home > 投稿 > > 別の扉 前編 ~悲惨な呪い~

別の扉 前編 ~悲惨な呪い~

 
 痴情のもつれの多い島、スターク。
 恋を取り持つ次の仕事はいったい何か?
 

「おいっ、別の扉を見つけたぞ!」
「扉に恋するログクロズ監督。扉フェチとは初めて聞くなぁ」
「何を意味不明なことを言っておる。古代の扉周囲をさらに掘らせると、また別の扉が出てきたんだよ!」
「ほう、興味深いな。行ってみよう」
 
 再び金鉱の奥へと進んでいく一同。
 監督は、古代の扉の直前の場所で立ち止まって振り返った。
  

「こっちに掘ってみたんだ」
「いつの間にか反対方向にトンネルができてるね」
 

 分かれ道になっていて、左に進むと最初に発見した古代の扉となっている。
 監督は、新たに掘った右側の坑道先に、また別の扉を発見したというのだ。
 

 その扉は、またしても馴染み深いアイレイドのものだった。
 この金鉱は、奥に二つの遺跡を隠していたのか?
 それとも、元々一つだったのが途中が崩れて二つに分かれたのか?
 
 新しく見える扉は、地上にもたくさん存在しているよく見た入り口だ。
 しかし最初に見つけた古代の扉は、アイレイドの遺跡内部に存在する扉だ。
 本当の入り口はここで、最初の場所はその途中かな?
 
 遺跡の名前は「ヴァッサ・タルナビエ」だと思う。勘だよ勘。
 しかしこの扉は、何かに塞がれているようで開くことはなかった。
 
「だめだ、この扉は開かない」
「鍵がかかっているのか? 俺が思うに、そこは遺跡の他の部分と接続しているのではないか?」
「それは思った。この扉が基本的に入り口なんだ。最初に見つけたのは、遺跡の内部を分けている扉だから」
「ではあの兄弟に、さらに調査させよう」
 
 そこで俺達は、エウリウス兄弟の調査している最初に見つけた遺跡へと向かっていった。
 

 古代の遺跡にて、エウリウス兄弟は俺が姿を見せると急いで駆け寄ってきた。
 
「遅かったじゃないか! アレニオンと私は秘密の回廊を見つけたんだ! あんたはその目で確かめてみるべきだ!」
「なんだ? 確かみてみればいいのか?」
「誤字ってる場合じゃない! 奇妙な石碑も見つけたんだ。『スピーチが沈黙する』という碑文があったんだ。それが何なのか、意味がわからないんだ」
「それだけじゃないぞ!」
「それだけじゃないぞ!」
 


 
 こいつらアホだろう……(。-`ω´-)
 
 叩きのめすのもめんどくさいので、俺は二人を押しのけて奥へと向かった。
 

 すると、確かに新たに奥へと続くトンネルが姿を表していた。
 やはり隠し通路があったみたいだね。
 

 奥へ続く扉は、ピックでも魔法でも開かない扉だった。おそらく扉を開くには、この石碑に関係があるはずだ。
 俺は、そっと石碑を触る。石碑は青白く輝き、すぐ傍の扉から、カチャリと小さな音がした。
 
「……、………………(よし、扉は開いたぞ)」
 
 あれ?
 
「…………………、………………?(声が聞こえない、どうなってる?)」
「なに口をパクパクしているのよ、金魚病?」
「………………、……………………(そんな病気はない、金魚草ならヘタクソなバンドだけどな)」
 
 ――ってか、声が出なーい!
 
「わかったぞ、石碑の意味が。スピーチが沈黙するとは、声が出なくなる呪いだったんだ!」
「……………………!!(先に調べろこのすっとこどっこい!!)」
 
 
 悔やんでも仕方が無い。
 呪いを解く方法は、この遺跡の奥にあるはずだ。
 無かったら――、手話の勉強を始めなくちゃならんかもしれん……(。-`ω´-)
 

 しかし通路の先は、業火で閉ざされていた。
 ここを突破しなければならないのか?
 魔導師を甘く見るなよ!
 
「……………………!!(エターナル・ブリザード!!)」
 
 周囲を瞬時に凍らせ、炎すら一瞬で凍りつく。
 
 ………
 ……
 …
 
 声が出ないから魔法の詠唱ができねーっ!
 ある意味凍り付いてしまったじゃないか、雰囲気が……
 

 俺は身振り手振りで、通路の先を説明した。
 監督も兄弟も首を傾げるだけなので、三人の腕を引っ張って現場へと連れて行った。
 兄弟はその炎を見て、恐れおののいた。
 
「ここでこんな業火に遭遇するなんて、予想していなかった……。火に対する準備なんかしていなかったよ」
「俺がいいものを持ってるぜ。このポーションだ」
 
 しかし監督は、いいものがあると言って、懐からポーションを取り出した。
 なんでも鉱夫の一人、マークスはランタンに火を点けたり焚き火の近くで休んでいるときに使っているポーションだという。
 彼は不器用だ。とても不器用だから、火を扱うときはそのままだと危ない。
 

 ログクロズ監督が譲ってくれたのは、火炎免疫のポーション。
 これを使えば、少しの間だけと炎の影響を受けることなく居られるというわけだ。
 

「どう?」
「…………」
 
 答えなかったわけでないで。平気だと言ったけど、言葉にならなかっただけだ。
 しかし耐性時間はそんなに無いので、一気に駆け抜けることにした。
 
 

 業火の通路を通り抜けた先は、先ほどと同じような石碑が埋め込まれた小部屋になっていた。
 俺はその石碑に手を伸ばす。
 
「待って、また何か呪いが降りかかるかもしれないわ」
「………………(沈黙の呪いが解けるかもしれないぞ)」
 
 それに、先へ続く扉はここでも封印されている。
 どっちみちこの石碑を触らなければ、先へと進めないのだ。
 それでは意を決して!
 

 
 …………(。-`ω´-)
 
「ちょっ、ちょっと何裸になってんのよ!」
「…………! ……………………!!(知らんわ! サングインの呪いだ!)
 
 この遺跡は、恐らくサングインが作ったのかもしれない。
 石碑に触れた途端、俺が身に付けていたものは全て消え去ってしまったのだ!
 幸い松明は緑娘が持っていたから、暗闇に閉ざされることはなかったけどな。
 
 気が付けば業火はこの石碑と連動していたのか、すっかり消え去ってしまっていた。
 安全な通路を通って三人もやってきたようだ。
 
 アレニオンは俺の姿をみて驚き、そして石碑を調べ始めた。
 
「わかったぞ、この石碑には『富が貧困になる』と書かれている。つまり、持っている物を全て失うということなんだ!」
「………………(緑娘にやらせたらよかった、今頃すごくおもしろいことに……)
「これはあなたの工夫の才について、ある種の試練を課しているのだと思われます」
 
 状況説明しているのはいいが、エウリウス兄弟ニヤニヤしている顔が憎たらしい。
 ログクロズ監督は裸の俺を困惑した顔で見ていて、緑娘は怒っている。
 何を怒っているのだ! ベッドで何度も裸になっただろうが!
 
 こほん……(。-`ω´-)
 
 

 遺跡の呪いで、衣服と声を失ってしまった俺。
 通路を塞いでいたのは、魔法や鍵で開くことのできる扉。
 しかし声が出なければ開錠の魔法は使えないし、不壊のピックも失われてしまいお手上げ状態だ。
 
「俺達は冒険者なのだ。鍵の一つや二つ、開錠ぐらい朝飯前だぞ」
 
 そこで手伝ってくれたのは、アマリウス兄貴の方。
 

 彼は、鍵のかかった扉を一つずつ開錠して奥へと進んでいった。
 俺だって不壊のピックさえあれば、こんな扉関係ないからな!
 

 鍵のかかった扉を通り過ぎた先は、再び石碑のある小部屋になっていた。
 同じように、傍には鍵などでは開かない扉、石碑を触るしかないのだ。
 その石碑を触ると、周囲が突然真っ暗になった。
 
「なになに、この石碑には『光が闇になる』と書いてあるぞ」
「…………(。-`ω´-)」
 
 声に続いて視覚も失ってしまったか。
 助けてサリバン先生……(´;ω;`)
 悲惨な呪いをかけられた俺の試練は続く――
 
 
 
 
Sponsored Links



 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

return to page top

©発行年-2020 らむのゲーム日記