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スコーンド・ホールドアウト最深部 ~気になったことは片付けておこう~
- 公開日:2019年9月13日
サンダークリフ・ウォッチにおけるメエルーンの剃刀の探索が終わって地上に戻ってきたとき、辺りはすっかり暗くなってしまっていた。
今夜はカヌルス湖の町に泊まろうかなと思ったけど、緑娘はアルゴニアンの村を嫌がって別の場所が良いと言う。
この辺りで泊まれる場所と言えば、林務兵のキャンプ、農場、国境検問所ぐらいだ。
この中で農場は今はあまり近寄りたくないので避けておく。また羊の死骸を見て緑娘が騒ぐに決まっている。
林務兵のキャンプでも良いが、山賊の残党が残っているかもしれないと考えると、今はちょっと危険かもしれない。
そういうわけで、再び国境検問所へと戻ってきたのだ。
「ここなら普通に宿屋があるから問題ないな」
宿屋の名前は越境亭、国境付近に相応しい名前なのかもしれない。
ここには、粘板岩室の謎について情報を得るためにしか来たことが無い。
とりあえず宿賃を払って二階に行く。ここも宿賃は10Gなのな。
ちなみに一階の酒場には、レイン指揮官を始め国境の衛兵達が集まってきていたりした。
夜は守って無くてもよいのだな。
宿の個室は狭く、二人で寝るにはぎゅうぎゅうかもしれない。
しかし別々の部屋を取ることは、緑娘に反対されたのであった。
「うむ、狭いな」
「ねぇ、これってこの国で最初に二人で泊まったことを思い出さないかしら?」
「最初に、か――」
緑娘の言っている事は、透明人間事件のあったエイルズウェルの宿のことだろう。
霊峰の指をなめてかかった緑娘は、かなりのダメージを負ってしまい、その宿で一晩休憩したことがあったな確か。
「ごめんよ、なんだかよく分からないうちに失踪したり記憶を失ったりしてさ」
「ううん、いいの。過去も大事だけど、この国に来てからのあなたも好き」
「時々思うのだよな、最初に意識を取り戻したあの場所をもっと調べたら、何かを思い出すかもしれない」
「もういいよ、今のアークメイジと戦士ギルドマスターって立場で居られるこの国の方が楽しいもん。今の状況を思えば、故郷なんて退屈なところだったわ」
今でも俺なんかがアークメイジで大丈夫なのか? と思うこともある。
しかしなんだか他のギルドメンバーが、やたらと弱いのも事実だ。死霊術師とまともに戦えるものも少なすぎる。いや皆無に近いぞ。
そう考えると、故郷ってところはやたら回りのレベルが高くて、俺や緑娘ですら退屈するぐらい埋もれていたことになるのだろうか?
う~ん、なんだか戻りたくないかもw
「よし、もう寝るぞ。明日はシロディールに帰るからな」
「はぁい」
………
……
…
翌朝、俺達はモローウィンドにさよならを告げた。
恐らく当分の間、ここへ来ることは無いだろう。
国境付近をうろうろしただけで、別にモローウィンドに行ったわけではないが、いずれ機会があれば行ってみてもよいだろう。
「さらば、モローウィンド。国境付近しか見てないけどな!」
「さーらばいばいさーらばい、げんきにま~た~ねぇ~」
「――と言いつつ、気になる場所が残っているのでそこを見てからシロディールに帰ることにする」
「それはどこかしら?」
「ここだ」
「ここって、スコーンド・ホールドアウト、山賊を退治した場所じゃないの。ここにまだ何かあるって言うの?」
「メイソン・ドレスの言っていたことが気になってな」
ドレスといろいろ会話をしたとき、「最下層にはいくなよ。そこの住民はさほど友好的ではないからな」と言っていたのを覚えていた。
山賊と友好的ではない住民、普通に考えたら山賊の敵は衛兵なのだが、衛兵が洞窟の奥に住み着くとは思えない。
可能性として挙げられるのが――
「まさか死霊術師が住み着いているの?」
「一人で住んでいる場合もあるからな、その可能性もゼロではない」
「それなら行ってさっさと退治しましょうよ!」
うむ、緑娘に死霊術師に対する敵意を植え付けることに成功したようだ。
魔術師ギルドとして活躍させる上で、これは大きな進歩になるだろう。
冤罪だけどね――w
洞窟を一気に駆け抜けて、山賊の居住区まで一気に進んだ。
山賊は衛兵が退治し尽しているので、道中は何も無く平穏そのものだ。
「この奥に、山賊と友好的ではない住民が居る」
「山賊の拠点の奥に住んでいるというだけでおかしいわ」
「うむ、用心して進めよ」
スコーンド・ホールドアウトの湿った穴と称される奥地、そこには錬金術の器具と薬瓶が転がっていた。
これは、スクゥーマ・ロードみたいな奴が住み着いているのだろうか?
ただし、死体はどこにも転がっていない。この地点で死霊術師はここには居ないことが分かるね。
ここは不思議な場所で、洞窟の中だと言うのに木が生えていたりする。
日の光が無くても成長できるのか、夜行性の木なのかな?
「誰も居ないね」
「ん~、留守だったか、山賊の一味であることには変わりなくて、衛兵についでに始末されたのかな?」
「そこのお前! その場で止まれ!」
「なんやねん?」
緑娘と話をしていたら、突然誰かに呼び止められてしまった。
声色からしておばさんか?
「誰だお前は?」
「ここでずっと住んでいる者よ! 勝手に侵入してきてたたじゃおかないからねっ!」
「わかった、それはすまんかった。すぐに立ち去ることにするよ」
死霊術師じゃないし、山賊でもない。
ただの隠遁者のようだから、事を荒立てる必要も無いと思ったので、ここは大人しく引き下がることにした。
確かに友好的ではない、隠者の類だろう。
「ちょっと待ちな、勝手に侵入してきて大人しく帰れると思っているのかい?」
「だからすまんかった、立ち去るって行ってるやん」
退治する必要も無いし、めんどくさいからさっさと立ち去ろう。
なんかこいつもしつこいな、霊峰の指ぶっ放すぞ?
「待ちなって、ただで帰すわけには――」
「何かしら?」
「――いかないです……」
「で、どうしようって言うのかしら?」
「えっ、あっ、その……、えっと、なんでもないです」
「じゃあ帰ってもいいかしら?」
「……はい、お帰りください」
……(。-`ω´-)
なんやねんこいつは……
こっちが大人しくしていたらびーびーわめいて、ちょっと強気に出たら途端に困惑してやがる。
いるよね、気が弱そうな相手にしかイキられないような奴。
どうせ薬でもやってたんだろ?
というわけで、ドレスが言っていた友好的ではない住民は、ただの困惑した隠遁者でした。
特に害は無いと思うので、そのまま放置して立ち去ることにしましたとさ。
あとこの洞窟にあったのは、木でできた檻とその奥に通じる通路だった。
「ここも見ていくか、ここには二度と来ないだろうし」
「また変な隠者が居るかもしれないよ」
「その時はまた威圧してくれ」
俺より緑娘の方が、いろんな意味で威圧感があるからな。
いろんな意味で……
「う~ん、牢屋だったか」
「死体があるから死霊術師が居るんじゃないかしら?」
「いやこれは弄んでいるのではなくて、ただ放置しているから違うだろう。おそらく山賊に捕まって投獄された不幸な旅人か商人だろう」
「山賊ってやっぱり酷いのね」
「うむ、農場を襲って人や羊を惨殺していく死霊術師は悪い人だねぇ」
「――?」
危ない危ない、ここで羊殺しの真犯人をばらしてどうするのだ。
緑娘には死霊術師を憎んでいてもらわないとなw
まぁ山賊が犯人でも死霊術師が犯人でもどっちでもいい。
ただここは、死霊術師にしておいた方が、緑娘も魔術師ギルドに馴染みやすいだろうってことだ。
そんなわけで、東部連峰でやり残していた事は全て完了したので、このままシロディールへと帰ることにしたのであった。
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