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自殺の丘の亡霊 ~ライマークとロレンツの除霊~

 
 さあ、再び戦慄の島を駆け巡ろう。
 目的地は、島の最北西端サイラーンの砦である。
 

「――で、なぜあなたの嫌いなディメンシアへ? 方角逆じゃないのよ」
「一つ、ミューリーンとマ=ザーダが死んだので、墓場を確認する」
「悪趣味ね」
「一つ、スプリット経由で行く。ディメンシアはいまいち好きになれないし、やっぱりマニアの働き者を残すということで、あの任務を片付ける」
「そっちを選ぶのね。あたしも暗いのより明るいのに賛成よ」
「一つ、シェオゴラス二世だか何だか知らんが、戦慄の島を乗っ取るという崇高な目的にむかっての、挙国一致体制を確立する」
「賛成よ、この世界はあなたが支配するの」
「一つ、島益に反する政治活動、および言論の秩序ある統制を行う」
「別にそこまでしなくてもいいのに」
「一つ、シェオゴラス、および公爵の汚職には厳罰をもって臨む。悪質な者には死刑を適用する」
「あなたそれディメンシア的考え」
 

 というわけで、ニュー・シェオス墓地である。
 確かにもうミーューリーンとマ=ザーダの墓は追加されていた。
 
『マ=ザーダは自分が探してもいなかった物を見つけた。鋭い刃の切っ先を』
 
 なんだか彼の末路に対する皮肉とも取れる。
 こんな墓碑銘は嫌だ……
 
『ミューリーンここに眠る。自分の死が多くのゴシップの種となっていると知りつつ』
 
 確かに自分のやったことを認めてから、処刑場へ向かったか。
 あいつシル公爵暗殺しようとした、などと噂され続けることであろう。
 そして、彼女自身もそれを知っている――と。
 
 
 ん、それが気になっただけ。
 ニュー・シェオスで誰かが死んでしまったときは、ここに見に来よう。
 個人的には、ランズ=イン=サークル、輪回ーれの墓碑銘を見てみたいけどね。
 ひょっとして墓碑銘も「にーにーにー」になるかもしれないが……
 
 
 

 さて、最初の分岐点で北上する。
 橋を渡って西へ向かえば、ゼディリアンやフリンジに向かうこととなるのだ。
 
 スプリットの村を目指して北へ向かう途中――
 

「待て、なんか居る」
「んー? あ、幽霊が居るわ」
 
 そう、途中通路の西側に見えた小島に、白く輝く霊体が動いているのが見えたのだ。
 気のせいか見間違いか、それとも本当に幽霊が居るのか、その小島へと向かってみる。
 

「幽霊だねー。しかも五人」
「成仏させてあげるのもあなたの仕事なのかしら?」
「俺はお坊さんではないからなぁ……」
 
 

 一人目は、冒険者の姿をした男性だ。
 話しかけられないし、誰なのかわからない。
 俺はこの幽霊に、いったい何をしてあげることができるのか?
 

 二人目は、同じく冒険者の姿をした女性かな?
 さっきの幽霊と同じ姿をしているが、若干チチが腫れとるか?
 

 三人目はわかりやすい、カジートの冒険者だ。
 ひょっとしてずっと昔にこのメンバーで戦慄の島に侵入してきたが、ゼディリアンの罠にやられたか、ゲートキーパーにやられたかしたのだろうか?
 

 四人目は、一般市民の姿をした女性だ。
 この姿はレルミナとかミューリーンとかシル公爵と、ちょっと癖のある人の印象が強いと思う。
 

 五人目は一般市民の男性、これで最後だ。
 なんとなく触れてみたところ――
 

 突然周囲が青白く輝いたのだ。
 
 そして――
 

 気がつくと最後の一人は消えていた。
 
「ぬ、いったい何だ?」
「あなた除霊する能力持ってたの?」
「いや知らんよ。あ、ライマークの頭蓋骨が消えている」
「だから誰よそれ」
 
 そう、珍品博物館で引き取ってくれなかった、ライマークの頭蓋骨がいつの間にか手元から消え去っていたのだ。
 
 一体ここは何なのか?
 俺達には理解できないが、彼なら理解できるだろう。
 
「よし、彼に聞いてみよう」
「彼? 彼って誰よ」
「そんなことよりも、ここが何なのか知るほうが先だ」
 
 そういうわけで、俺は彼を召喚した。
 

「出てこい出てこいそりゃあ!」
「あっ、ハスキル」
「今度は何が知りたいのでしょうか?」
 
 俺は、この地が一体何なのかハスキルに尋ねた。
 ハスキルは、ここが「自殺の丘」という場所だと教えてくれた。
 
 そうか、ここがスプリットの住民やヒラスの言っていた場所か。
 戦慄の島で自殺をすると、その魂はこの場所へと送られ、永遠に彷徨い続けることになるのだ。
 ということは、ここの五人は侵入した冒険者ではないな。
 この世界に絶望して、自ら命を絶ってしまった者なのだ。
 
「その一人は、ロレンツ・ボグ=トラッター。ノルドの男性冒険者だ」
「最初に見た幽霊だね」
「また、ゲデネリ・ラルヴェル。ダンマーの女性冒険者だ」
「二人目の幽霊か」
「ム=デシというカジート、サロニア・ヴィリアというインペリアルの市民」
「ん、カジートも女性市民も居たね」
「そしてライマークというレッドガードの男性」
「あー、頭蓋骨の持ち主だったのかやっぱり」
「ここで話せることは以上ですな」
 
 それだけ述べると、ハスキルは現れた時と同じように、紫色の煙に巻かれて消えていったのだった。
 
 そういえば、ロレンツ・ボグ=トラッターの頭蓋骨も持っていたっけ?
 

 念のために、最初のノルドの元へと戻って頭蓋骨を差し出してみたところ、ライマークの時と同じように光り輝き消え去るのであった。
 
 自殺した五人の魂。
 そして頭蓋骨を返すと、成仏したかのように消え去った。
 残る霊は、あと三人。
 
「つまり、あなたはここに頭蓋骨を持ち込んで、迷える魂を救う必要があるってことね」
「それって、何か意味があるのかな?」
「あ、そう言うのならスルーしてもいいのよ」
「いや、気の毒な魂を救ってやるのも俺の仕事だ」
「はいはい、お人よしの除霊師さん。頭蓋骨探し頑張ってね」
 
 まぁあれだ。
 俺がこの世界を支配したとして、そこに成仏できない魂が彷徨っているのもあまりいい気はしないものだ。
 ここは世界を奇麗にするといった意味合いで、こいつらに成仏してもらうことにしよう。
 
 
 
 
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