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秘密と影の…… ~復讐の時、序章~

 
「ああ、暗殺者よ、あなたに話があるの。とても急を要するのよ、闇の信徒の特使から、封印された書簡が届いたの」
 
 今日も今日とて暗殺者と呼ばれる俺の名前はレイジィ・マー。
 オチーヴァは、俺に丸まった書簡を手渡しながら言ってきた。
 
「ルシエン・ラシャンスから、あなた宛の密命が発せられたわ。すぐに開封して、その指示に従うのよ」
 
 どうやら今度はオチーヴァではなく、俺を闇の一党に導いたルシエンからの依頼が入ったようだ。
 これは順調に闇の一党に溶け込みつつあり、幹部の一人にまで認められるようになったわけか。しめしめだ……
 

 どれどれ、ルシエンは俺に何をやってもらいたいのかな?
 俺は、聖域の一角にある休憩室で、その書簡を開いて文章に目をやった。
 

 そうか、俺はエリミネーターだったな。やはり覆面マントにパンツ一枚にならなくてはダメだろうか?
 
 ルシエンからの依頼の内容は、ファラガット砦という場所へ向かって欲しいとのことだった。
 そこがルシエンの隠れ家で、シェイディンハルの北東の森にあるそうだ。
 なにやら見えざる力が闇の信徒の根底を揺るがそうとしているらしい。アダマス・フィリダは始末したのに何故かな?
 ひょっとして俺が潜入しているという実情がばれてしまったのか?
 そしてこのことは、この聖域に住んでいるメンバーには、誰一人として語ってはならないというものだ。
 つまり極秘任務か……
 ユリエル皇帝から承った、最後の任務を思い出すな……
 
 そう言うわけで、いつもなら契約についてメンバーに助言を聞いていたところだが、今回は誰にも告げずにそっと聖域を立ち去った――
 
 

 ファラガット砦、どこにでもあるような砦の一つ。
 おそらく誰もここが闇の一党の幹部の一人が隠れ住んでいる場所とは思っていないだろう。
 
 砦の中も、これなでに何度か攻略してきた砦と変わるところは無い。
 ただルシエンからの書簡には、「あらゆる侵入者を見つけ次第攻撃する住人によって守られている」とあった。
 何が出てくるかわからないので、慎重に――
 

 ――住人は、骨だった。
 高台から矢を放ってくるが、こちらも霊峰の指改で応戦する。
 弓矢での攻撃は高台有利と言うが、魔法での戦いは高低差などあまり関係ない。
 相手との間に直線コースが確保できれば、一直線に攻撃できるからだ。
 レイジィは確かにただの暗殺者かもしれない。しかしその正体は、帝国の魔術師ギルド最高峰、アークメイジのラムリーザだからな。
 

 ファラガット砦には、やたらと首無しの像が飾られていた。
 闇の一党に相応しい像だといえば、そう言える。一撃で首をはねろとの願いを込めればよいのだろう。
 奴らの未来を占っているとでも言ってやろうか。
 それとも己の未来か――?
 

 あらゆる侵入者を見つけ次第攻撃する住人を蹴散らしながら、砦の深層部へと進んでいく。
 書簡には人を不安にさせるような言葉で書かれていたが、実際に対面してみたらただの装備した骨である。
 案ずるより産むが安しとはこのことだ。
 ただしこの骨、装備だけはデイドラ装備で豪華だ。装備だはな。
 つまり、追い剥いで売れということで、ある。上質のダイヤモンドの10倍以上の価格で売れるからね。
 
 

 そして奥にあった部屋、そこには黒いローブに身を包んだ見覚えのある男が。
 ルシエン・ラシャンスだな。
 そして壁には、聖域にもあった手のひらを描いた旗が飾られている。あれが闇の一党の旗であることに間違いは無いな。
 

「待ちかねたぞ、アサシンよ。しばらく会ってなかったが、闇の一党でのお前の活躍は聞いている」
 
 アサシン、つまり暗殺者である。
 エリミネーターだのアサシンだの、ろくでもない称号のみ手に入る。
 盗賊ギルドの階級も酷かったが、闇の一党はもっと酷い。
 
 そのルシエンは、俺に自分自身のスキルとシシスへの忠誠を試される時が来たなどと言ってきた。
 シシスへの忠誠か、いよいよ闇の一党の核心に近づいてきつつあるな。
 もしもシシスという者が実在するなら、その者を始末しなければ復讐は成就しない。
 
 ルシエンの話では、闇の一党に何者かが潜入している事実を突き止めた。だが、誰の仕業か、その目的は明らかではないと言ってきた。
 そうか、もっと探りを入れたかったが、ここまでか。
 このルシエンと、聖域の連中ぐらいしか突き止められなかったが、潜入がばれてしまったのではしかたがない。
 俺は気づかれないように魔剣に手をやろうとしたが――
 
「裏切者は、お前が信徒に加入する前から活動しているようだ。それ故に、お前だけは一切疑いがかからないわけだ」
 
 ――その手を止め、元に戻した。
 俺以外にも、潜入して闇の一党を壊滅させようとしている者が居るだと?
 もしそれが本当ならば、なんとか連絡は取れないだろうか? その者と協力して――
 いや、やめておこう。
 他人を頼ると、レックス隊長の二の舞になる。頼れるのは、己の力だけだ。
 
「聞いているのか? シシスの子よ。浄化として知られる古の儀式を執り行うためにお前が選ばれた。聖地の全員を抹殺せよ!」
「え? なんだって?」
 

 オチーヴァ、ヴィセンテ、アントワネッタ、ゴグロン、テリィンドリル、ムラージ=ダール、テイナーヴァを始末せよ!
 
「今回の発令に際し、お前は闇の一党の教義に縛られることはない! シシスはあらゆる殺戮、あらゆる盗みをお許しくださるであろう!」
 
 これは本当の事か?!
 俺の手で、直接聖域の連中を始末してもよいと?!
 それも闇の一党にとって合法的な方法で!
 
 俺は自分の感情が顔に出るのをなんとか堪えた。
 願ったり叶ったりの状況が、今生まれたのだ。
 復讐の一環が、こんなに早くやってくるとはな!
 
「浄化の儀式が完了次第、ファラガット砦の私の所へ戻りたまえ。お前の今後の古ことについて話をしよう」
「お任せあれ」
「初めて私に口を利いたな。幸運を、サイレンサーよ」
 

 俺は、ルシエンに背を向けると、聖域へと戻り始めた。
 闇の一党、末端構成員を始末する為に。
 
 復讐の時、今始まる――
 
 
 
 
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