相棒
そういえば、ガラム・エイに会った顛末をメルセルに報告するのがまだだったな。
あまり報告が遅くなってもいかん、ここらで報告を入れておくか。
まぁ、それだけギルドの仕事が楽しいのだ。
レイジィ「メルセル、ガラム・エイと会って来たぞ」
メルセル「よくやった。それで、買い手に関して何か吐いたか?」
レイジィ「ゴールデングロウ農園は、カーリアという女に買われたんだとさ」
メルセル「な、何だと? そんな馬鹿な。その名前はほとんど忘れかけていたんだぞ。これは本当に重大な知らせだ、彼女とはもう絶対に会いたくないと思ってたんだが……」
レイジィ「ガラム・エイは、彼女が先代のギルドマスター、ガルスの殺害に関わっていたとか言ってたが?」
メルセル「その通り、カーリアはこのギルドにとって大事なものを全部ぶっ壊したんだ。俺の前任者を冷酷に殺し、ギルドを裏切った女なんだよ」
……この人がギルドマスターだったのか。
ブリニョルフとどっちかだろうと思っていたが、メルセルだったか。
これからは「マスター」と呼ばなくてはな。
メルセルは、彼女の犯行を知って、何ヶ月もかけて行方を追ったのだが、どこかに消えてしまったと……
そしてカーリアは、「相棒」みたいな存在だったと聞いた。
悪さをする時はいつも一緒だったし、お互いを常に助け合っていた。
相棒か……
俺にとってのシャヴァーリみたいなものか……
メルセル「彼女の居場所が分かれば……」
レイジィ「ガラム・エイは、『終わりが始まった場所』に居ると言っていたが」
メルセル「それが意味する場所はひとつしかない。彼女がガルスを殺したあの場所・・雪帷の聖域という遺跡のことだ」
レイジィ「殺した場所、か」
メルセル「彼女がまた消える前に、我々がそこに行こう」
レイジィ「俺も?」
メルセル「そうだ、お前も一緒に来てくれ。2人で協力して彼女を始末するんだ」
レイジィ「2人? シャヴァーリは?」
メルセル「これはギルドの問題だ、彼女には関係の無いことだ」
とは言うが、シャヴァーリはいつも苦楽を共にしてきた相棒なんだ。
関係が無いの一言で付いて来るなというのはちょっと横暴だぞ?
だがメルセルがマスターであると分かった以上、マスターの言うことは絶対だ。
連れてくるなと言われれば、従うしかない……
だが腑に落ちない点もあるぞ?
重要なことなら一人でも人手が多いほうが良いのじゃないかな。
まさかカジートだから嫌っているのじゃないだろうな?
カジートは人間からはとかく嫌われがちなんだ。
我等がアルゴニアンも一部迫害されるが、カジートほどではない。
メルセル「準備ができたら遺跡で落ち合おう。急いでくれ、ぐずぐずしていたら彼女に逃げられる」
そう言い残して、メルセルはその場を立ち去って行った。
さて、どうしたものか……
シャヴァーリにも盗賊ギルドに入ってもらうのが一番なのだが……
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