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エルフの乙女 後編 ~税金免除の内通者~

 
 さて、盗賊ギルドの仕事で、シェイディンハルへ向かい教会の地下からラザーサの胸像を盗み出したところだ。
 その後港湾地区に戻ってきたとき、何故か衛兵が大勢うろうろしていたりする。
 

 なんだ?
 盗賊ギルドがばれたか、グレイ・フォックスが見つかったか? ここでハッピーエンドか?
 レックス隊長も来ているし、あまり騒がないほうが良いかもね。
 俺はそれならそれでもいいと思っているから。
 
 だがしかし、そこにメレスデルが現れた。
 ギルドの入会試験がまたあったのかどうか知らないが、彼女も晴れてギルド入りできたようだ。
 まぁ最終的には、グレイ・フォックス一味は全員お縄になってもらうけどね!
 
 メレスデルは、衛兵に見つからないように俺を家の裏へと連れ込んだ。
 まぁ今は仲間のふりをしてやろう。
 

「知っているとは思うけど、レックスがアーマンドの逮捕状を出したのよ」
「そっちか……、あいやそれは一大事」
「シェイディンハルからラザーサの胸像を盗んだ犯人として、アーマンドの名が挙がったのよ」
「情報がはえーな、今朝の出来事がもう港湾地域に知れ渡っているのかよ」
「ちなみに胸像を盗ってきたのは俺だが、これどうする?」
「その胸像を盗むように依頼があったのは嘘だったのよ」
「なんだってぇ?!」
 
 なにやらアーマンドは、ギルドに潜入していた内通者を洗い出すために俺を利用したらしい。
 その内通者とは、マィヴリーナ・アラノ。例の税金免除の謎の人だ。
 そしてマィヴリーナとやらの人相を聞いてみると、どうやら俺がアーマンドに会いに行った時、物陰に潜んでいた奴と一致した。
 アーマンドは彼女を排除するために、胸像を盗み出した罪を彼女に着せてやれと言っているようだ。
 彼女の家の戸棚に胸像を隠して、その後彼女が窃盗犯だとレックス隊長に通報したらよいらしい。
 
 まぁ俺も、個人的にグレイ・フォックスを捕まえようとしている内通者――というか、スパイみたいなものだけどね!
 
 

 しかしそう簡単には物事は動かない。
 レックス隊長を始め、衛兵が行ったり来たりしているのでこっそり忍び込むことができないのだ。
 
「仕方ない、陽動作戦頼む」
「どうすればいいのかしら?」
「どこかここか見えない場所で、騒ぎを起こして衛兵の気をそらしてくれ」
「騒ぎって、何をすればいいのよ?」
「適当に悲鳴でも上げていたら、レックス隊長とか行くのじゃないかな?」
「しょうがないわね」
 
 
 それからしばらくして、マィヴリーナの家の裏手から、緑娘の悲鳴が上がった。
 
「キャーッ! 何すんのよドチカン!」
「どうしたお嬢さん?!」
 

 なんか知らんけど、衛兵たちは緑娘の所に集まってしまった。ドチカンって何だよ?
 まあよい、とりあえず今がチャンスだな。
 
 

 マィヴリーナは暢気に昼寝中だ。
 なるほどね、レックス隊長が送り込んだ内通者だから、税金も免除されていたのか。謎が一つ解けたってことだね。
 後は適当に、戸棚の中に胸像を入れてさよならだ。
 

「だいたいお嬢さんがそんな扇情的な格好をしているから、変な奴が寄ってくるのですよ」
「何よ! あたしの故郷だと別に普通よ!」
「で、ドチカンはどこに行ったのかね?」
「知らないわよ!」
「それでは捜査ができないではないか、忙しいのだから手短に犯人の容貌を言ってくれ」
「マグリールよ!」
「誰だよそいつは!」
 
 まだやってたw
 いい加減に止めてやろう。
 
「おい、もういいぞ」
「え? あ、ドチカンはもう居なくなったわ」
「なんだよそれは! こっちは忙しいのだぞ!」
「えーこほん、ところでレックス隊長」
「なんだね、アークメイジ。君も私が調査で忙しいのが解らないのか?」
「ラザーサの胸像なら、マィヴリーナ・アラノが持っているよ」
「本当か? そんなはいずはない! あの女は私の……その、なんだね……」
「彼女の家にある戸棚の中にあるよ」
「なぜ君がそれを知っている?」
「アークメイジなめんなよ。ロケーションという魔法があって、目的の品物がどこにあるか感知できるのだ!」
「……わかった。信じがたい話だが、彼女を調査してみよう」
 

 そんなこんなで、レックス隊長をうまく誘導して、マィヴリーナの家へと向かわせることに成功した。
 後は現地調査で全て解るだろう。
 

「ややっ?! これはラザーサの胸像! やっぱり像を盗んだのはお前だったのか!」
「馬鹿! 盗賊ギルドに私の正体を教えてどうするのよ! あのアークメイジこそ窃盗を請け負ったギルド員なのよ! 私は聞いた!」
「アークメイジが盗賊ギルドの一員なはずがないだろうが! だがもしお前の言うことが本当なら、お前が我々の内通者であることはグレイ・フォックスにばれたということになる」
「あなたに忠実に、アーマンドのしたことを全部報告していたのに!」
「とにかく、逮捕だ!」
 
 うむ、なんかえらい騒ぎになってしまった。
 これでどろぼうさんは、俺じゃなくてマィヴリーナということになった。
 俺の罪が、一つ消えたのだ。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 こうしてアーマンドは救われた。
 レックス隊長よ、アーマンドではダメなのだよ。
 彼はただの手足に過ぎない。頭脳であるグレイ・フォックスを捕まえなければ、盗賊ギルドは壊滅しないのだよ。
 

 とにかく盗賊ギルドを貶めようとした内通者を明らかにできたのだ。
 胸像の件も、なにやら俺を試すためのものだったらしい。ひょっとしたら俺がマィヴリーナの協力者である可能性があったのだとさ。
 さすがに俺が個人的に市民を護るために、誰にも頼らず単独で盗賊ギルドに潜入しているとは思いつかなかったようだな。
 
「これが報酬だ。そしてお前を山賊に昇格させてやろう」
「嫌じゃ……(。-`ω´-)」
 
 山賊狩りを山賊にしてどうする。
 やはり山賊も盗賊ギルドの一員だったか。
 グレイ・フォックスめ、今に見ていろよ。見つけ出して俺が牢屋に叩き込んでやる!
 
 こうして、俺はさらに盗賊ギルドの中で認められていくのだった――
 
 
 
 ――ん、待てよ?
 
 マィヴリーナがレックス隊長が内通者として盗賊ギルドに送り込んだ者だとしたら、悪者じゃないのではないか?
 むしろ市民側からしたら味方ではないのか?
 税金が免除されていたのも、レックスと繋がっていたからだったのか?
 
 なんか俺、まずいことやってしまったかもしれん……(。-`ω´-)
 
 
 
 
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©発行年-2019 らむのゲーム日記