エピローグ1 祭の準備 ~戦慄の島の住民~
シヴァリングアイルズ、戦慄の島住民各位。
新生シェオゴラス誕生祭のお知らせ。
ヘイルの村にて――
「ほほお、ラムリーザと言ったか。フラー仲間が狂神になられたとな?」
「メダルの恩人が即位されたのなら、進んで祝いに行くべきね」
村の住民パイクとマリーンは、ラムリーザの活躍によって結ばれたようなもの。
喜んで誕生祭の参加を決めるのであった。
謹啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、我々がジャガラグによるグレイマーチを退けて、そろそろ一週間が経過しようとしています。
スプリットの村にて――
「ラムリーザと言えば、あの怠けた相方を始末してくれた者だったか」
「これはぜひとも参加して、あの時のお礼を言うべきね」
「全員でゾロゾロ行っても邪魔になるかもしれんので、ここは私と、そうだな――ジャステイラ、君に頼もう」
村の住民、代表者のホルクヴィルと、ジャステイラの二人が、村を代表して参加することとなった。
ディメンシア派の相方が始末されて以降、働き者であるマニック派の住民たちによって、スプリットの村は以前の活気を取り戻していた。
そこでこのたび、即位依頼初の祝賀会を開催する運びとなり、皆様に御通知を申し上げる次第です。
ハイクロスの村にて――
「これはチャンスだわ。ラムリーザに頼んで、ニュー・シェオスの宮廷学者に推薦してもらいましょう」
「ラムリーザはあたしの友達。狂神になられたのだったら、絶対何かをくれるよ」
ハイクロスの村からは、グラマイトの研究も終わって暇を持て余していたミリリが参加を決めたりしていた。
そしてランズ・イン・サークル、ワ=マワーレとも呼ばれているアルゴニアンの娘も同行を申し付けた。彼女はラムリーザがお気に入りなのだ。
一方ブラスカスは、一人は残っていなければというのと、村の掃除が終わらないなどと言って、参加を見合わせてきた。
御多忙のこととは存じますが、万障繰り合わせの上、是非御出席頂きますようお願い申し上げます。
敬具
ディープワロウの村にて――
「わあ、ラムさんやったんだ。これは是非参加して祝福しなければ!」
「へー、あの人ってそんなにすごかったのですね」
マシウとルノーのベラモント親子は、もちろん参加を決める。
思えば、マシウと共にニベン湾中央にある謎の島に現れた奇妙な扉をくぐった時、戦慄の島での冒険が始まったようなものだ。
ラムリーザもマシウも、もうシロディールに戻る予定は、無い。
日時 10th of 燃心月 3E443 午前10時開催
場所 ニュー・シェオス宮殿地区広間
戦慄の島新生シェオゴラス誕生祭幹事 ラムリーザ=シェオゴラス・ネレウテリア
パスウォールの村にて――
「そうか、ラムリーザがそこまで出世したか」
「これは参加して祝ってやる必要があるな」
ラムリーザがこの世界に来て最初に訪れた村、パスウォール。
村長のシェルデンと、パスウォール付近を狩場にしている氷血のジェイレッドが、この村からの参加者となった。
追伸
今度の王は、王妃を娶ることとなりました。
当日、サセラム・アルデン=スルにて結婚式も行います。
みんなも仲良くしてやってください。
フェルムーアの村にて――
「ちょっとあなた、ラムリーザがシェオゴラスの後を継いだですってよ」
「ラナル・ジョーは抗議に向かう。戦慄の島の王は、このラナル・ジョーであることを教え込まねばならない」
「追伸で王妃も定めると言ってるわ。勝手に決めるなんて許せない、女王はこのキシャーシよ」
不穏な馬鹿カジートが二人。
この村を取り仕切っているシンダンウェは、まだ荒らされた家の修復が終わっていないので動けないそうだ。
だから、この二人が祝賀会に殴り込みをかけるみたいだが――?
………
……
…
「というわけで、明日は一日お祭りとする。なお、毎年この日を祝日として扱う。ラムリーザ記念日だ」
「承知いたしました!」
「さて、宴会の準備に取り掛かるように」
「はいっ、ラムリーザ様!」
――とまぁ、元々ニューシェオスの宮殿で、シェオゴラスや公爵に仕えていた者は、まとめて俺直属の使用人となったわけだ。
これからは、マニアもディメンシアも無い。戦慄の島の住民として、統一されるべきなのである。
「陛下、余興をお望みですか?」
「ん、まだ何かあるん?」
「踊り子を呼べますよ」
「ほー、呼んでみてくれ」
なんだかよくわからないが、宮殿には踊り子も存在するらしい。
ハスキルは、パンパンと手を鳴らして、宮殿謁見の間に踊り子を呼び寄せた。
地味やのぉ……(。-`ω´-)
踊り子と言えば、踊り子の服だろう?
しかも、踊りがアレだった。
「♪ええ~、丸く~なあぁ~れ~ぇ、ちょいと丸く~なれ。十五夜お~月さんほどぉ、ちょいとま~る~く~な~れ」
セイドン踊りだった……(。-`ω´-)
「もうよい、控えてよいぞ」
ま、島民には受けるのだろうが、俺はそんなに良いとは思わない。
精々明日は、客人のおもてなしに帆走してもらおう。
「で、君は誰だ?」
「私は王専属の癒し手です。疲れたところはありませんか? 治療をして差し上げましょうか?」
「ん、疲れている気がしているからやってみてん」
「承知いたしました」
初めて見る顔があったと思ったけど、なんてことは無い、普通のヒーラーだった。
俺の記憶が正しければ、先代シェオゴラスの時は居なかったよな?
ま、いいか。疲れたら回復してもらえばよいと考えよう。
さて、明日は新生シェオゴラス誕生祭と、緑娘との結婚式だぞ、と。
この際だから、緑娘の夢を全部叶えてやるのも、王の義務という物である。
あと、俺を巡って争わないようにするために、俺の愛する娘は、緑娘だけであると世に知らしめておこう。
この辺りを怠るから、先代の時代には内乱とか起きたのだよ。
前の話へ/目次に戻る/次の話へ