シャヴァーリの仕事 ~サルモールからの抹殺指令~
シャヴァーリは正式に盗賊ギルドの一員になっているわけではない。
あくまでこれまで通り、善意で俺のサポートをしてくれているだけなんだ。
だから、メルセルはギルドの問題となると彼女に首を突っ込まれて欲しくないわけだ。
それならばシャヴァーリにも盗賊ギルドに入るよう説得して、ブリニョルフに頼み込んでみるか。
そして雪帷の聖域に連れて行き、事後承諾という形になるが、メルセルにも事情を話して連れて行くことを許してもらうか。
シャヴァーリはどこに行ったか?
……と思ったら、嬉しそうにこっちに駆け込んでくるじゃないか。
シャヴァーリ「レイジィ、ちょっと見て!」
レイジィ「なんかね?」
シャヴァーリ「ついに、ついに仕事が来たわ!」
レイジィ「ほぉ、やったな」
シャヴァーリ「本来なら他言無用の件なんだけど、あなたには見せてあげるわ」
そう言ってシャヴァーリは嬉しそうに一枚の指令所を見せてくれた。
サルモールからの指令か……
レイジィ「ついに始まったな、標的は何だ?」
シャヴァーリ「ブレイズ狩りよ」
エチエン「ブレイズだって?」
レイジィ「ん?」
シャヴァーリ「知ってるの?!」
エチエン「ラットウェイ・ウォーレンズにブレイズのエズバーンが潜んでいるのを知ってるんだ」
シャヴァーリ「ブレイズの名前はエズバーンね」
エチエン「それを知ってたおかげで、俺はサルモールに捕まり散々だったよ……」
レイジィ「よく戻ってこれたなぁ」
エチエン「サルモールに化けてた変な奴が助けてくれたんだ、誰だか知らんが感謝してるよ」
(彼が助かった経緯)
盗賊ギルドに加わるよう説得する前についに指令が来たか。
シャヴァーリはずっとこれを待ち望んでいたんだ。
ブレイズのエズバーンがラットウェイ・ウォーレンズに潜んでいる事を知ったシャヴァーリは、すぐにでもそこに言ってみたいと言い出したのだ。
仕方ない、こっちの仕事をさっさと済ませてギルドに入るよう説得してみるか。
ラットウェイ・ウォーレンズ……
リフテンの地下街だ。
ここにエズバーンという者が潜んでいるという。
彼はブレイズ――聞いた話では帝国の親衛隊だとか。
ラットウェイ・ウォーレンズを彷徨ってみるが、それらしき人物はどこにも居ない。
ただ、一番奥の間で、厳重な鍵がかけられている部屋があったぐらいだ。
レイジィ「なかに居るのは誰だ?」
エズバーン「立ち去れ!」
シャヴァーリ「あんた、エズバーンだろ? 出てきなさい!」
エズバーン「何なんだ? そんな奴は知らない。私はエズバーンではない! 何の話かさっぱり分からん!」
レイジィ「取り付く島も無いな……」
おそらくこいつがエズバーンだろう。
だが警戒して部屋から一歩も出てこないし、俺達を入れようともしない。
シャヴァーリ「絶対に奴がエズバーンだわ」
レイジィ「出てこないかぎり、手出しできないな……」
シャヴァーリ「いつか出てきたところを狙ってやる」
レイジィ「それよりも、俺と一緒に盗賊ギルドをやらないか?」
シャヴァーリ「……ありがとう、誘ってくれて。でも、この仕事だけはやり遂げたいの」
レイジィ「俺はこれから雪帷の聖域という遺跡に行かなければならないんだよ。それも急いで――」
シャヴァーリ「その間にエズバーンに逃げられたら……」
レイジィ「俺はお前と一緒に仕事がしたいんだ」
シャヴァーリ「わかったわ……、でもこれだけはやらせて、私の力がどこまで通用するか試してみたいの……」
レイジィ「そうか……、わかった。でも無理はするなよ」
シャヴァーリ「ごめんなさい、我侭を言って……。あなたも気をつけてね」
シャヴァーリは、エズバーンを監視するためにリフテンに残る事になった。
メルセルの待つ、雪帷の聖域という遺跡に向かう。
ひとりで俺は……
次の仕事がうまくいく自信は……
ない
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