、明日はディメンシアに付くって、じじいに言ってやるのよ」
「わかった、そうしよう」
「それじゃあ、おいであなた」
「チロジャルが見ているぞ」
「チロジャルもおいで」
「なんやそれ?」
 
 まさかバターを(ry
 
 
 
 
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