封じられた地 最終話 ~パラダイスを護る者~
洞窟を進んでいき、その奥にあったものは――
「まさか飛び降りるって言うんじゃないでしょうね?」
「進むしか無い。大丈夫、底には水が張ってある。一ブロックでも水源があると、どんな高さから飛び降りても無傷なのだ」
「そんなわけないでしょ」
とまぁ、飛び降りてみたわけで。
井戸に飛び込むなんて、普通に考えたら無茶な話だ。
でも、生活用の井戸でもないし、こんなところにある井戸は、どこかに通じている通路のはずなのだ。
井戸のそこにあった扉から先へ進むと、いきなり落とし穴があったりする。
底には骨がうろついているので、すぐに飛び込むことはせずに作戦会議。
「飛び込んでやっつけちゃいましょうよ」
「別に飛び込まなくてもやっつける方法はあるぞ」
「どうするの?」
「こうするのだ!」
「なんて力技なのかしら!」
「はっはっはっ、狭い場所でのファイアーボールはよく効くぞ」
魔法抵抗はあまり関係ない。
爆風で弾け飛ばされて、壁に激突する物理攻撃にもなるのだ。
霊峰の指に耐える緑娘が、衝撃で吹き飛ばされて木に激突して怪我したこともあったっけ。
そんなわけで、先制攻撃してから飛び降りてみる。そしたらリッチとか転がっていたわけで。
そしてここは、普通に洞窟であった。
しばらく洞窟を進むと、再び幽霊が襲い掛かるようになってきて、アイレイドの遺跡へと通じていた。
そこから先は、それほど長くない通路だけで、すぐに扉へと辿りついたのだった。
その先は――
「ぬ、なんだか見覚えのある場所だな」
「あたしは見たことないわよ」
「マンカー・キャモランの立て篭もっていた部屋そっくりだ」
そして奥の玉座には、これまた幽霊が座っていたりするのだった。
近寄ってみたが、襲い掛かってくることはない。
その代わり、こちらに語りかけてきたのだ。
やはり襲い掛かってくるのはチンピラで、幹部は話を通してみようと考えるものなのかね?
「我が王が不在の時に襲撃を受けるとは。答えよ、何ゆえ我等の住処を荒らすのだ?」
これは難しい問題だな。
既に幽霊になっているので、実際に襲撃を受けたのはずっと過去の話なのか?
それとも我等の墓を荒らすのは誰だーっ、ということなのだろうか?
「パラダイスが気になって探索しているだけだ。襲撃したつもりは、ない」
言葉が通じるかわからんが、とりあえず波風立たない答えをしておいた。
別にアイレイドの幽霊を始末するためにやってきたわけではないからね。
問答無用で襲い掛かってこなければ、そのまま放置していたかもしれない。仕方なく、応戦したのだ。
「パラダイスとは、我等のもう一つの家にして、隠れ家。その主の思考、および記憶から形作られたものだ」
つまり、マンカー・キャモランの思考によって、デイドラと信者の入り混じる野蛮な世界が作られたということなのだね。
作る人によっては、ようこそここへ、遊ぼうよパラダイス♪ な世界もできあがるはずなのだ。ただし、そういう世界は大人には見えないかもしれないけどな……
「そのパラダイスは、制御とかできるものなのか?」
もう少しパラダイスについても尋ねておこう。
ひょっとしたら、俺にも作れるかもしれない。
「実に簡単なことだ。閉ざされた次元に繋がる魂の礎石を所有する者であれば、誰でも制御できるであろう」
そうなのか?
ザルクセスの神秘の書とか解読する必要はないのか?
人の楽園に突入するには、シジルストーンとか必要だけど、自分の楽園を作るのは簡単なことだというのか?
「それこそ我等の王がお戻りになるまで、我等が護り続けているものなのだ」
「王が去ってから、どれくらいの時が経つのか?」
「そうさなぁ、もう何世紀も前になるか。王は協議のために、白金の塔へと赴かれたのだ」
うーん、この幽霊と話し続けていてもあまり実りは無いような気がする。
魂の礎石とやらが手に入れば、それで探索は終了のような……
こいつをやっつけて、そのアイテムを奪ってやろうかな?
「忘れたのか? 私がお前らの王だ。今戻ってきたのだ。安らかに眠るがよい」
ハッタリかまして、ブラジャーから魂の礎石まで何でも揃えてみる作戦発動してみる。
これでダメなら、アイレイドの司令官でもぶん殴ってみせらぁ!
「わ、我等が王よ! ああ、この上なき幸せ! 御意! 眠りにつきます……」
そう言い残すと、アイレイドの司令官の姿は消え、後には一つの石が残されていた。
こうして俺は、魂の礎石を入手したのである。
しかしここは、やっぱりマンカー・キャモランの居た場所とまっつくついだよね。
さて、俺は楽園は本当に創る事ができるのか?
ガイアル・アレイタのような、野蛮な世界になるのか?
それともパラダイス銀河のような、夢の島となるのか?
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