ゲートキーパーの再生 その4 ~骨肉の園~
シェオゴラスの依頼でゲートキーパーを再生するために、ザセルム砦に住むレルミナに会った。
レルミナの話では、ゲートキーパーの再生には4つの素材が必要だと言う。
それは、血のリキュール、骨中の髄、皮膚の膜、息吹のエッセンス。
それらを手に入れるために、フリンジにある肉と骨の庭園と呼ばれている骨肉の園へやってきたところだ。
骨肉の園という名だが、中身はよくある遺跡や砦の類であった。
石の壁と床が続き、骨が襲ってくる。
骨肉の園のうち、骨の部分であろう。
そして、肉の部分。ミニゲートキーパーがここの住民。
こいつらもレルミナが造って放置したやつなのかな?
とにかく肉と骨の庭園の名にふさわしい奴らが住み着いているのだ。
あとは、スキンハウンドというゾンビ犬。
チロジャルの元の姿みたいな奴だ。
ひょっとして骨やスキンハウンドに、いちいち奇跡の水を振りかけながら進むと、そこには一つの村が生まれるのだろうか?
いや、山賊や野犬の群れができるだけだろうな。
チロジャルはゾンビ犬の時から味方であった。
つまり、元々敵であったものは、復活させても敵である可能性が高い。
さて、目的はアンデッドの殲滅ではない。
4つの素材の回収である。
遺跡探検の途中、骨でできたオブジェクトを発見したりする。
これはいったい何だろうか?
「う~ん、骨を組み合わせて創作したものとは何か?」
「エド・ゲインか、ババ・ソーヤーに聞いてみたらどうかしら?」
「誰だよそいつら……(。-`ω´-)」
しかしこの骨のオブジェクトから、「骨中の髄」が入手できたのであった。
骨髄と言えばシャンブルズからも入手できたが、それとの違いは何だろうね?
さらに同じフロアには、キノコなのか骨なのか花なのか、よくわからないものがあったりする。
「これは何か?」
「冬人夏草かしら?」
「なんやそれ?」
「人間に寄生しているキノコよ」
「言われてみたらそれっぽいのが怖いな」
確かに人骨から生えてきたキノコにも見える。
そしてこの謎の物体から、「皮膚の膜」を入手できたのであった。
えっと、最初のがゲートキーパーの身体の基礎となる骨格であるとして、これが皮膚になるのだろうか?
気味の悪い物を素材として生まれる奴だな……
まーでも、人体実験や死体いじりをするよりは、こうして謎の物質から生物を作り出す方が、まだ健全と言える。
さて、石造りの遺跡は、木のうろにできた洞窟のようになっていた。
先ほどの骨やキノコの場所もそうだったけどね。
根が開いているようなところを通り過ぎると、後ろでガサッと大きな音がする。
「なんぞ?」
「なにもしてないわ」
「ぬ、根が閉じて戻れなくなってるぞ」
どうやら、俺たちを閉じ込めようとしているかの仕打ちだ。
いざとなったらこの根を切り取ってもいいけどね。
チロジャルが分断されたかに見えたが、背の低い犬は、根の下にできた隙間を通り抜けてくるのだった。
つまり、匍匐前進すれば、問題なく通過できるわけだ。
「ところでふと思ったのだが、いいかな?」
「何かしら?」
「君が匍匐前進したら、どうなるのか?」
「できないわよ!」
「あ、やっぱり?」
まぁ、緑娘の体型だと、地面に胸をすり当てながら進めそうにないわなw
ひょっとしたら緑娘の胸囲は、俺以上にあるかもしれないからなー。
この木の根っこが至る所から生えている洞窟を抜けた先は、聖なる場所であった。
「ここは、聖地に見えないか?」
「要塞の中央にあるエネルギー源みたい。ここを直撃したら、要塞は爆発するのよ」
「何を直撃させるんね?」
「どくばそ」
「なんやそれ?」
緑娘の持論では、要塞の中央にエネルギー源があるらしい。
まぁそれはあり得る。確かにゼディリアンやゼデフェンでは、奥にオベリスクのエネルギー体があったようなものだ。
そこを攻撃して破壊したら、要塞自体がダメになるのもわかる。わかり哲也じゃないけど、わかる。
ただし、たぶん攻撃方法だろうが、それが意味不明だ。
どくばそを直撃させて何になるのだ?
――って「どくばそ」って何だよ。
そしてエネルギー源の中には、どくばそ――じゃなくて、何やら器が浮かんでいる。
これが息吹のエッセンス。三つ目の素材だった。
「息吹のエッセンスなー。息吹とは何の息吹か?」
「たぶん隊長の名前よ」
「何の軍団だよ?」
「モンスターアタックチームよ」
「お、なんだか強そうな軍団だね」
「ただし、作戦に失敗したら即解散よ」
「なんやそれ、厳しーな!」
よく考えてみたら、会話になぜ軍団が現れたのだ?
俺は息吹とは何か? と聞いたのに、緑娘は何と思ったのだろうか?
まあよい。
これで残る素材は血のリキュールである。
なんだかハシルドア伯爵が隠し持ってそう。
骨肉の園は洞窟から再び石造りの遺跡へと戻る。
道は二つに分かれており、その奥に火の玉を噴き出すハンガーの石像と、それに守られた意味ありげなつづら。
この中に血のリキュールが入っているのだろうか?
「盗賊ハンターのガントレットが手に入ったよ。どうだ?」
「なんだかむずがゆそう」
「なんやそれ? 使う?」
「要らない」
「俺も要らない」
結局むずがゆ――くない小手は、つづらの中へと戻されるのであった。
敵の攻撃も熾烈を極める。
それ以上に緑娘の攻撃がえげつない。
骨の間が透けるとんなので刺し攻撃に耐性があり、どちらかと言えば打撃技の方が効果のある骨相手に、刺せる場所ピンポイントで刺してくるから恐ろしい。
手に入れた武器にいちいち妙なレビューを残す緑娘。
それは元々自分は使わないよ、という意思表示なのだろうか?
そしてもう一方の道の先にも、二体のミニゲートキーパーに守られた意味ありげなつづらが。
二体とも退治して、つづらを開ける。
「血のリキュールは入ってた?」
「インプの胆が入っていた」
「そんなの要らない」
「使えば魅力が上昇するよ」
「これ以上上昇したら、オーバーフローして1になっちゃうわ」
「なんやそれ?」
つまり、緑娘は魅力値が限界まで上昇していると言いたいのだな?
「魅力値は今なんぼ?」
「255」
「1UP2UP8ビットボーイなのね」
「ワクワク少年タイムよ」
なんだかよくわからない会話になってしまったよ……(。-`ω´-)
「奥に続く扉があるけど、開かないわ」
「そんな時は周囲に――、このつづらの下にあるボタンを押せばよかろう」
「あっ、開いたよ。でもまたゲートキーパーの小さいのが居る」
「危ないっ! 逃げるんだ!」
「ここはあたしに任せて先に進んで!」
「狭い通路で戦われたら、先に進めんよ!」
「じゃあ邪魔しないで見てて」
援護しろじゃなくて、俺に任せろという命令を下すから、緑娘は怖いよな。
いや、緑娘の場合は、私に任せて、かな?
どっちにせよ俺は、緑娘が戦いやすいように松明で照らすだけだ。
まあよい。
弓矢を取り出さなければ、好きなように戦わせてやる。
その通路の奥は、壁からしみだしている赤い液体で池のようになっていた。
「これが血のリキュールかな?」
「血液なら、空気に触れたら固まるはずよ」
「じゃあこれは何だろう?」
「赤チンよ」
「…………(。-`ω´-)」
まあいい、これを血のリキュールとして持ち帰ろう。
よく考えてみたら、ここまで入手してきた素材も、全てそれっぽいからそう思っていただけだ。
これが骨中の髄である、皮膚の膜であるとはどこにも書いていない。
間違っていたらレルミナにごめんなさいをして、改めて取りに来ればよかろう。
こうして、なんとなく四つの素材を手に入れたのであった。
これでゲートキーパーは再生するのか――?
続く――
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