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極寒の眠り ~ノルドの野蛮人を始末せよ~

 
 帝都商業地区のとある裏庭にて――
 

 次の報酬と指令書は、帝都の町中にあった。あまりこういったところでこそこそしたくないものだが、仕方が無い。
 裏庭の隅に切り株があり、その中がくり抜かれていて、そこに隠されていたのだ。
 
 第六の指令書によると、次の標的はノール山の頂上にある野営地で一人暮らしをしているハヴィルステイン・ホア=ブラッドというノルドの男性。
 こいつは野蛮人らしく、ソルスタイムという島で蜜酒の館の族長を残酷に虐殺したそうだ。
 族長には妹が居て復讐を企てたわけだが、ノルドの風習である贖罪金による金銭的懲罰ではなく、ハヴィルステインの命をもって償うことを望んだらしい。
 そこで闇の一党の出番となったわけだ。
 
 こいつも普通に悪い奴だから、退治することに抵抗はほとんど無い。
 一部罪も無い人間を抹殺する指令がくだる事があるのが困り物だが、半分は悪人の始末という名目になっているみたいだ。
 悪をもって悪を制するというのかどうか知らないが、そんな一面があるのが意外だったりする。
 もしもだ、もしも別の形で俺が闇の一党と接していたならば、頂点を乗っ取って標的を選別し、悪人だけを始末する組織に変えられたかもしれない。
 
 それよりもだ。
 ここまであまり気にせずにスルーしていたのだが、前回の任務で感じた違和感が膨れ上がったためかもしれないが、ちょっとした変化に気づいてしまった。
 

 わかるだろうか?
 
 これらはルシエンから受け取っている指令書の数々である。
 しかし最近気がついたのだが、二番目の指令書までと、それ以降の指令書とで紙の質が変わっているのだ。
 そして三番目の指令書の標的だったジ=ガスタと、五番目の指令書の標的だったアルヴァルは、その自宅に闇の一党五教義とブラックハンドのローブが置かれてあったのだ。
 
 俺は何かがおかしいと感じている。
 杞憂であればよいのだが、指令書を出しているのは本当にルシエンなのだろうか?
 俺はハメられているのではないだろうか?
 ひょっとしたら味方殺しの裏切者に利用されているのではないだろうか?
 
 もしもだ、もしもそうなら――
 その裏切者とコンタクトを取りたいものだ。
 物の見方によれば、そいつは俺の仲間になりうる存在なのだ。
 
 だがしかし、別の見方もできる。
 ルシエンが裏切者の存在に気がつき、俺にその裏切者を始末させたと考えることもできるわけだ。
 
 
 ジ=ガスタとアルヴァルが裏切者なのか……
 それとも別の裏切者である何者かが、俺を利用して闇の一党の仲間を始末しているのか……
 
 ぶっちゃけ、どっちでもよいけどな。
 前者なら、ルシエンに対する俺の信頼はさらに上昇する。後者なら、俺が闇の一党として活動している本来の目的の一環にもなる。
 
 ただ気味が悪いだけだ。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 

 というわけで、ノール山である。
 この山は、俺の本拠地の一つである霜降りし岩山の塔、別名魔術師の塔のある山だ。
 その塔から、万年雪を掻き分けて一本の道が続いているのだ。
 そしてどうやらこの先に、野営地があるらしい。
 

 周囲を警戒しながらこっそりと道を辿ってゆく。
 するとそこには確かに野営地が存在したのであった。
 そこには屈強な男が一人立っている。ノルドのハヴィルステイン・ホア=ブラッドだ。


 ここまできてふと思ったのだが、そういえばソルスタイムという島はモローウィンドという隣国の一部らしい。
 アルヴァルもそうだったが、何故他の国で問題を起こした者までシロディールの我々が始末しなければならないのだろうか?
 モローウィンドには闇の一党という組織は無いのだろうか? 族長の妹とやらは、なぜモローウィンドの闇の一党に依頼しなかった?
 
 おそらく無いのかもしれないな。
 その方が良い。シロディールの闇の一党だけ始末すれば済むからな。
 

 というわけで、マグマストリーム一発。
 ノルドは冷気に対する耐性を持っていると聞いたことがある。
 ならば逆に熱線で攻めてやれば、より効果が出るかもしれないということに繋がる。
 相手の属性を見極めて、臨機応変に対処する。魔術師はこれ大事なのだ、忘れるのではないぞ。
 
 こうして、ハヴィルステイン・ホア=ブラッドはデリートされた。
 また一人、闇の一党の毒牙にかかって命を落とした。
 あと何人? 何人殺せばよいのだろうか……
 

 ノール山の野営地から下界を見下ろすと、遠くにクラウドルーラー神殿が目に入った。
 
 ブレイズは、皇帝陛下を護衛する親衛隊。
 しかしマーティンが居なくなった現在、皇帝の血を引くものは居なくなった。
 今のブレイズの存在意義は何か? そして彼らは何のために戦うのか?
 俺が考えてもしょうがないことだが、オブリビオンの動乱はあまりにも失うものが多すぎる戦いだった……
 
 緑娘……
 マーティン……
 
 友よ恋人よ、君達にもう一度会いたい。
 そう願うのは、贅沢なことなのだろうか……
 
 
 だからこうして、闇の一党壊滅に向けて俺は戦うのだ。
 この空虚な心を満たしてくれるのは、復讐心だけなのだから。
 
 
 
 
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©発行年-2020 らむのゲーム日記