悪夢の闇を超えて 後編 ~数々の試練~
現在俺は、危険な実験の末に夢の世界に囚われたヘナンティアを助けるために、夢界のアミュレットを使って彼の夢の中へと入り込んでいる。
いくつかの試練があるようで、その試練に応じたエレメントを集めるのが目的になっているようだ。
次に挑戦する試練は、忍耐の試練。
裸なのは気にしないで欲しい。ヘナンティアの趣味なのかどうか知らないが、彼の夢に入ると裸になってしまったのだ。
まぁ裸の夢とか見ることはあるようで、心の奥深くで本当に感じていることや考えていることを表す夢であると言われているらしい。
ヘナンティアが裸じゃなかったのが不思議だけどな。
ここでは一本の巻物を入手した。書かれている物は文字か記号かわからない何か。
最初は意味がわからなかったが、先に進むとその意味はなんとなくわかったのだ。
どうやら進むべき道筋になっているようで、巻物に書かれている記号をよく見ると、一つの同じ記号が道を作っていたのだった。
その巻物に書かれているとおりの道筋で進めば、何も起きずに先へ進めたのだった。
ここで見つけたのは、忍耐のエレメント。
これでヘナンティアに忍耐が取り戻された、ということで良いのかな?
次に向かったのは、勇気の試練だ。
なんだろう、水の中を進むのだろうか?
手に入ったものは水中呼吸のポーション。薬を飲めば水中呼吸ができる原理もよくわからないが、とにかくこの薬を飲んで水の中を進まなければならないようだ。
泳ぎ着いた場所は、妙にサイケデリックな場所。
いかにも体に悪そうな水。ひんな水の中を進む勇気を試されたのだろうか?
それともヘナンティアの悪趣味なのだろうか?
ここで見つけたのは、勇気のエレメント。
これでヘナンティアは、知覚、忍耐、勇気を取り戻したことになる。
しかしまだ夢から抜け出せないのは、まだ足りないものがあるのだろう。
ヘナンティアの夢の中は、殺風景に加えて今度は悪趣味も追加された。
夢の中にある部屋がこんなだから、ヘナンティアの考えていることはいったい……
扉からは血がほとばしっている。暴力的だな!
その扉の先は、決意の試練。
そこで用意されていたものを身に付けると、俺は完璧なる緑仮面と化していた。
裸で居るぐらいなら緑仮面でいいや。
かっこいいか?
かっこいいって言え!
というわけで先に進むと、二体のミノタウロスが襲い掛かってきた!
なんか知らんけど、夢の中では霊峰の指が使えない! 俺は無力なのか?!
まともに正面からミノタウロスとやりあう気は無いので、いつもどおりにすぐに高台へと登って攻撃をかわす。
こうすればミノタウロスもオーガと一緒で、下をうろうろするだけだ。
そこに杖の魔力をぶつける。魔法は使えないが、夢の中で手に入れた武器は使えるようだ。
しばらくの間、高台から狙い撃ちを続けていると、杖の魔力がなくなってしまった。ミノタウロスは後一匹残っている。
仕方が無いので、もう一つこの部屋に用意されていた斧で切りかかってやった。
杖の魔力で弱らせていたのでなんとかなったようなものだ。
夢の世界とはいえ、命がけなのが大変だ。ヘナンティアはいったい何を考えているのだろうか?
そんなわけで、不屈のエレメント入手。
どうだ? 緑仮面が助けに来たぞ。
四つのエレメントをヘナンティアに渡すと、視界が暗転して、そして――
びっくりした!
トカゲ顔を間近でみたら怖いから近くに来るな、クッド=エイ!
ひょっとして俺が眠っている間、ずっと傍で見守っていてくれたのか?
それはそれでうれしいが、やっぱり怖い(。-`ω´-)
以上で、ヘナンティアを無事に現実世界に連れ戻せたようだ。
異世界に希望を持っている諸君、今回の話で異世界にそれほど期待してはいけないということがわかっただろう?
チートで無双とかハーレムなんて、ただの夢物語でしかないんだ。
現実の異世界なんて、今回体験したようなものなんだ。
俺はヘナンティアと顔を見合わせると、何かを悟ったかのようにお互い大きく頷くのだった。
まぁ、ここでは夢の世界をヴァーミルナという悪魔のようなモノが支配しているので、あまり期待できんのかもしれんのだがな……
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