曇王の神殿 ~目指せクラウドルーラー神殿~

 
 ウェイノン修道院へマーティンを連れて戻ってきたが、そこは既に暗殺者の一団に襲われていた。
 そして王者のアミュレットも盗み出されてしまったのだった。
 盗賊というより、ほとんど強盗といった形で……
 
 だが悔やんでいても仕方が無い。
 ここが安全な場所でない以上、マーティンを守る為に新たな場所へと向かわなければならない。
 そこはクラウドルーラー神殿、曇王の神殿と呼ばれるブレイズ最後の砦である。
 クラウドルーラー神殿は、遥か昔、レーマン・シロディールの統治に、ブレイズの創始者が建てた要塞だそうだ。
 
 俺は、ジョフリーの依頼で、そこへマーティンを連れて行くことになった。
 

 まずは馬小屋へと向かった。どうやら彼らは馬で移動するみたいだね。
 そこには馬が三匹、ジョフリーとマーティンが乗った後、ジョフリーは俺に言ってきた。
 
「マボレル院長の馬を使ってやってくれ。もう彼が乗ることはないだろうから」
「だとさ、テフラ使ってやれよ」
 

「なんであなたがユニコーンで、あたしがただのまだら馬なのよ」
「いや、彼らの前でべったり二人乗りはちょっと恥ずかしい……(。-`ω´-)」
「あたしの傍に居るのが恥ずかしいの?!」
「ん~……」
 

 仕方が無い、今だけは譲ってやろう。
 元々ユニコーンは処女しか乗れないはずだが、俺も緑娘も条件を満たしていない。
 緑娘は実は非処女らしいが、誰とやった後なのだ? となると、どうやら記憶を失う前の俺のようなのだ、ちくしょうw
 

 馬に乗って移動すると、敵の移動速度が半分になって捕まり難くなるのだ。
 しかし食料の消費も二倍になる諸刃の剣。
 せいぜいユニコーンに尻をぶっさされないように注意しながら進むか。
 目指せ、クラウドルーラー神殿だ。
 

「帝都も安全じゃないですかね?」
「皇帝陛下が暗殺されたのが帝都なのだ。それほど安全とは言えない」
「魔術師大学にある俺の私室を貸しましょうか? あそこ安全ですよ」
「ダメだ、あの部屋は陰気すぎる」
「よくご存知で……(。-`ω´-)」
 
 ジョフリーが何故アークメイジの私室を知っているのかわからんが、安全な場所ねぇ……
 人里離れた、リリィさんが住んでいる家とか安全っぽいけどね。
 魔術師の隠れ里と言ったところか。
 

 遠く離れた帝都が、今まさに混乱の渦に巻き込まれているとは想像しにくい。
 この橋は、かつてブルーマからコロールへ向かった時、緑娘と二人で通ったことがある。
 なんか急いでいた記憶があるけど、なんだったっけ? アリーレさんの名前を出したところ、緑娘が騒ぎ出したのだったっけ?
 

 しかし、こうした景色を見ていると、シロディールはまだ平和だなと錯覚してしまう。
 本当は皇帝が暗殺され、破壊の君主の下でデイドラや暗殺者集団が動き回っているのだ。
 

 ブルーマ近くまで到着。
 ここは、タイターという力自慢が住んでいる家。彼は、ブルーマの魔術師ギルド再建に協力してくれた、建築家である。
 相変わらずオオカミがうろついておるのぉ、彼は狼の血族なのかもしれん。
 

 今回の目的地はブルーマではない。
 ブルーマ近郊の山地にある、クラウドルーラー神殿である。
 山地と言えば、街の北側。ということは、あの建物がそうだろうな。
 

 というわけで、山頂の神殿へ到着。
 これでマーティン絡みの仕事は終わりかな。
 と思ったところ――
 

 山頂から見た景色、ブルーマの西側にオブリビオン・ゲートが開いていたりする。
 あんなところから攻めてきてどうするのだ? と思ったりするが、見つけたゲートは全部閉じておいた方がいいだろうなぁ……
 あそこからデイドラがブルーマに侵攻してこないとは限らない。
 
「グランドマスター、このお方は?」
 

 到着するとすぐに門が開いて、中から出てきたのは見覚えのある鎧を身にまとった者だった。
 皇帝が地下通路を通って脱出していた時に、護衛として付いていた者と同じだ。
 これがブレイズの正装なのだろうな。
 
「このお方こそ陛下の嫡男、マーティン・セプティムだ」
「殿! クラウドルーラー神殿へようこそ!」
 
 ジョフリーと門番サイルスが話しているのをぼーっと聞いている。
 ここまで来たら、もう俺の用事は終わったかな。
 
「ではジョフリー、マーティン、幸運を祈る」
「折角だから、ブレイズの挨拶を聞いていったらよいだろう」
 
 しかしジョフリーに引き止められてしまった。
 マーティンも突然の事で不安を感じているのか、俺に「もう少し一緒に居てくれ」と言っている。
 なんなら魔術師大学来るか? 全力で守ってやるぞ。
 

 とまぁ、もう少しだけ付き合ってやろう。
 一応魔術師大学は、この困難に立ち向かうことを協力することになっている。
 はて、戦士ギルドはどうなのかね?
 しかしこの四人、皇帝の血筋、ブレイズのグランドマスター、魔術師ギルドのアークメイジ、戦士ギルドのギルドマスターと、そうそうたる顔ぶれである。
 やはりシロディールの危機となると、これほどのメンバーが揃わないと、対抗するのは大変なのである。
 
 そして神殿の広間では、ジョフリーのアジ演説が始まった。
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ