home > 投稿 > > シェイディンハル地方にて ~かつての聖域~

シェイディンハル地方にて ~かつての聖域~

 
 シェイディンハル――
 この街には、かつて闇の一党の聖域があった。
 
 緑娘ソニアの仇討ちを決意した俺は、まずはその聖域へ潜入して馴染むところから始めたものだ。
 その後の流れで、裏切り者を始末するという名目で、公然と聖域の住民を殲滅したことがあった。
 
 実際のところその裏切り者とは、今共に旅をしている連れであるマシウなわけだったりする。
 俺の仇の裏切り者、つまり敵の敵だったわけだ。
 敵の敵は味方とはよく言ったものだ。
 今では俺とマシウは、同じ傷を抱えた仲間ということになっている。大切な人を闇の一党に惨殺されたという……
 
 
 俺は、マシウと共にシェイディンハルへと向かった。
 ブルーマを出発点にして、シロディールをぐるりと時計回りに回れば、最後にコロールに辿り着く。
 そこで戦士ギルドの未来をオレインと語って、全ての旅を終えようという算段である。
 
 

「この家が聖域に通じているとは、民衆は誰も知らないのだろうなぁ」
「僕もここは覚えているよ。僕はここでルシエンからサイレンサーになるよう命じられたんだ」
「サイレンサーか。黒幕であるナイト・マザーとやらを探すために、俺もサイレンサーのまねごとをやったっけ。お前のすり替えた指令所に従ってな」
「えへへ、でもよかったでしょ?」
「結果的にはな。闇の一党の幹部を葬れたのだからよしとしよう」
 
 そう、結果的に闇の一党は壊滅し、ナイト・マザーも葬られた。
 復讐は何も生まないと言うが、そんなのはただの綺麗ごとだ。
 もしも緑娘に再び会えるならば、その時は聞いてみたいものだ。
「君を殺した闇の一党を壊滅させたよ、どうだい?」とな……
 
 

 廃屋の奥に、その扉は存在する。
 まるで、母親とその子供たちが描かれたような――なるほど、ナイト・マザーか……
 合言葉は忘れてしまったが、今ならこの扉を破壊したところで何も問題は無いだろう。
 
「合言葉忘れたから入れないかもな。マシュー何か覚えていたら、言ってみ」
「えーと、月見で一杯――かな? 違うなぁ、ラムさんお願いしますよ」
「そうだなぁ――、ごめ~ん昨日眠れなくて、だから寝坊しちゃった、てへっ☆」
「らっ、ラムさんっww」
「冗談だ……(。-`ω´-)」
 
 
 しかしその扉だが、合言葉を唱える必要もなくすんなりと開いたわけだ。
 ナイト・マザーが滅びたことにより、この扉の意味が無くなってしまったのかもしれない。
 それよりも驚いたのは――
 
 

「なっ?! お前らっ?!」
「むっ、怪しい奴め!」
「誰かと思えばアークメイジではないか!」
「マニマルコ様の仇討だ!」
 
 そこは闇の一党の聖域ではなく、死霊術師のアジトと化していたわけで。
 
 
 まあよい。
 
 
 仇討ちをやりたいなら遠慮なくかかってこい。俺も仇討ちはやった。復讐したいのなら、存分にかかってくるがよい。
 実力の無い覇者が打倒されるのは当然のことだからな。
 俺を倒すだけの自信と覚悟があるなら、いつでも挑んできて構わない。
 
 

 ただし、失敗した時はどうなるか――(。-`ω´-)
 
 
「全く、ゴキブリのようにどこにでも沸くやっちゃな」
「ブルーマのマスターが言っていた、死霊術師の再来は本当のようですね」
「ん~、俺が居なくなれば死霊術師と共存の道もあるのかもしれないけどな」
 
 死霊術師が敵対したのは、先代アークメイジであるハンニバルが禁じたからである。
 そして現アークメイジの俺が禁じているのは、こいつらの死体いじりが悪趣味だから好きになれないという感情論みたいなものである。
 元々は死霊術も、魔術の系統の一つであったのだ。ジュラーエルもそれに近いことはやっていたらしい。
 つまり、俺以外の者がアークメイジとなった時、魔術師ギルドと死霊術師が和解する道も生まれる可能性もあるのだ。
 
 
 ぬ……
 この死体は?
 
 

 こいつら、見覚えがある……
 
 
 そうか……、ここに住み着いた死霊術師の奴ら、手始めに元聖域の住民を実験に使い始めたのか。
 そういえば浄化の儀式後、死体はずっと放置していたっけな。
 死霊術師にとっては、死体ならば男でも女でも、種族は何でも良いのだろうな。
 そんな奴らにとっては、ここの住人はいろいろ多種多様でいい研究材利用になったということだろう。
 
 まぁ闇の一党の奴らなど、成仏できなくても俺の知った事ではないけどね。
 死霊術師と闇の一党、お互いが潰し合いでもやってくれたらよかったのさ。
 
「こんな奴らだったけど、埋葬ぐらいはしてやるか」
「闇の一党なんて放置していたらよいのではないでしょうか?」
「シェイディンハルの地下に死体が転がっているなんて気色悪いだろう?」
「それもそうですね」
「それに死体を残していたら、また死霊術師が住み着くかもしれないからな」
 

 安らかに眠れ――とは言わん。
 だが一時は家族であったのだ。偽りの家族ではあったが……
 さらばだ――とだけ述べておこう。
 
 そして闇の一党のことは忘れよう――
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 元闇の一党の聖域。
 そこをアジトにしていた死霊術師は殲滅しておいた。
 これでひとまずは、シェイディンハル周辺の死霊術師も大人しくしていることだろう。
 
 さて、この街でも推薦状を書いてもらわなければな。
 本来ならそっちが目的である。聖域の死霊術師は、たまたま見つけてついでに始末したようなものだ。
 そんなわけで、魔術師ギルドへ向かう。ディーサンは元気かな、ディーサンさんだと二重敬称っぽくなってしまうのが困り者。
 
 

「丁度いい所に来てくれました」
「都合の良いように依頼が生まれるってもんだな。んじゃ任務こなしたら、こいつの推薦状書いてやってよ」
「それはもちろん! では早速ですが――」
 
 ディーサンの依頼は、この街に時々死霊術師らしき者がが姿を現すという。
 支部のメンバーが不安がっているので、調査して退治してほしいとのことだった。
 
 
 ぬ……?(。-`ω´-)
 
 
 ひょっとして、闇の一党の聖域に住み着いていた奴らのことか?
 
 その後、聖域へディーサンを案内して、死霊術師の残骸を確認させたのである。
 それを見たディーサンは、安心して推薦状を書いてくれましたとさ。
 後は、廃屋の奥に隠された聖域も、また死霊術師が住み着かないよう魔術師ギルドに管理させるのであった。
 
 おしまい。
 
 
 
 
Sponsored Links



 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

return to page top

©発行年-2021 らむのゲーム日記