いろいろと雑用 ~沈静のズボンをもらったり測径両脚器や戦慄のフォークを届けたり~
さて、旋律の島をぐるりと一周半して、再びニュー・シェオス、ブリス地区へと戻ってきた。
おかしな人は、相変わらずおかしなことしていますかね?
「すっ、全てが我々の頭上に落ちてくる前に急いでくれ!」
「お前エルスウェアに引っ越せ」
アミアブルも相変わらずアミアブルなわけで、野外の寝床を確保できたものの、相変わらず町の中では壁が怖いらしい。
エルスウェアなら、広い砂漠だし安心して過ごせると思うぞ。
アガマナスの司祭と呼ばれる妙なカルト教団も壊滅させたし、今なら安全なはずだからね、トゥルットゥー!
さて、まずはビッグヘッド――と思って教会に向かったところ、その入り口で待ち構えている怪しげな奴。
ビッグヘッドだ。
「こら、へぼ歌歌い。フォークを持ってきてやったぞ」
「フォ~ク?! ♪おとどけの歌だ~、ビッグヘッドにフォ~ク~?」
「これがお前の言っていた戦慄のフォークか? それともう歌うな!」
「♪あお~ん、幸せな日なの~。目無しに光~、足無しも歩ける~、おチビちゃんはノッポに~、ビッグヘッドはあなたの友に~。努力の歌! 友情の歌! 勝利の歌! 私か~ら、あなたへ~、このプレゼント~、届けよう~。卵仲間にプレゼント!」
「…………(。-`ω´-)」
「♪ビッグヘッドの秘術教えるよ~、錬金術に隠密、剣術でグサ~リッ! ど~れ覚えるの~?」
「……錬金術で」
「♪毒は薬の仲間だよ~、ビンに入っているよ~。お兄さんいい薬あるよ~、ビンビンだよ~。薬が歌う~、薬が鳴る~!」
――かまってられるか!
俺は、ビッグヘッドリサイタルから、命からがら逃げだしたのであった。
こいつ絶対「いい薬」使ってる!
たぶん、俺がこれまでに出会ったアルゴニアンの中で、一番妙だ!
二番目が、輪を走り回る――ランズ=イン=サークルな。にーにーにー!
こいつらに比べたら、ダル=マとかディーサンとかは神様だ!
「ちょっと待つアルよ!」
「なんぞ!」
なんかナマズ髭生やしていたり、「私はその昔ミソラーメンだった」系みたいな、この独特な語尾は――
グラアシア族! ――じゃなくてフィミオン!
「フィミオン腹ペコアルよ。スイートロール欲しい。でもリンゴだめ、リンゴは嫌いアルよ」
「自分で買ってこい!」
「スイートロールくれたら、フィミオンのズボンあげるアルよ」
「要らんわ!」
「これ沈静のズボンアルよ。珍しい珍しいズボンアルよ」
「なぬっ?!」
変なところで見つけるものだ。
お探し物商店のなんでも屋、アジャズダの探していたアイテムの、最後の一つがこんなところにあったなんてな。
こいつをひっくり返して身ぐるみ剥いでもいいのだが、山賊などではなく一般市民に追い剥ぎは気の毒だ。
そういうわけで、再びコモン・トレジャーの店へスイートロールを買いに行くのであった。
1Gで売っているのに、樽を漁って小銭を集めて買わないから、いつまでたっても物乞いなのだ。
「――というわけで、スイートロール売ってください」
「あら~、残念だわ。今朝ビーシャってカジートが最後の一個を買っていったのよ」
「なんですと?!」
「でも大丈夫、レンディルならすぐに作ってくれますよ」
「誰ですかそれは?」
「ドラララ――」
あいつか、ゲテモノ料理系の職人か。
あんなのにスイートロールを作らせるのは怖いが、どうせ食うのはフィミオンだ。
誰が作った物なのかは、この際関係ない。
そういうわけで、今度は料理屋レンディルの所へ向かおうとしたわけだが――
なんだか妙な気配を感じて振り返ると、そこには犬のチロジャルにまとわりつく怪しいカジートが!
「こら、ちょっと待て。なんだお前は?!」
「ビーシャはこの犬が気に入った」
「なっ、普通にこっちに移り住んでいたんだな、感心なこった」
「ブリスには可愛い犬がいっぱい居る。ビーシャはこっちに移り住んでよかった」
「待てよ、お前スイートロール持ってるだろ」
「犬好きのビーシャが、朝ご飯に食べたスイートロールに何か用があるのか?」
「……無い(。-`ω´-)」
まぁ、そりゃあそうだよな。
普通は食料は食うために買うよな。
スイートロールを壺の中に保存していたら、凝縮された腐敗物に変わってしまうわな。
「――というわけで、スイートロール作ってください」
「お安い御用さ。それで、隠し味はエリトラの体液がいいかな? グラマイトの卵がいいかな?」
「……お任せします(。-`ω´-)」
どうせ食うのはフィミオンだからな!
凝縮された腐敗物混じりでも、ハンガーの舌入りでも別に構わない。
「ほらっ、スイートロール一丁。3Gだよ」
「三倍の価格なのな。どう違うのか――は別にいいや」
どうせ何か変なのを混ぜているのだろう。
いいよ、どうせ食うのはフィミオンだからな!
「――というわけで、スイートロール持ってきてやったぞ」
「あらまーっ! すうぃーとるぉぉるぅ!」
「クネクネするな、気持ち悪い。さっさと沈静のズボンをよこすんだ」
「ん、ズボンあげるアルよ。今度はパイが欲しいアルよ、リンゴは?」
「嫌いだと言ったくせに……」
そう言うと、フィミオンはおもむろに――
「ほら、これが沈静のズボンアルよ」
「ちょっと! 何この変態!」
「待て待て、こんな道の真ん中で脱ぐなよ」
「フィミオンは、これからノーズボン運動を展開するアルよ」
「せんでええ!」
こいつ、シェオゴラスの信徒だろう?
いや、この世界自体が、シェオゴラスの世界だったか……(。-`ω´-)
気の毒――、こいつの頭が気の毒なので、使っていない「完璧なる狂気のグリーヴ」を代わりに譲ってやることにした。
一人で勝手に、尻から小麦粉噴き出したり、左右狂い跳ねしているがよかろう……
さてと、一旦宿屋で休憩してと――
「おおっ、君か。船の方は順調だよ」
不眠不休のトーヴとやらに、呼び止められてしまった。
丁度良いので、見つけてきた測径両脚器を譲ってやろう。
「ほら、測径両脚器を見つけてきてやったぞ」
「おおっ、ずばり全部頂こう! 来週言った通り、一つ5Gで買い取ってやる」
「時系列が意味不明だが、一つって、何個必要なのだ?」
「来週百個になるまで集めるのだって言ったぞ」
「ぬ……(。-`ω´-)」
あと99個も探してこなければならないのか。
集めたらホントに水が宙に浮くのならやる気が出るものだが、どう考えても戯言だからなぁ……
こいつの言っていることが実現できて、浮かせた水を球形に固めて、その中でボールゲームをするという夢は考えたけどな。
ひょっとしたら千年前の戦慄の島では、ニュー・シェオス・エイブスというブリス地区チームと、ニュー・シェオス・ダグルスというクルーシブル地区チームが戦っていたのかもしれない。
――いや、俺のただの妄想だけどね(^ω^)
やー、相変わらずおかしな人たちだった。
「――というわけで、沈静のズボンだ」
「そんな自慢するようなものでもないのに。あなたって、それほど筋肉無いのね」
「ズボンを見ろよ」
「いやよ、変態の履いていた気持ち悪いズボン」
「…………(。-`ω´-)」
まぁ緑娘の言うことも、いろいろと一理ある。
生まれ変わったら、緑娘も驚くような突然マッチョマンになってやるんだ!
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