フォースウォーン編8 ~不正、犠牲、似非~
マルカルスは腐っている。
いや、正確に言えばマルカルスの支配層は腐っている。
ここを滅ぼすためなら、サルモールに魂を売っても良いぐらいだ。
むかーしむかし、ある所に娘と一緒に過ごしていた男がおったそうな。
その男は、一度マダナックと話をしたことがあったそうな。
マダナックはフォースウォーンの王、かつてリーチ地方で反乱を起こした首謀者だったそうな。
しかしその男はその反乱とは無関係なのであった。
だが、マルカルスのノルドにとっては、反乱に関係あるかどうかなどはどうでもよかったのであった。
ただ、マダナックと会話をしたということだけで十分であった。
たとえその内容が、「おはよーごぜーます、今日も良い天気どすなぁ」でも良かったのだ。
その男は、マダナックと会話をしたことを罪に問われ、処刑されることになったのだ。
だが、娘は父親が離れていくのを見たくなかった。
だから、こう懇願した……
「父を助けてください、その代わり自分を差し出します」
その時マルカルスのノルドは、この男に対して最も残忍な仕打ちを思いついた。
身代わりの娘を父親の目の前で処刑し、そのままその男をシドナ鉱山に結局ぶち込んだのだ。
リセッテ「…………」
ラムリーザ「さて、どうしたものか」
リセッテ「……もう何も言えないわ、マダナックの所に戻りましょう」
酷い話だよな。
少なくともマルカルスの支配者層は、サルモールのやっていることを悪く言う資格は無いよな。
対象がタロス崇拝者か、不正の的となった犠牲者の違い。
んや、理由が不正となれば、サルモール以下じゃないか……
つーかリセッテさん投獄した地点で、俺の宿敵確定だ。
本当にここは帝国領なのか?
…………
ボルタル「おい、お前がくれたナイフ、また消えてしまったぞ」
ラムリーザ「またかよ~、ちゃんと管理してくれよな~」
ボルタル「う~む……」
これが最後だぞ。
もう二度と無くすなよ。
俺の名前はラムリーザ、詐欺師であるw
マルカルスでごたごたに巻き込まれて投獄されたが、なんとリセッテさんまで投獄されてしまった。
なんとしてでも、せめて彼女だけでも助け出してあげないと、死んでも死に切れないないわい。
マダナック「どうだ? わかったか?」
ラムリーザ「分かった、奴らはサルモールと同じだ。いや、不正をしない分サルモールの方がマシ」
マダナック「そういう話を何度も聞かされる身になってみろ。毎回違う一族と別の不正が登場する」
リセッテ「いつまでもこのままでいいの?」
マダナック「そうだな、俺と仲間は戦い続けるべきなんだ」
リセッテ「じゃあ、ここから脱出できるのね」
マダナック「ただし、条件がある」
マダナックが言うには、一緒に脱出するには忠誠を示さなければならないと来た。
不運なグリスバーっていう盗賊で密告者な奴はもう用済みだそうで、始末してくれればシドナ鉱山から脱出する計画に加えてくれるということだ。
リセッテ「待って!」
ラムリーザ「どうした?」
リセッテ「本当に、始末するの?」
ラムリーザ「ああ、そうしなければここから抜け出すことができない」
リセッテ「でも、何も殺すことなんて……」
ラムリーザ「気にするな、手が汚れるのは俺だけだ」
リセッテ「そういうの嫌なの!」
……ならばどないしろ言うんや(´・ω・`)
さて……
グリスバー「なんだ、お前達?」
リセッテ「どうするのよ?」
オドヴァン「どうした、何か問題でも起きたのか?」
ラムリーザ「いや、マダナックがこのグリスバーを始末しろって……」
リセッテ「…………」
オドヴァン「マダナックが? そうか! 分かった!」
グリスバー「何だって? やめろ、殺さないでくれ! お願いだ!!」
俺が手を下す前に、勝手に始めちゃったよ……
……えげつない(;´Д`)
マダナックよ……、こんなことを本当に望んだのか?
まぁ、ここから抜け出すためには仕方ないか……
リセッテさんを逃がすためだ、恨むなら俺だけを――、って俺何もしてねーよw
うわ、みんな集まってきたよ。
野次馬根性丸出しですなぁw
ボルタル「あっ、ここに居たか! お前がくれたナイフ、また消えてしまったぞ?!」
ラムリーザ「知らん!」
ボルタル「う~む……」
リセッテ「…………」
これで、いいのか?
前の話へ/目次に戻る/次の話へ