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アグノンの冷たき炎 その1 ~偉大なるかがり火とは?~

 
 ニュー・シェオス宮殿にて――
 
 シェオゴラスの言った通り、二人の公爵から話を聞いて、その依頼をこなしてきた。
 これで自分の立場がわかると言っていたが、結局よくわからん。
 なんとなく、どっちつかずの蝙蝠になってしまったような気がするのだが、気のせいかな?


「二人の公爵に会ってきたぞな、もし」
「よしよし、狂気の両側面を味わったか。素晴らしいぞ、満足したか? たらふくと! はち切れんほど……はち切れとる!」
「ディメンシアはありきたりなこと、マニアは狂っとった」
 
 どうも俺も、シェオゴラスに対して尊大になったものだ。
 このじじいが緑娘の生命を掴んでいないと知ったら、恐るべきことは何もない。
 ただ、このじじいに対する義理だけで動いているようなものだ。
 
 そしてじじいの言う狂気の両側面だが、ディメンシアの方は割とまともな考えであった。
 精々マニア公爵とディメンシア公爵が逢瀬していることに対する嫉妬が原因なだけのような気がするが、それは何もこの戦慄の島に限った話ではない。
 よくあるのかないのかわからんが、まともな世界でもありうることだ。
 それに、反逆者を処刑してしまうのも、信賞必罰、十分ありうることだ。
 ひょっとしたら、シル公爵は泣きながらミューリーンを処刑したのかもしれないからね。
 
 むしろ、現実世界のグラアシアの方が、妄想だった分ヤバい……
 
 
 逆にマニア公爵の方は、怪しい薬物を求める行為だった分より危険だ。
 おれも廃人になりかけたようなものだから、ある意味はち切れたかもしれないのだ。
 
 
「よーしよし、よおーしよし。ここからが本番だぞ。お前をここに呼んだ理由であり、恐らくお前の死因となる」
「ほーお、死因ね? 説明してもらおうか、シェオゴラスくん」
「お前がグレイマーチを止めるのだ。流れを変え、輪廻を断ち切れ!」
「またその単語だよ、グレイマーチって何?」
「お前は我が勇者だ。そしてわしになる。狂気の君主、シェオゴラス二世にな」
「なっ?!」
 
 隣で緑娘がピクッと動いたのが感じ取られた。
 俺がシェオゴラス二世?
 このじじいを蹴落として、その後釜に付けるというのか?
 今度こそ、今度こそ緑娘の野望が果たされるというのか?
 
「ただし、失敗したらお前は死ぬ。そんなお前も良いかもな」
「――で、デイドラロードになるにはどうすれば良いのだ?」
「当然無理である」
「…………(。-`ω´-)」
 
 ぬか喜びさせたな? 緑娘に。
 絶対今、がっかりしている。
 
「だがお前は、わしの力を授かるのだ。代え難きものだ、無くすなよ」
「欲しいような、欲しくないような……」
「何を言っておるか、そうなればお前は事実上わしになるんじゃぞ? シェオゴラスは奴と戦う。わしはおらんから、実にシンプルじゃ」
「なりたくないような、なりたくないような……」
 
 いや、主語が曖昧というか、どの時系列で語っているのかわからないので、じじいの話を理解しにくい。
 そもそも奴って誰だよ? オーダーの騎士か?
 
「お前には素質があると思ったんじゃが、違うのかのぉ?」
「んや、やるよ。シェオゴラス二世にはならんけど、ラムリーザ一世としてだけどな」
「ダメだ、シェオゴラス二世だ。断ったらお前の魂を飲み込んで、永命の永遠に満たされたおまるに吐き出してやる」
「おまる……(。-`ω´-)」
 
 いまいち例えが意味不明なんだよこのじじいは。
 便器じゃダメですか? おまるである必要があるのですか? 白鳥ですか? それだと、すぐに取り出せますよ?
 
 
「で、次は何をすべきかな?」
「そうじゃのぉ……、お前さんはニュー・シェオスの空に灯る偉大なるかがり火を見たことはあるか?」
「たぶん無いと思う」
「そうだろう、そうだろう。消えとるからな。だが消えてはならんのだ、それを元に戻せ」
 
 偉大なるかがり火、それはすべての民の希望のかがり火として、ニュー・シェオスの上で輝いているのだという。
 しかし、グレイマーチが始まるたびに消えてしまうのだ。
 民がみな不安に思っているので、手遅れになる前にかがり火を灯す必要があるのだ。
 
 俺の知っている限りで不安がっている奴は、壁がどうのこうのと言っていたアミアブルぐらいだ。
 ビーシャなどは、嬉しそうに犬の尻を追いかけているだけ。
 ただ不安の中に殺意も加わるらしく、それならシル公爵を暗殺しようとした集団が当てはまる。
 実際に、マ=ザーダなどは殺されてしまったわけで。
 あ……、ヒラスも似たようなものか……
 
「サイラーンへ向かい、再びかがり火を灯すために『アグノンの炎』を持ち帰るのだ」
 
 聖なる種火みたいなものだろうね。
 

 サイラーンの場所はここ、戦慄の島北西の端にある砦だ。
 ただしそのサイラーンでは、臣下がじじいの寵愛を得るためにその場所を巡って争っているのだという。
 なんだかそんな話が多いなー。
 
 公爵の寵愛を得るためなら、自分の子供すら食ってやる奴とか居るわけだ。
 
 
 こうして、俺の次の任務は、サイラーンに向かってアグノンの炎を取ってくることになった。
 
「おう、親愛なるハスキルをちゃんと活用しろよ。あやつは1日3回ぐらいは召喚してやらんと、満足しないらしいからな」
「そんなもんですか」
 
 後は、要所要所でハスキルを召喚すること。
 別に戦ってくれるわけでもなく、そんなに呼び出す必要は無いのだけどね。
 面とは言わないけど、俺とおしゃべりしたいのだろうか?
 
 
 

 さて、ニュー・シェオスの宮殿から町を見下ろしてみる。
 確かに教会の屋上に、火の灯っていないかがり火のようなものがある。
 

 ここにかがり火が復活したとき、町でおかしなことをしている人は居なくなるのかな?
 アミアブルは壁怖い症候群が治り、ビッグヘッドは下手な歌症候群が治ると。
 
 
 えっと、後は――
 

「出てこい出てこいそりゃあ!」
「出てきましたぞ、旦那様」
「ん、よい。アグノンの炎について詳しく」
「そうですなぁ……。アグノンの炎を灯せるのは、シェオゴラス様に仕える永命の臣下であるゴールデン・セイントとダーク・セデューサーのみです」
「じゃあ俺が取りに行ってもしゃーないやん」
「もう少し頭の方を働かせるのです。あなたがそれらに命じればよいのです」
「ぬ、それでいいのか……(。-`ω´-)」
 
 
 こうして再び旅が始まる。
 目指すは島の最北西端、サイラーンの砦である。
 
 
 
 
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