エルフの乙女 前編 ~ラザーサ・インダリスの胸像~
どろぼうさんではなくて、遺品整理(これ大事)をしてオンガーに認められた俺は、再びアーマンドの元へ向かい、盗賊ギルドの仕事をすることになった。
しかしいつものダレロスの庭に向かう途中、陰に隠れる怪しげな人物を見かけた。
フーアーユー? オ前ハダレダ! ナニヲシニ来タ?
まあいいか、気になるけど話を進めよう。
アーマンドの話では、今度はシェイディンハルの伯爵夫人であるラザーサ・インダリスの胸像を手に入れることが今回の任務だ。
ただそれだけである。胸像を何に使うのかはわからない。
盗って来たら報酬は出るらしいが、再び本格的にどろぼうさんだ。
だがこじつけもできる。
ラザーサ・インダリスは既に亡くなっているので、遺品整理と強引に言い張ることも――、できんだろうなぁ……(。-`ω´-)
そういえば、シェイディンハルの城にある玉座、伯爵の隣の席には花が置いてあったような記憶があるな、と。
しかしこんなことをやっていて、ほんとうにグレイ・フォックスの元へと辿り着けるのだろうか?
アーマンドの所から戻ってくると、先ほど潜んでいた謎の人物が引き上げるところだった。
なんだろう? 後をつけてみるか?
そしてこの家の中へと消えていった。
なんだ、この地区にある自宅のお向かいさんじゃないか?
何をしていたのだろうか……
それはまぁ後で考えるとして、久しぶりにシェイディンハルへとやってきた。
この国シロディールでは北東に位置する街で、それなりに環境は良い。
さて、どこから取り掛かるか?
盗ってくる目的の物だけはわかるが、それがどこにあるのか、誰が持っているのかさっぱり分からない。
だがそう言えば、物乞いはグレイ・フォックスの目であるとかなんとかそんな話を聞いた気がする。
ここは物乞いに、樽の中に入ってるぐらいの金を恵んで話を聞いて見るか。
「ほらっ、金貨だ! ぴかりぴかりのちゃりちゃりな金貨だよ!」
「ありがとう! そしてありがとう!」
「で、ラザーサ・インダリスの胸像について知っていることをどうぞ!」
「インダリス伯爵が注文したラザーサの胸像は、エルフが手がけたもので教会地下に安置しているよ」
「教会地下か、わかったありがとう」
「見張りを一人つけているから気をつけるべし。あと幽霊も出るらしいよ」
「今更幽霊など驚かん(。-`ω´-)」
というわけで、物乞いに教えてもらったとおりに教会へとやってきた。
しかしふと思うのだが、樽にいくらでも入っている小銭をわざわざ受け取ろうとする乞食。
盗賊ギルドの話も考慮して考えると、物乞いの目的は小銭を得ることでは無いような気がするのだよな……
教会地下には見張りが居るらしいので、緑娘とは一旦別れて単独行動することにする。
緑娘が居たら強盗になるからな。まぁそれでも別にかまわんけど……w
なるほど、見張りね。しばらく様子を伺うことにする。
この地下室は墓になっているみたいで、いくつかの像が眠っている。
しかし見た感じでは、この場所には胸像は無さそうだ。
やはり見張りが時々入っている、あの奥の通路の先かな?
しかし見張りは同じルートを巡回しているだけだ。離れた隙に奥へ行くのはたやすいことだった。
衛兵と言い、見張りと言い、全然役に立っておらんようだな……(。-`ω´-)
そして胸像は、その奥に普通に飾られていた。
胸像と言うより、首から上だけだから頭像ではないのかねぇ?
ところで罠は無いよな?
像を取ると同時に、同じ重さの砂を入れた袋を同じ場所に置きなおさなければならないとか、そんなのは無いよな?
――と、深く考えずに胸像を手にした途端、背後から冷たい風が流れ込んできた。
ああ、幽霊ね。
もう何度も退治してきたから、今更驚かないよ。
アイレイドの遺跡などに行けば、普通にうようよしているからなぁ……
見つかっていないようだし、見なかったことにして立ち去ろう。
恐らく攻撃して騒ぎを起こしたら、先ほどの見張りにもばれてしまうだろう。
教会の地下から抜け出し、緑娘と合流して外に出る。
いざとなると透明化の魔法があると考えると気楽だね。
その時、俺はこの町でもあることを思い出した。
「あ、そうだ。この町にもどろぼうさんにならなくて済む場所があった」
「もういちいち気にしなくてもいいじゃないの」
「いやダメだ、俺はどろぼうさんじゃない」
「魔術の手引き、フィンガーズ・オブ・ザ・マウンテンの本」
「何故知っている……(。-`ω´-)」
とまぁ、アルドス・オスランの家だ。
罰金を払えずに家は差し押さえになり、やけを起こして衛兵に切りかかって返り討ちに合ってしまったダークエルフだ。
ここにあるものも、アルドスの遺品扱いでよいだろう。
ちなみにこれがラザーサの胸像。
中質のルビーの十倍の価格だぞ?
やっぱりこの国の宝石は安いな……(。-`ω´-)
そしてこのとおり羽ペンとか0Gなので、盗んでも意味が無いから気をつけなければならない。