ハックダートを包む影 前編 ~森の中の怪しげな村~
コロルの魔術師ギルドの居住区で起きる、ティーキウスに挨拶する、コロルの街を散歩する、そんな毎日が過ぎていく。
なんだかんだで、コロルが生活していくには一番良い街かもしれない。ブルーマは雪が冷たいし、シェイディンハルは景色はいいが、街の中でたまに嫌な予感を感じる。
そういえば最近、ダル=マの姿を見かけないな。少し前までは、魔術師ギルドの前でイラーナ達と雑談していたんだけどな。
そういうわけで、ダル=マの母が経営していると言っていた、グッズ&トレードという店に行ってみた。
最初は爬虫類人間アルゴニアンには驚かされたが、ティーキウスやディートサン、特に毎日ティーキウスに挨拶していたらもう慣れた。
ダル=マの母親シード=ニーウスもトカゲでした、あたりまえか。
しかし、どうやらトラブルが発生していた模様。
なんでもダル=マが行方不明になってしまったのだとか。また行方不明か!
この世界は行方不明になることが多いな、今度は井戸の中か? 絵の中か?
母親の話では、ハックダートという所に行ったきり戻らないのだそうで。ハックダートね、わからん。
とりあえず名声が稼げそうなので、捜索をしてあげることにした。そろそろコロルに家を買えるかな?
そういうわけで、ハックダートを目指すことになった。
コロルの南にある人里離れた村だそうで、ウェザーレアの近くっぽかった。
ダル=マはその村にある、ティーラ・モスリンの店に商品を届けに向かった、以上が知りえる情報の全てだ。
場所はこの辺り。一旦ウェザーレアまで向かって、そこから北上するのがいいかな。
地図からしたら、ここから丁度東にあるっぽいけど、深くなった川がその行く手を阻んでいる。
やはりウェザーレアまで行くか。
ウェザーレアまでは、コロルから道が通っているが、ハックダートへの道は無いようだ。あまり外から人の入ってこない、閉鎖的な村なのかな?
よし、ここから森を突っ切っていこう。
コロル南の森は、シェイディンハル南の森よりも深くないので、それほど驚きはしない。
ヴァーミルナの祭殿付近の森は凄かったからなぁ。
というわけで、熊とかに襲われたりしたけど、森の中にある静かな村を発見した。おそらくここが、ハックダートだろう。
ハックダートの村に入ると、すぐに馬を発見することができた。
この馬が、ダル=マの母親が言っていた、ダル=マの愛馬、ブロッサムだろうか。
馬番でもしているのか、村人に話を聞いてみたが、よそ者は立ち去れと言ってきた。おー、排他的な村ねぇ。
その村人は、「お前達はいつも俺達を滅ぼそうとしてきた」などと言っているが、何の話だ? 俺はこの村は初めてだぞ?
ひょっとしてその滅ぼそうとしてきた奴って、あの食人種のオーガのことじゃないのかねぇ?
あの野蛮人、この辺りにあるレッドガード渓谷洞穴を拠点にして暴れまわっていたから、ハックダートに襲い掛かってきても不思議ではない。
まぁ俺がその洞穴のオーガを全て駆除したから、これからは被害は出ないと思うけどね。
村の中を見回してみる。
人の気配がほとんど無い、馬番以外はみんな引き篭もっているのか?
ダル=マの母親の話では、ティーラ・モスリンの店に品物を届けに行ったと言っていたので、モスリンの店を探してみる。
モスリンの店はすぐに見つかったが、馬番が何故かついてきていた。馬を見張ってなくていいのか?
しかしモスリンは、若い女はこの辺りでは見かけないと言う。
まぁトカゲ人間アルゴニアンだからな。男か女の区別がつかないのだろう。俺も、ティーキウスが男、ダル=マが女と言われても、よくわからん。
ところがモスリンは、アルゴニアンすら知らないと言う。
妙だな? 品物を届けに来てもらったのじゃないのか?
店の中を調べさせてもらおうかと思ったら、ぴったりと俺に張り付いて監視してきやがる。
まあいい、村の他の場所を調べよう。
??
モスリンの店から出ると、馬番もついてきたぞ? 変な奴だな――
――と思ったら、こいつ俺の行動を監視してやがる!
村を調べようと思うが、こいつの視線が気になって仕方が無い。やはりこの村には、何かあるな?
村の中、どこへ行ってもこいつはついてくる。話しかけると「よそ者は出て行け」の一点張り。お前が出て行け!
そんな中、村の墓地で一人の村人に出会った。
他に外をうろついている村人は居ないので、この村人が珍しいというかなんというか。
彼の名前は、ジヴ・ヒリエル。ジブはダル=マのことを知っているようだった。
しかし彼の話では、ダル=マは危険にさらされているのだという。まぁ誘拐されていて安全という話はあまり聞かないよな。
ジヴは、日が暮れてから家に来なさいと言って、墓地を立ち去っていった。
ひとまずは彼に話を聞くしか解決策はなさそうだな。