クヴァッチを守れ ~オブリビオンの戦い~
クヴァッチにて――
オブリビオン・ゲートに触れた瞬間、俺はかつて見たことのある世界へと三度やってきた。
まず最初はボエシアの依頼で、次にペライトの依頼、双方ともデイドラの神だ。
今回は、メエルーンズ・デイゴンの依頼――ではないけど、それ関連である。
まず目に入ってきたのは黒焦げの遺体、そして蜘蛛型のデイドラ。
邪魔である。
ちなみに、ボエシアやメエルーンズ・デイゴンはデイドラの王と呼ばれていて、先ほどの蜘蛛はデイドラに使役されているモノだ。
こういうオブリビオン系をすべてひっくるめて、デイドラって呼んでいるのだろうね。
ふと見ると、クヴァッチの兵士がアトロナックと戦っているではないか。
そういえばマティウス隊長が、偵察を送ったが誰一人帰ってこなかったと言っていたっけ。
入り口付近に倒れていた黒焦げも、クヴァッチ兵の成れの果てだったのだろう。
これ以上犠牲を出すのも気の毒なので、サクッと加勢してやっつけてやる。
「九大神よ、感謝します! まさか味方が来てくれるとは!」
「ふっふっふっ、まだ味方と決まったわけではない……(。-`ω´-)」
「なんですと?!」
「冗談だ。後は俺に任せて、あなたはマティウス隊長をサポートしてやってくれ」
「分かった。私はここを出て隊長に現状を知らせよう。しかし囚われた者も居るのだ」
「よし、助けられるだけ助けてやろう」
イレンドと名乗った兵士は、元着た場所へと駆けていきゲートを潜っていった。
しかしメニエンという兵士は、この世界にある塔へと連れて行かれたというのだ。
人質かな?
塔と言えば、遠くに見えたりしている。とりあえずはその塔まで行くしかないね。
そんなわけで、次々に現れるディードロスやズィヴィライを蹴散らしながら、塔を目印にして進んでいく。
途中で草に襲われたりもした。スフランかな? と思ったが、ハラーダという名前らしい。雪山からのジャンプが得意みたいな名前だな、意味分からんけど。
そんなわけで、塔の真下にまでやってきた。
丁寧に入り口があるのと、高いところに橋渡ししている場所もあるようだ。
最初一つに見えた塔も、近くで見ると三つの塔が並んでいる感じである。橋はそれぞれの塔を繋いでいる。
ボエシアの時は塔は見かけなかったけど、ペライトの時はあったような気がするね。
中に入ると、円形の広間になっていて、中央から何かエネルギーのようなものが吹き上げている。
ん、ズィヴィライが居るね。だが俺の敵では、ない。
広間からは扉で別の場所に繋がっているようで、その先は細い通路で坂になっている。
とりあえず上を目指せばよいのかな。
すると、目の前に見慣れないオブジェクトが出現した。
なんだか血の様な物が吹き出していて気持ち悪い。
ちょっと触ってみたら、なんか体力が回復していくような気がする。俺は吸血鬼だったのか?
通路の先にあった扉は、再び中央にある円形の広間へと続いていた。
見下ろすと、マグマ溜まりのような場所からエネルギーが吹き出しているのが分かる。
そんな感じで、広間と細い通路の坂道を交互に繰り返して、少しずつ塔の上部へと進んでいくのだった。
その途中、鍵のかかっている扉があったりした。ピッキングや魔法ではどうしようもない系だ。
開けられる扉もあり、その先は先ほど外から見上げたときにあった橋だったりした。
とりあえずは行ける場所に行くしかない。
メニエンが捕らえられているのは、三つの塔のうちどこだろうか?
そんなことを考えながら、橋を駆け抜ける。
どうやら二つ目の塔は、死霊術師の塔のようだ。
腐敗が酷いので、昨日今日捕まった兵士ではないだろう。
しかし、こうして死体を晒すところが死霊術師と同じなのだ。
さて、上か下か?
上を向いているから上にしよう。
じゃなくて、上に檻があったので、ひょっとしたらそこに捕らえられているのか? と思ったわけだ。
すると、檻に捕らえられた人と、ドレモラが一匹。デイドラではなくドレモラな。似ているが違うものだ。
「お前はここに居てはならない存在だ、死すべき者よ。お前の血を飲み干し、肉を喰らい尽くしてやろう!」
「血ではなく、鼻水を飲み干すがよかろう(。-`ω´-)」
鼻水ちゃうで、マグマストリームだ。
さて、ドレモラをサクッと退治したので、後は囚われた兵士を――
「ちょっと顔を上げてください」
いやね、以前ジャクベンだっけ?
顔を上げない奴は顔を隠しているわけで、そいつが吸血鬼だったことがあるのでね。
「メニエンさんですか?」
「そうだが急げ! 時間がない!」
「大丈夫、時間なら十分あります」
「いや、急いで塔の頂上へ向かうんだ。敵はシジルの守りと呼んでいた、そこがオブリビオン・ゲートの動力源なのだ! そこに転がって居る奴が鍵を持っているぞ!」
「わかったわかった、落ち着いて。今この檻を開けますから」
「私のことは心配しなくてもいい。時間がないのだ! 早くしろ!」
メニエンは、自分を救うよりも先にオブリビオン・ゲートの動力源へ向かえと言ってきた。
その動力源からシジルストーンと呼ばれるものを取り除けば、ゲートはその効力を失うというのだ。
まあいいか、ゲートが閉じればクヴァッチも救われる。
――って閉じたら俺はどうなるのだ? このオブリビオンの世界に閉じ込められるのか?
不安は残るものの、再び最初の塔へ戻って、閉じられていた扉を鍵を使って開く。
その先は、最初に入った円形の広間で、エネルギーの柱の底が遠くなっているのが分かる。
上を見上げると、遠く闇の中まで柱は伸びている。
ん~、エネルギーの行く先が、鍵穴の形をしているわけじゃないようだな。アポロンウィンドウが無いので、ここはアポロンパワーではない模様。
しつこいドレモラに、霊峰の指をさらに改良したものをぶち込む。
雷を放射するのが、元祖霊峰の指。
その雷を束ねて放出するのが、霊峰の指改。
そしてこれは、さらに雷の密度を増やし、プラズマ状になったエネルギーを放出するのだ。
闘技場でオーウィンに散々塩発言されたので、どうも攻撃をワンパターンにさせない癖が付いてしまったらしい。
敵の強さに合わせて、元祖からプラズマまで使い分けていこう。ドレモラは強いから特上な。
そんな感じに塔を登っていくと、いよいよ最上階に到着したようだ。
シジルの守りとやらはどこかな? ここかな?
ここでシジルストーンを取ってしまえばよいらしい。
この玉は尻子玉かな? これは階下からのエネルギーを受け取っているように見える。
いや、動力源というぐらいだから、ここから下に向かってエネルギーの柱が下りていたと言うべきなのだろう。
これをどうしたらよいのだろうか? そのまま取ったらいいのかな?
俺は手を伸ばして、尻子玉――シジルストーンとやらを掴み取った。
すると周囲が赤く燃え、塔が崩れ落ちるような錯覚に囚われた。
待ってくれ、やっぱりゲートが閉じると俺は――っ!
………
……
…
「はっ、ここは?」
「あっ、戻ってきた!」
気が付くと、緑娘の足元に座り込んでいた。
どうやらゲートが閉じると同時に、外へと吐き出されたらしい。
「突然ゲートが崩れだして、赤く輝いていた幕が消えたのよ」
「そっか、これで完全にゲートは閉じられたわけだね」
「うん、そして消えると同時にあなたが出てきたの」
「外にうろうろしていたデイドラ共は?」
「全部退治したわ」
「あっぱれだ!」
…………(。-`ω´-)
あっぱれはいかん、グレイ・フォックスみたいじゃないか。いや、最終的なグレイ・フォックスは俺だったか……。
何はともあれ、こうしてクヴァッチを苦しめていたオブリビオン・ゲートは、無事に閉じられたのであった。
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