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敵対的価格競争 前編 ~コピアス商店のソロニール~

 
「グランドチャンピオンのアークメイジ様!」
「はっ、はいっ!」
「商業地区の皆が抱えている問題を解決してください!」
 
 ジェンシーン中古店にて、店に入るなり店の主であるジェンシーンに突然助けを求められてしまった。


「オーデンスの件なら解決してやったはずだがなぁ」
「衛兵の話ではありません、ソロニールについてです」
 
 ジェンシーンの話では、現在彼女は商業組合の代表を務めているそうだ。商業組合とは、帝都の経済バランスを公平にするためのものである。
 万事順調ではあったが、ソロニールが店を開いたことでそのバランスが崩れてしまったらしい。
 なんでもソロニールは、品揃えが豊富で値段も信じられないほど安いのだ。
 そのため、帝都の店の何件かは閉店寸前らしい。
 
「ギガモールが商店街を駆逐ですか?」
「似たような物でしょう。そこでです、あなたに彼の店を下見して、商品をどこで手に入れているか突き止めてほしいのです」
「ソロニールはおじいさんですか?」
「なぜです?」
「年金があるから安くできるのではないでしょうか? そういう店は、代替わりでつぶれますよ」
「いえ、彼はまた若かったです。お願いします、彼の行いが正されたら、仕事に見合った報酬を払うので。おそらく彼は、盗品を扱っているに違いないと思います」
 
 
 そういうわけで、唐突に帝都の商店街を救う話が始まってしまった。
 名声はもう十分ってことだし、こんな仕事は衛兵に任せても良いと思うけど、この国の衛兵は役に立っているのかどうかわからんからな。
 それじゃあ調査してみますか。
 

「相変わらずのお人好しさんね」
「臣民に慕われる支配者って知っているか?」
「あ、それならがんばって! あなたには皇帝を箱に閉じ込めてもらって、総統として君臨してもらう必要があるのだから」
「なんやその総統って」
「あたしは語り部として、あなたの武勇伝を皆に伝えるの」
 
 ん、とりあえず支配者になると言えば緑娘は肯定的になる。
 この娘の扱いが分かってきたような気がするぞ、と。
 

 コピアス商店のソロニールは確かに普通の若者だった。
 グラアシア族というかマグリール族と言うか、それはまあどうでもいいけどね。あ、ウッドエルフか。
 
「本日はどのようなご用件で?」
「商品についてです。どこから仕入れているのかな?」
「それは企業秘密です」
 
 まぁ何か後ろめたいものがあれば話さないよな。
 それに自分の飯の種を、べらべらと人に話すのもアレだし。
 俺もそれぞれの町に買った家の資金はどこから出てきた? と言えば説明に困るからな。
 追い剥ぎ狩りと言えば簡単だが、あまり自慢できるようなものではない。
 player.additem f 10000? 何の暗号だそれは?
 
「では松明をもらおうかな」
「松明はサービスです、無料で差し上げましょう」
「では修理用ハンマーを」
「3Gです」
 
 とりあえずよく使う消耗品を注文してみたが、確かにサービスも良すぎる。
 まぁこの国のお金は、価値がいまいちわからんけどな。
 
 俺たちは、一旦ソロニールの店から引き上げることにした。
 
 

「それで、どうするのかしら?」
「タスラの時と同じだ。ソロニールが何か怪しい動きを見せないか調べてみる」
「張り込みするの?」
「奴が出てきたら、何かがわかるかもしれん。君は適当に帝都見物でも闘技場に参加でもしていてくれ」
「今日中には帰ってきてね」
「わかったわかった」
 
 そこで一旦緑娘とは別れて、俺はソロニールの見せの前で張り込むことにしたのだった。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 曇り空で星も見えない夜――
 

 出てきたな?
 さて、ストーカーごっこでも始めますか?
 

 ソロニールは商業地区を出て、宮殿地区へと入っていった。
 

 だるまさんがころんだ、と。
 ソロニールが振り返ったら知らぬ振りをする。
 

 そんなこんなで彼が向かった先は、庭園地区だった。
 ここでいったい何をするのだろうか? 闇取引の現場か?
 しかしこんな時間になっても、庭園地区をうろうろしている人は他にも多い。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 庭園地区で張り込む事数十分、何やら動きが現れたようだ。
 

 ソロニールの所に、一人の男が現れた。彼が闇取引相手か?
 
「待っていたよ、アガマー」
「シーっ、あんまり大きな声を出すな。それにここは人通りが多い、場所を変えるぞ」
 
 どうやら怪しい香りがプンプン。アガマー? 現れた奴の名前か?
 密談をしたいようだが、人通りの少ないところだと雑音が少なくて聞き取りやすいということを知らんらしい。
 二人は再び移動を始め、宮殿地区へと戻っていった。
 

 そのまま結局商業地区まで戻ってきて、路地裏で二人は密談を始めたようだ。
 いつの間にか雨が降ってきていた。潜むには丁度いい天気かもしれない。
 
「いいから黙って聞けよ。次の出荷は思ったより早くなる、金を用意しておくんだな」
「前と同じ商品か? というのも衣類は足りているんだ」
「いちいち注文をつけるな。お前は黙って俺から仕入れたものを売っていればいいんだ」
「待ってくれ、組織からの圧力が増しているんだ、しばらく距離を置こうよ」
「ほーお、そんなことを言うのな。いいぞ、ジェンシーンの店に行って、お前の悪巧みをばらしてやろう」
「わかった、君の勝ちだ。商品が手に入ったら連絡してくれ」
 
 
 どうやらソロニールは、アガマーという男と闇取引をしているようだ。
 つまり、安い品物はこのアガマーが用意した物らしい。次は彼を調べてみる必要がありそうだな。
 
 そういうわけで、今度はアガマーを尾行することにした。
 こいつはいったい何者なのだろう?
 

 だるまさんがころんだ、ってか?
 
 ごまかせているのかどうか分からんが、アガマーはタロス広場へと入っていった。
 そういえばタロスは九大神の一人だが、元々タイバー・セプティムという人間だったらしい。その彼を神格化したものだと言われている。
 なるほど、タロスは英雄の名に相応しい男かもしれん。だが神ではない。
 ……ん? 何の理論だこれは?
 

 そんなどうでもいいことを考えているうちに、アガマーはタロス広場にある家の一つに入っていった。
 ここが奴の家か?
 家の中を調査したいが、アガマーが外に出てから侵入した方がよいだろうな。
 
 なんだろう、探偵さんでもやっているのかな?
 緑娘は今日中には帰ってきてと言われていたが、たまには朝帰りをして怒られるのも一興だ。
 そんなわけで、俺は家の前で再び張り込みを再開するのだった。
 
 
 
 
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