哀しげな番兵 後編 ~船乗りの宝~
ブラヴィルでは、ニーベン湾の岸にたたずみ、立ち止まっては海を悲しそうに眺める幽霊が出るという噂が広まっていた。
そこで、その噂を究明するべく動いてみたところ、本当に幽霊は現れたのだった。
幽霊の名前は、グランサム・ブレイクレイ。
豹の口で彼自身を探し出して、助けてくださいときたものだ。
ギルゴンドリンに豹の口の場所を聞いたので、行き先は決まっている。
その豹の口はこちらの方角。
幽霊グランサムは、豹の口を眺めていたのか……。
対岸へと渡り、豹の口へと向かう。
そこには、難破した船が一隻転がっていた。
やはり海難事故でやられた幽霊だったのか?
早速沈没船の調査だ! と意気込んで乗り込んだところ――
船の中と言えば、絶対こいつが出てくるよな、アンヴィルの時もそうだったし!
ある程度予想がついていたので、慌てずに落ち着いて対処。
やばくなれば外に出て、広いところで逃げ回りながら戦えば良いのだ。
船乗りは死ぬともれなく幽霊になるという法則でもあるのだろうか?
船の中にある航海日誌によれば、暴動や船が航路を外れたことが書かれていた。
そして最後には豹の口にある岩にぶつかった、ってことかな?
さらに日誌の内容では、幽霊となったグランサムが最後まで船長に忠誠を誓っていたので、暴動の際に捕らえられてしまったようなことも書かれていた。
そっか、そこで捕らえられた魂を解放すればいいのね。
ちなみに、船の一番奥には親玉のような幽霊が居たが――
ワバジャックを使うと鹿の姿に変わってしまった。
能力も鹿になるようで、持っていた剣を一振りしたら簡単に退治できてしまった。
シェオゴラスにもらった杖は、便利かもしれないね。
その先には、なにやら縛り付けられた骨があったりした。
ひょっとしてこれが、グランサムの成れの果てか? 探し出して助けるとは、この骨を解放することなのだろうか。
鹿と化した先ほどの親分から手に入れた鍵で、この骨の戒めを解いてやった。
するとすぐにグランサムの霊が現れて、感謝を伝えてきた。
さらに、ここの船倉にある地図に書かれている場所に宝があるので、それを報酬として譲ると言ってきた。気前が良いねぇ。
地図によると、宝はここから東に進んだ先、蛇行する川の中に沈めてあるようだ。
せっかくだから、頂いておこう。
沈没船から出ると、すっかり夜が明けていた。
蛇行する川を突っ切りながら、宝を探しに向かうことにする。
地図の示している宝の場所は、この近辺の水底のはずなのだが、なかなか見つからない。
こんな時に役に立つのが、シェイディンハルの魔術師ギルドでもらった水中呼吸の魔法。この魔法を使いながら、この辺りの水中を探して回る。
そしてようやく発見。宝が湿ってふやけてなければいいけどな。
中身は金貨や宝石。金貨は追いはぎでいくらでも手に入るが、宝石はあまり見かけないのでこちらの方が貴重だね。
こうして、ブラヴィルで噂になっていた幽霊の話は、幽霊は成仏でき、俺は宝石を手に入れて、めでたしめでたしとなったのさ。
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