帝国軍編8 ~ウルフリック・ストームクローク~
今回の仕事で、テュリウス将軍に「スカイリムの情勢」を理解してくるよう言われている。
そもそもウルフリック・ストームクロークのことをど忘れしていたという落ち度が俺にあったわけだが。
俺は帝国軍に属していて、なんとなくその主義主張に従っているが、ストームクローク側にも同じだけの主義主張があるはずだ。
エレン姉やん……いや、サルモールに逆らってまでその主義主張を貫き通す強い信念は、一体どこから生まれているのか?
敵である俺にすべてを語ってくれるとは思えないが、この機会を利用してウルフリックにこの戦争の意味を聞いてみることにした。
ウルフリックの話では、戦う理由として、我等(ノルドかな)は帝国のために血を流したが、帝国は我等のために血を流さないからだとか。
帝国を自治領――これはアルドメリ自治領のことだろうな――から守るために無数のノルドが散っていったと。
だがその結果は、帝国がその王座を守るために、スカイリムはサルモールに売り渡された。
そしてウルフリックは、スカイリムが英雄を必要とし、他にそれをなす者が無いゆえ戦い続けると……
それと、帝国の甘い蜜を吸い首長達が弱体化したこと、我等の威信を取り戻す道をを民に示すたに、上級王を殺し同胞に戦争を仕掛けたと……
…………
ハイエルフの俺にはノルドの威信などわからん。
だが、例えばサマーセット島をノルドが侵略してきた時、俺はウルフリックのように立ち上がることができるのか?
ラムリーザ「…………」
リディア「従士様、どうなされましたか。はやくホワイトランに帰って伝えなければ」
ラムリーザ「リディア、ウルフリックは立派な男だよな……」
リディア「はい、でも従士様もホワイトランのために戦ってくれている立派な人です」
ラムリーザ「……いや違う、俺は……」
リディア「従士様、沈んでいますよ!」
ラムリーザ「……俺は……」
ラムリーザ「……ただリセッテさんの気を引くために戦っているだけなんだ……」
ラムリーザ「……エレン姉やんに怯えてこそこそしているだけなんだ……」
ラムリーザ「……ドラゴンボーンだと祭り上げられ、その場の雰囲気に流されているだけなんだ……」
ラムリーザ「……マグナスの目を放置して……たらマズいぞおい、また忘れてるじゃねーかよ!」
リディア「従士様、溺れてしまいますよ!!」
ラムリーザ「あれっ、いつの間にっ、うわっ、冷たいっ。ってリディアまで飛び込む必要無いぞ?」
リディア「あなたの重荷は背負うって誓ったのです」
ラムリーザ「別に悩んでいるわけじゃないからさ。ウルフリックに比べたらおれってちっぽけだな……って思っただけさ(。-`ω´-)」
リディア「従士様は、従士様のなさりたいようにすればいいのです。従士様にしかできないこともあります」
ラムリーザ「……そうだな、ありがとう」
ウルフリック・ストームクローク……
今はまだお前には全然及ばない男だが、いつか必ずお前を越えてやる。
そしてお前を打ち破った日には、心行くまで飲み歌うことにしよう。
その時はリセッテさんと……
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