ゲートキーパーの再生 その3 ~レルミナの依頼~
シェオゴラスの依頼でゲートキーパーを再生するために、ザセルム砦に住むレルミナに会うこととなった。
骨やミニゲートキーパーがうろついているザセルム砦を奥へと進んでいく。
そして奥の研究所のような場所で、レルミナを発見したのだ。
「あっ、あなたは忘れちゃいないわ! わがゲートキーパーを殺した冒険者でしょう?」
「他人の空似でしょう。どこにでも居るただの冒険者ですよ」
「いえ、その声も聞き覚えがあるわ」
「それよりも今ここに俺が来なかったか?」
「あなたがゲートキーパー殺したんでしょう?」
「バッカヤロー! そいつがラムリーザだ! 俺に化けて潜り込んだんだ!」
「…………?」
外したか? いきなりなんだかよくわからなくなってきた……(。-`ω´-)
とりあえずこの場は、ゲートキーパーを退治した奴と俺とは別人と言うことにする。
そうだ、彼の仕業だということにしておこう。
「ゲートキーパーを退治したのは、氷血のジェイレッドですよ」
「あら本当? そうは思わないけど?」
「彼をナメてはいけない。ゲートキーパーの弱点を見破っている一流の戦士だ」
「それは困りましたね。ジェイレッドはいつか始末しなければ」
押し付ける形となってしまったが、レルミナ程度と渡り合えなければ一流の戦士だと言えない。
彼女に捕まって実験台にされたならば、彼もその程度の戦士だったというわけだ。
「彼のことは後で考えるとして、ただの冒険者が何の権限があって仕事の邪魔をするの?」
「それが仕事か……、まあいい。シェオゴラスの使者だよ。あのじじいの権限によってだ」
「なるほど。シェオゴラス様自ら足を運ぶほどの用事ではない訳ね。だからただの冒険者を小間使いとしてよこしたの?」
「そういう風にも取れるか」
あのじじい自ら足を運ぶような用事があるのかどうかはさておいて、レルミナもここまで俺がやってきたことを認めて、話を聞く気になったようだ。
やはりここまで立ちふさがってきた骨やミニゲートキーパー、スキンハウンドは彼女のしもべだったらしく、そいつらを蹴散らしてきた俺を敵に回す気にはならないらしい。
あと、こいつは引き籠って研究しているから、世間の情勢に疎いのね。
パスウォールの連中は、俺がディメンシア公爵になったことを知っているのに、こいつはただの冒険者だと言えばそれを素直に信じてやがる。
「実は、シロディールのアークメイジなんだよ俺は」
「あらそう、どうでもいいわ」
疎いのではなく、外の世界については知らないし、どうでもいいらしい。
「それで、シェオゴラス様の小間使いが、私に何の用かしら?」
「こんな研究は打ち切りにせよ、と」
「あら、調査対象のこと? 彼らの運命を顧みる必要はないわ。ある種の志願者なのだから」
「嘘を言うな」
念のために、ここまでに見てきた非人道的な実験を止めさせるよう試みてみた。
どうせ聞き入れないだろうが、念のため――だ。
返事によって、今後の俺の動きが変わってくる。
レルミナは、生死における痛みと苦しみという性質を研究していると言うのだ。
そして、価値あるものは常に蘇生させているし、そもそもこの研究は、シェオゴラス自身も認めていると言うのだ。
「このように、ねっ!」
「――まぁいいだろう。それよりも、シェオゴラスは新たなゲートキーパーを欲しているみたいなのだ」
「へぇ、あの方がそう?」
とりあえず研究を止めさせるのは後でいい。
現シェオゴラスが認めているのなら、今はそのままやらせてやろう。
ただし、もしも違う者が戦慄の島の支配者になった時、レルミナは自分の運命を知ることだろう……
「じじい――いや、あんたらの言う狂神の命令だぞ」
「いいでしょう、それが我が主の意志なら、私の意思でもある」
つまり、俺がこの世界の支配者になって、馬鹿な研究を止めろと言ったら、素直に従うということか?
そこまで素直な態度を取るのなら、犠牲者にはしばらくの辛抱だと考えてもらおう。
どっちにせよ俺が支配者になったら、レルミナは研究を止めるか、二度と研究ができなくなるか、二つに一つだ。
「でも困りましたね。私の我が子は、死に打ちのめされてしまって、生みの地には戻れない」
「あなたが作ったものなら、もう一度作り直せばよいのでは?」
「いいえ、それはあなたの役目です。肉と骨の庭園、骨肉の園に向かいなさい。そこで儀式に必要となる素材を集めるのよ」
おかしなことを言う。
材料なら既に揃っているのでは?
ここまでに遭遇してきたミニゲートキーパーを、大きくしてくれるだけでいいのにね。
「血のリキュール、骨中の髄、皮膚の膜、息吹のエッセンスを持ってきなさい」
「ゲートキーパーって、死体を組み合わせたフランケン――、じゃなくてモンスターみたいなものでは?」
おっといかん。
科学者と化け物の名前を間違える人が多いけど、つまりそういうことだからね。
「いいえ、新たな坊やを現世へ産み落とすための成分が必要なのよ」
「ここまで来るまでに、似たようなの居たぞ。あれを大きくしたらいいだけじゃないのか?」
「あれは死体を継ぎ合わせて作ったフランケ――、モンスターよ」
「創造主も思わず間違えそうになるぐらい、世間には勘違いが浸透しとるんやのぉ……(。-`ω´-)」
まあなんだ、チェーンソーを持ったことがあるだのないだの、いろいろと勘違いはあるものだ。
例えば、人間は寒い場所では吐く息が白くなるが、物体は呼吸していないから白い息が見えないとか。
あとは、ゾンビは惑星の爆発で誕生したとか、例えば夢を見る機械から起き上がって周囲を伺うとか、原作には無くて勝手に追加した話だからな。
「とにかく! 骨肉の園に向いなさい! あなたは高貴なる公爵さまでしょう?」
「知っとったんかい!」
「ゲートキーパーの討伐者でしょう?」
「違う、それはジェイレッド」
「偉大なシェオゴラス神の勇者でしょう?」
「それはあまりうれしくない」
「あなたなら、見つけ出せるはずよ。ダメなら、シェオゴラス神の見込み違いだったのね」
「わーった、わーった」
そんなわけで、次に目指す場所は「骨肉の園」だと決まった。
肉と骨の庭園か、あまり気分の良い場所ではないだろうなぁ……
つまり、ゲートキーパーとこいつらとは全くの別物だったわけだ。
こいつらは死体を継ぎ合わせて作ったモンス――、フランケ――、いや、モンスター。最初ので合ってたのに言い直すなよ俺。
しかしゲートキーパーは、それを作るために特別な素材が必要なわけだ。
「あっ」
「なによ」
「上から覗いたらおっぱいがヤバーい」
「なによそれ!」
「冗談だ。火ばしと測径両脚器がある」
「それがどうしたのかしら?」
「水が空に浮く……」
「あー……」
俺は信じるからな。
もしも百個集めてきても水が浮かばなかったら、トーヴはポア!( ゚д゚ )
次期シェオゴラスは、狂っているふりをしていれば幸せに生きられるとは限らないのである。
むろん、狂った研究も打ち切りだ。
それでは改めて諸君らに問おう。
こんな研究を許せるか?
私は許せない(。-`ω´-)
だから、今後の展開次第では、レルミナはキルキルキル……、ママママママ……
さて、レルミナの研究室から抜けた先は、マニアの地であった。
ディメンシアは曇り空でも、マニアでは相変わらず明るい空で変わりは無い。
これは、俺がディメンシア公爵になったということで、ディメンシアは少しずつ変わってきているのだろうか。
位置的にフリンジの北だろうと考えて南に進むと、その先にフリンジを見つけたのであった。
ここから見ると、フリンジも晴れ渡っているように見えるが、はてさて――
ダメだ、元のディメンシアに戻った……(。-`ω´-)
まだディメンシアは、俺色に染まっていないのだろうか?
だが俺は諦めない。
ずっと夢に向かって、自分の色を信じよう。
緑色に――
――って、この空、青緑っぽいとも取れるのだよねー。
「コトはうまくいっているよ! みんなもじき、俺の言うことを聞かざるを得なくなるさ」
「うむ、よろしい。パスウォールを早く復興したまへ――」
シェルデンは、廃墟の村で一人張り切っている。
村長が生きていれば、いずれは村は復興するさ。
もともと廃墟を一人から復興させたと言っていたからね。
だから俺は言いたい。
半数の艦数より、ウランフ提督に生きていてもらいたかったと……(。-`ω´-)
こわっ!
生き残った村人は、生ける屍と化していた……
元からだけどねw
「あらゆるものが荒れ果ててしまったぁ……、私の宿もダメに……」
「やっと現状を理解したか……(。-`ω´-)」
「なんてことなのっ……」
ゼデフェン遺跡から戻ってきた直後は、こいつ何も分かっていない感じだったのにね。
ぼんやりと立ってないで、せいぜいシェルデンに協力しろってんだ。
宿屋周辺のオベリスクを除去さえできれば、内部は多分無事だよ。
そして、骨肉の園に到着した。
かつてジェイレッドと一緒に、ゲートキーパーの死体から骨を取ってきた場所だ。
その骨を撤去すれば、もうゲートキーパーが打ち倒されることは無いだろう。
「あ、ゲートキーパーの死体が無くなってる」
「それがどうしたのかしら?」
「これで骨の矢はもう作れない」
「あたしまだ数本持ってるわ」
「…………(。-`ω´-)」
まぁ、別に緑娘なら退治できると言ったところで、何の問題もない。
ゲートキーパーが暴走した時には、頑張って矢を当ててもらおう。
さて、次は骨肉の園の探索だ。
続く――
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