ハンターギルド物語 その四 ~白鹿狩り~
「よくやった! 毛皮は貰っておこう。そしてお前にはシマウマの勝者という称号を与える!」
「イノシシの勝者の方が強そうだけどなぁ……」
「文句を言うな。報酬ならこいつをお前にやろう」
「なんでこんなものを?!」
「実は待ちきれずに自分で捕まえてみたのだが、お前が取ってきた物の方が上質だからそちらを頂いておく」
「でもこんなもの貰っても……」
「いいから受け取っておけ」
ハンターギルドのマスター、オグラから無理矢理押し付けられたもの、それは別のシマウマだった。
俺に飼えと言うのか? 緑娘は喜んでいるみたいだけど……
「そうだハンターよ、お前の戦いの腕前は分かった。だが追跡にかけてはどうかな?」
「このストーカー・ラムの腕前を疑うのか?」
「あなたいつの間にストーカーに? 誰をストーカーしているのよ」
「いや、アガマーとかソロニールとか……」
オグラに適当に言い返してやったら、緑娘が噛み付いてきた。
めんどくさっ!
「よし、次の仕事だ。巨大な白鹿がレヤウィンに向かう街道で目撃されたそうだ。その角はさぞや良い値になるだろう!」
「オオカミ、イノシシ、シマウマと来て、今度は鹿か。馬じゃないだろうな?」
「鹿だ。アラバスターの町に行って追跡して来い。戦利品を得たら戻ってくるんだ」
そんなわけで、今度は鹿狩りをすることになってしまった。
それはそれでよいのだが、シマウマどうしようか……
馬みたいに乗れるのかな?
「で、なんで君まで乗ってくるのかな?」
「あたしに歩けって言うの?」
「ジ=スカール先輩歩いてるやん。ゾウに乗れよ」
「やだ、あなたと一緒に乗る」
「…………(。-`ω´-)」
何のためにラクダやゾウが居るのか分からなくなってきた。
しかしこいつらも何故か凄く懐いてきて、すぐ後ろをついてきまくり。
まあいいか、レヤウィン方面へと向かうぞ。
「この道はいつか来た道、ああそうだよ、トロールが居座っていたブルーライク橋」
「ねぇ、シマウマの名前はキッドにしない?」
「殺して毛皮を売って、何かの協会に裏口入会しそうな名前だから却下」
「何それ意味わかんない!」
「モフモフ、タマタマ、ムズムズ、デレデレ、ケダマ、トゥルットゥー!」
「あそこに住んでいたリビアって、変わった人だったわね」
「リビアはカジートをペットのように集めていたからな」
「あなたはどうなのよ」
「ラクダ、ゾウ、シマウマ……(。-`ω´-)」
なんなんだよこの集団は!
らむの動物サーカス団か?!
ブルーライク橋を渡り、ダーカーン亭を素通りし、ここから先はレヤウィンへ一直線だ。
そして、その途中にはアラバスターの町があるのだ。
「とりあえず情報収集、おい門番、この辺りで白鹿を見なかったか?」
「アイシャクは白鹿を見たことはない。村の狩人に聞いたらよかろう」
「カジートの一人称は、末端まで名前呼びなのな」
「村の狩人はお前か? この辺りで白鹿を見なかったか?」
「スマシルリは狩人で、いかにも白鹿を見ている。村の狩人に聞いたらよかろう」
「見ているのだったらお前が答えろよw」
「ふふっ、ここから北東の山裾をうろついてたぜ。奴はすばしっこくて臆病だ、とても捕まえられん。まぁ幸運を祈るんだな」
「あんがとさん!」
これで白鹿の居場所がある程度絞られた。
情報によれば、白鹿はこの森のどこかに潜んでいるらしい。
そこで俺は、作戦を立てることにした。
「全員散開! 白鹿を捕まえるんだ!」
別々に探すわけではない。
ゾウやラクダが居たのでは、白鹿がビックリして隠れてしまう。
ここは別行動で、俺はシマウマに乗って探し回るぜ。
緑娘はシマウマから降りようとしないけどな……
………
……
…
森の中を探して回ること数分――
居たぞ! 白鹿! ハーシーンでは無いようだ。
ハーシーンは、白鹿の姿で人前に現れることがあるから気をつけなければならない。
聞く話によれば、ハーシーンの呪いにかかった者はゥェアウルフ化するらしいから気をつけなければならない。
白鹿を追いかけまわるの図。
「しかし、こうやって追い駆けっこしているだけだと、任務を達成できないぞ」
「あたしに良い考えがあるから、もっと近づいて」
「なんか知らんが、無茶はするなよ」
並走とまではいかないが、なんとか白鹿との距離を一定に保って追いかける。
その時だ――
緑娘はシマウマの上から飛び上がると、白鹿めがけて飛び込んでいった!
「それが無茶だというのだ!」
「でもこうしないと捕まえられないじゃないのよ!」
緑娘は白鹿の背中に飛び乗って魔剣を振り回すが、狙いが定まらなくて全然当たらない。
しかし突然上に飛び乗られた白鹿はバランスを崩して――
「いったぁ~いっ、うふんっ」
「何がうふんだ、親譲りの無鉄砲め!」
「あなたあたしの親を思い出したの?」
「知らん……(。-`ω´-)」
なにはともあれ、こうして白鹿を生け捕りにすることができたのだ。
オグラは角を欲しがっていたが、また肉も欲しいとか言い出すかもしれないので、そのまま引っ張って連れて帰ることにしたので、ある。
………
……
…
「よくやった! こいつの角ならレヤウィンで高く売れるぞ」
「肉はどうしますか?」
「う~ん、見れば見るほど立派な鹿だ。殺すのが惜しくなってきたな」
「おいまさかやめろ、仕留めて角をレヤウィンで売るんだ」
「うむ、これほど立派な鹿を殺すのはもったいない。この鹿は報酬としてお前に与えよう」
「要らんわ!」
「白鹿の勝者という称号も与えてやろう」
「シマウマから白鹿、さらに弱くなったような……」
「弱い称号が嫌なら、次の仕事をこなすのだな」
「やりましょう!」
こうしてハンターギルドの仕事を次から次へとこなしていくようになったのである。
しかし――
これを一体どうすればいいのだ……?
俺、緑娘、猫、ラクダ、ゾウ、シマウマ、白鹿……
先輩を人間扱いしたとしても、過半数を獣が占めるようになってしまった。
獣率が高いこの状況、物語的に二番煎じではないのか……? いや、意味わからんけど。