ダーカーン亭の恐怖? ~モフモフ、タマタマ、ムズムズ、デレデレ~
さて、荷物整理と貰った果物などをミーシャへ土産として持ち帰るために、コリントの町から東へ向かっているところだ。
エルスウェア南部の方まで来たので、そのまま東へ向かえばレヤウィンだ、立て札も立っていたりする。
その途中、エルスウェアではもう珍しくなくなった白い建物があった。
「先輩、あれは何ですか?」
「確かダーカーン亭だった、旅の旅館だったかな?」
「曖昧ですなぁ」
「ジ=スカールは、辺境まで詳しいわけではないのだ」
う~む、怪しい……(。-`ω´-)
建物の前にはキャンバスがあったが、何も書かれていない。
「こ、これは馬鹿には見えない絵画だ!」
「うわぁ、この絵凄いわぁ。あたし大好きっ! まさに熱帯の雪だるまねっ!」
「うん、この捻りとねじれの表現が、まさにシュールストレミング!」
「何を言っているのだ? ジ=スカールには何も見えない。それは馬鹿には見える絵だぞ」
「あっ、何も見えないわ! あたし、白いキャンバスに青い雲描くよ!」
「うん、これは見ると馬鹿になる絵だ。卵焼きの空に梅干が浮かんでいる様子はまさに天涯孤独なペンタゴンパワー!」
「二人とも大丈夫か? この者は心配になってきたぞ」
なんでもなかとですばい。
卵焼きの空って何だよ? 青い雲って何だよ?
悪いのは真っ白なキャンバスを飾っているこの旅館なんだ。
「えらい散らばっとんなー」
「何か慌てていたんだと思うわ」
「う~む、事件の匂いがする。いったいここで何が起きているのだろうか?」
放置されたキャンバス、テーブルから散らばった農作物。
一見平和に見えるが、徐々に崩壊の兆しが見えておる……(。-`ω´-)
そんなわけで、ダーカーン亭をちょっと覗いてから先へ進むことにしたのである
宿屋の中は、帝国軍が居たり、カジートが働いていたりで普通に見えたので、とりあえずは安心。
しかし経営をしているらしきカジートに話を聞いてみると、とたんに不穏な空気が辺りを支配したのであった。
うん、割とたくましい風貌をしたカジートだったのだが――
いくつか突っ込みどころがあるな。
手錠と言うことは、こいつは奴隷なのか?
そしてこいつの名前がモフモフであることだ。なんだ羊みたいな名前しやがって。
それでけではない、タマタマという名前のカジートは女将さんに下品だといってお仕置きされているらしい。
こいつらの言う女将さんは誰なんだ? モフモフにタマタマ、何なんだよ?
二階へ行く扉は鍵がかかっていたし、帝国軍の衛兵が泊まっているので行くのは止めておいた。
しかし地下室へは行くことができたので、そちらを探索してみることにしたのだが――
なんかこんな所が多いなぁ……(。-`ω´-)
レヤウィンやスキングラード、アンヴィルの隠し通路を思い出させる場所だ。
エルスウェアの宿屋では、普通の地下室でこんなことしているのか……
傍には肉きり包丁やカジートの皮が落ちている。ひょっとして、死霊術師か?
その部屋の隅には檻があり、中でカジートが死んでいたりする。
帝国軍の衛兵が宿泊していながらこれか? 衛兵はやっぱり役に立たないのか?
それだけではない……
いろいろとコメントに困る施設があったりする。
死体保存管って何だ? やっぱりこれは死霊術師の仕業か?
死体を丁寧に扱っているところが、少しばかり違和感を感じるがどうしたものか……
衛兵に相談すべきか?
いろいろ迷った挙句、ひとまず放置してレヤウィンに向かおうと宿屋から出てみると、さっきまでは居なかった人が白いキャンバスに絵を描いていたのだ。
「ちょっとすいません、お伺いしたいことが――」
ずいぶんと顔のパーツが中央に寄った人だな!
リビア・ベルタイレ、この人がダーカーン亭の女将さんらしい。
「愛しの人って何かしら? ラムリーザあなた、あたしの知らないところでこんなところに?」
「いや知らん知らん、俺はこの人と知り合いじゃないぞ!」
「いやね、おばかさん。初対面に決まっているでしょ?」
「…………(。-`ω´-)」
「でもあなたはピーローよね? 私のような乙女を助ける立派なヒーローよね?」
「乙女? 宇宙ヒーロー? 困り事?」
「ええ、私の坊やが! 可愛い可愛い坊や達が、おぞましい事故なの!」
これはひょっとして地下で見たアレのことか?
女将さんが言うには、ムズムズを買い付けてから問題が起きたらしい。
ムズムズ?
あいつらの名前は、奴隷を買ったこの女将さんのネーミングセンスなのか?
緑娘もモフモフぐらいは付けそうだが……
ちなみに女将さんはムズムズは「あの娘」と言っているからメスのカジート――、いや、女性のカジート? うーん、まぁそういうことらしい。
しばらくの間は問題がなかったけど、ある日地下に行くと、ムズムズとデレデレがものすごい「いけないこと」をしていたらしい。
いけないこと……(。-`ω´-)
しかし新しい名前、デレデレか。モフモフにタマタマ、ムズムズにデレデレ、なんだこの宿屋は?
そんでその二匹に罰をってことでデレデレにお仕置きをしたところ、力の加減を誤って頭を叩き割ってしまったのだ。
そんでそんで、ムズムズの方は檻に閉じ込めたという。
つまり地下で檻の中で死んでいたのがムズムズで、死体保存管の中に居たのがデレデレか。
なんなんだこの女将さんは?
どうやら死霊術師ではないが、かなり危ない人らしい。
ほんでもって檻の中で放置していたら、ムズムズは動かなくなったと言う。やっぱりこの人危ない人だ。
そこで俺に依頼したいことは、死体を腐らせたくないから保存液を取ってきて欲しいとのことだった。
オークレストという町で集会をしている魔女達から、まとまった量の新液をもらってきて欲しいというのだ。
「前向きに、検討致します……(。-`ω´-)」
あまりにも奇妙な話なのと、この女将さんに逆らうのは危険と感じたので曖昧な返事をしておいた。
「あなたどういうつもりなの?」
「いや、助けるとは言ってない。あくまで検討するだけだ……(。-`ω´-)」
「でも放置していたら腐るよ、死霊術師みたいじゃないのよこの人」
「経験上死霊術師はローブを……、とりあえずローブが隠されていないか調べておこう」
東部連峰の追憶砦の件があるので、ローブを脱いで誤魔化している可能性もある。
しかし宿に戻って、衛兵の目を盗んで上の階にも行ってみたが、死霊術師のローブは見つからなかった。
ただ単純に、奴隷のカジートの扱いがおかしな人なだけのようだ。
いや、奴隷の正式な扱い方とか知らんけどね。
ただ、オークレストという場所はエルスウェアの中央辺り。少しばかり距離があるので、後回しにすることにした。
こんな暑い国だから、死体はすぐに腐ってしまいそうだが仕方が無い、後回し。
まずは予定通りレヤウィンに向かって荷物整理し、コリントの町に戻ってハンターギルドの仕事がないか聞いてそれからだな、オークレストは。
というわけで、ダーカーン亭を後にして再び東へと向かったのであった。
少し進むと、周りの雰囲気が変わってきた。
赤い世界は鳴りを潜め、代わってシロディールでもよく見かける感じの樹木が姿を現したのだ。
レヤウィンが近づいてきたということだろうな。
そして砂漠ではなく草原へと変わっていった。
リメンの町付近もシロディールとあまり変わらなかったので、エルスウェア中央部から南部にかけてが独特な赤い世界になっているのだろう。
そしてレヤウィン近くの国境付近に近づいた所で、アイレイドの遺跡製の町が姿を現したのだった。
ん、次はちょっとこの町を散策してみますか。
あー、なんか今回は変な話だった!
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