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執着の分類法3 ~動物総覧3 ナール~

 
「遅いじゃないのよ!」
「なんでやねん?」
「あの大差ない二匹には飽き飽き! ギャーギャー叫ぶばかりよ」
 

 ミリリにここまでの冒険で集められた錬金素材を届けようと、ハイクロスの村へと立ち寄ったら、村の入り口で彼女に呼び止められてしまった。
 
「では、どうしろと言うのだ?」
「ナールよ、ナールを連れてきて」
「この錬金素材は?」
「ありがとう、早くナールを連れてきて」
「…………(。-`ω´-)」
 
 この人、動物総覧の方しか興味無くなっているんじゃないかな?
 しっかりと集めてきた素材は大量に取られたけどね。
 
 ナールか、林の中ならどこにでも紛れ込んでいるだろう。
 奴らは洞穴以外では、木に擬態して襲い掛かってくる厄介な奴らだ。
 
 

 ハイクロスの村から北東の方角を見てみると、何やらキャンプらしき場所が見えたりする。
 とりあえずそこへ向かってみることにした。
 
 
「ここは暴熱キャンプ――すなわちブレイクネック・キャンプだ」
「どの辺りが暴熱なのよ」
「速くて危険極まるところかな?」
「ただのキャンプが、何故速くて危険なのかわかんない」
「わんっ」
 

「電光石火のナール捕獲、俺のこの速さが危ういのだ!」
「ふ~ん、がんばってね」
 
 緑娘も学習したようで、今回はナールの捕獲を第一優先とすることを理解している。
 だから手を出さずに――いや、足を出さずにじっと待っているわけだが――
 

「わんっ! わんっ! わんっ!」
「こらっ! 邪魔をするな馬鹿犬!」
 
 ――残念ながら、作戦を理解してない奴が居た……(。-`ω´-)
 
 犬のチロジャルは、危険な牙でものすごい速さでナールに噛みついていくのであった。
 
「まさに電光石火ね」
「ぐぬぬ……(。-`ω´-)」
 
 結局、捕獲する前に、ナールはチロジャルに噛み殺されたのであった。
 敵対するものは、全て退治することしか考えない犬。
 普段はそれが頼もしいのだが、今回は別だ。
 

「わおおおぉぉぉぉ~んっ!」
「わおんじゃねぇ! わおんカードはチャージした時だけ動きやがれ!」
「これを引っ張って持って帰ればいいんじゃないのかしら?」
「生きたままじゃないとダメだろ……」
 
 何もわかっていない犬のチロジャルは、勝利の遠吠え――いや雄叫びを上げる。
 まいったな、こいつが居る限りこの任務は困難だぞ?
 
 

 仕方がないので、一旦キャンプの高台へと向かう。
 ここからナールを探しつつ、緑娘と犬はここで待機していてもらおう。
 後で合流するなり、任務が終わってから迎えに来るなり、とにかく犬が居たのでは仕事にならないのだ。
 
「俺はナールを探してくるから、ここでチロジャルを見張っていてくれ」
「何よ、ナールとどこかにしけこんでしっぽりするんでしょ!」
「どこからそういう発想が出てくるんだ……(。-`ω´-)」
「わんっ!」
 
 ここはキャンプというより見張り台って感じだね。
 驚愕の島から北の海が見渡せるよ。
 この世界に広がる海には、驚愕の島しか浮かんでいないのだろうか?
 
 それともこの世界は平らな世界で、海の向こうは奈落になっているのかな?
 それとも蛇が円を描き、その上に亀が乗り、さらに上に乗った象が支えた半球状の大地の上に世界が広がっているのか……。
 
 

 ここはナールの住処になっていたのか、キャンプのすぐ傍で二体目のナールと遭遇したのだった。
 今回は邪魔者も居ないので、落ち着いて生物操作の魔術をぶちこんで大人しくさせる。
 むろん、こんな奴としけこんでしっぽりする気は毛頭無い。
 これで任務は完了したような物、あとはミリリの傍に連れていくだけだ。
 

 違うからね、しけこんでいるんじゃないよ。
 ハイクロスの村に連れて行っているだけだからね。
 
 俺は、キャンプの高台からこちらを見下ろしている緑娘に合図をすると、犬が追い付いてくる前に急いで村へと駆け込むのであった。
 ひょっとしたら、ナールも俺が率いている間は、犬も敵とはみなさずに大人しくついてくるかもしれない。
 例えば、ブラックルート・レアに居た中立のナールには、襲い掛かっていくことはなかった。
 しかし、万が一という場合も有りうるので……。
 
 

 あとはミリリの前に連れて行って、処理してくれるのを待つのみ。
 ミリリがうっかり殺してしまったら、代わりを連れてこなければならないが……。
 
「ナールだわ、ありがとう。報酬はこれよ」
「545G、前回より値下がりしとるぞ」
「待たせた罰よ。さっ、早く生きた木を弄びたいわぁ」
「捕獲した獲物を弄ぶのな……(。-`ω´-)」
 
 弄ぶ――、足をもぎ取ったり内臓を引き出したり遊んだあげく、やっと研究するのかな?
 
 

 とまぁ、変な風に弄ぶことはなく、ミリリはナールを普通に檻の中に閉じ込めて、ノートに何やら記入し始めるのであった。
 
「ナール、別名ウォーキング・ツリー。植物でもあり、動物でもあり、島の全域をうろついている」
「それって、レオゴンみたいなのか?」
「黙ってて。えっと、魔法を使って自分の耐久力を強化できる――と」
「エリトラと一緒に入れて、大丈夫なのか?」
「火、氷、そして雷を当てると、物理的に巨大化する――と」
 
 まあいいや、飽きるまで研究させよう。
 別に多額な報酬が欲しいわけでもないし、また錬金素材が溜まってきたなと思った時に、気まぐれに訪ねるのでよいだろう。
 
 
 
 
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