封じられた地 前編 ~クヴァッチ城の地下に封じられた遺跡~

 
 マティウスからの連絡で、クヴァッチ城の地下牢で、洞窟のような奇妙な入り口を発見したとあった。
 デイドラたちがあふれ出てくる恐れがあるので封印しているが、クヴァッチの英雄に調査して欲しいときたものだ。
 またしても俺に丸投げしてきているようだが、そんなに頼るなら――
 

「というわけで、来てやったぞ」
「来てくれましたか、こちらです」
 
 牢屋の看守には連絡が行っているらしく、俺の顔を見るや否や地下牢へと案内してくれた。
 

「それで、どこに問題があるのか? あの掛け軸の裏に秘密の通路が隠されていたのか?」
「左奥の牢屋です。壁がはがれたら突然扉が出現して……」
「伯爵を逃がすための秘密の通路じゃないのか? 帝都の牢屋にもそういうばしょがあるし」
 

 看守の示す牢屋を覗いてみると、あからさま過ぎるぐらい普通に扉がある。
 ここに閉じ込められた奴が、次の物語の主人公になるであろう。
 
「それでは私はこれでっ」
 
 臆病な看守は、謎の入り口をほとんど見ようとせずに元の場所へと戻ってしまった。
 そんなに不気味ですかね?
 もっと不自然な場所を見てきたから、こんなところは大したことではないと思ってしまう。
 
 

 扉の奥は、マティウスの手紙にあった通り、洞窟のような場所であった。
 すぐに正面と左の道に分かれていた。
 正面は半分ブロックで塞がれているが、左の道はそのまま自然の洞窟となっていた。
 ここは何も無い左側から見ておこう。
 

「な、なんだこれは?」
「おうちが沈んじゃったのかしら?」
 
 通路の奥にあったものは、半分潰れたような家。
 遺跡にしては造りが最近過ぎる。古代遺跡でなく、近代遺跡というのだろうか?
 それとも元々地下にも町があったが、デイドラの侵攻時に潰れてしまったものなのだろうか。
 マティウスはこの存在を知らなかったようだが……
 
 とりあえず窓から入れそうなので、家の中へと入ってみる。
 

 家の中は荒れ果てていて、幽霊が漂っていたりする。
 この幽霊は、足が無いので襲い掛かってくる奴だ。友好的な幽霊は、これまでの経験上たいてい足がある。
 

 幽霊は物理攻撃が通用しないので、霊峰の指改で退治しておく。
 この地下街に住んでいた住民が、幽霊になって漂っているのだろうか?
 しかし襲い掛かってくるだけで、何も語りかけてこないのでそれは不明である。
 荒れ方からして、そんなに昔に潰れたわけではなさそうだけどね。
 

 二階部分もかなり荒れているようで。
 ここも復興すべきか、完全に埋めてしまうかのどっちかだろうね。
 

 潰れた家の別の扉から外に出られた。
 どうやらここは町の地下に当たる場所で、かつては人が住んで賑わっていたのかもしれない。
 敵は幽霊ぐらいでデイドラが沸いている感じはしないが、調査を進めていくべきだろうな。
 

 通路の先は埋まっていて行き止まりになっていた。
 仕方が無いので最初の分岐点へ戻り、半分ブロックで塞がれた先へと進んでみた。
 

 こちらの通路の先も、潰れた家の残骸があって、幽霊が襲い掛かってきたりする。
 落盤して潰れてしまったのだろうが、わざわざ地下に家を作る必要があるかな?
 以前メエルーンの剃刀を手に入れた場所、サンダークリフ・ウォッチの砦の地下に、鉱山労働者の家が建っていたことがあった。
 あそこみたいな感じで、ここも何かの鉱山だったのだろうか?
 

 潰れた家にはかならず幽霊が住み着いている。
 二方向から幽霊が迫ってくる、どう対処するか?
 

 焼いてみた。
 とりあえず幽霊には炎も有効だった。
 松明は武器にもなるから便利だよね。ゾンビとかアンデッド系には効果抜群だ。
 
 

 廃墟の家の中には、紙切れとか水晶球がそのまま残っている。
 やっぱりつい最近まで、普通にここで人が暮らしていたといった雰囲気だった。
 しかし表の通りというものが存在しない。残っているのは崩れた家と、それを繋ぐ洞穴のような通路だけだ。
 
 そして同じように、洞穴に通じているだろう扉を開くと――
 

 家から出た途端、突然足元が崩れて同時に落盤が発生した!
 
 

 気がついたら、二人とも水の中に投げ出されていた。
 真っ暗な水の中で何もわからないので、深海のかがり火という便利な指輪を装着。
 どうやら地底の水溜りに落ちたようだ。井戸だったのかな……
 
「なんなのよこれは、あたし濡れるの嫌いなのに!」
「エルスウェアでは泳いでいたくせに」
「ああいう気持ちのいい海ならいいの」
 
 などと、相変わらず水中でも会話ができる二人であった。
 
 水の中を潜って進み、横穴に入り込むことで別の場所へと辿りついた。
 なんだか元の場所に戻れなくなっているような気がして仕方が無いが、とりあえず先に進むしか無い。
 

 水場はそのまま床上浸水した家へと続いていた。
 デイドラとか全然関係ない場所みたいだね、今の所全然出てこない。
 出るのは幽霊ばかり。やはりここは、謎の地底都市ということでしょう。
 
 

 そして水浸しの家を出ると、そこには大広間が出現した。
 居るのは幽霊だけだけど、周囲には家の残骸が散らばっている。
 
「ここはやっぱり地底人が住みついていたのかな」
「地底人と地上人の違いは何かしら?」
「地底人は、目が退化して蓋のようなもので塞がれているんだ」
「蓋って何よ」
「知らんわ。それか肩から生えているアンテナから発せられる超音波で周囲を確認するような奴」
「それって人間じゃなくてロボットよね? アンテナってそんなの何よ」
「そもそも地底人の地点で人間じゃないのだけどな」
 

 そんな感じに緑娘と地底人談義をしながら奥へと進むと、そこには赤黒く輝く光で照らされた、大きな家が出現したのだった。
 他の家と違って、その家だけは原型を留めている。
 禍々しい雰囲気を放っているが、まさか悪魔の棲む家ではないだろうな?
 

 まるでホーンテッドハウスを連想させるような、それでいてそこそ立派な家。
 地底に埋もれてしまった地下街の謎を解く鍵が、この家にあるような気がするんだ。
 
 
続く――
 
 
 
 




 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

Posted by ラムリーザ