ジャンとモーリのバラード ~策士ジャン~
一番興味を引いた鉱山問題が片付いたので、次は割りと時間を急ぎそうな依頼をこなすことにした。
スターク島に住むモリハザ・スタークは、ジャン・シスコッテという人に出会って恋に落ちた。
しかし父のカッシウスに認められないと言われそうなのだが、二人は諦めていない。
そして父の乗っている船、キンタイラ二世号でジャンも島に向かってきているはずなのだが、到着が遅れているそうだ。
灯台の住民ジュリア・バッシラは何も語ってくれないので、代わりに俺に話を聞いてきて欲しい。
これが、モリハザ・スタークから頼まれた依頼の概要だ。
さて、灯台に向かって行くのだが――
誰かが海の中に佇んでいる。
またサルか何かに衣服を取られたか? と思ったが、砂浜に衣服が畳んで置かれてあったので、ただ泳いでいるだけだろう。
しかしこれまでに、泳いでいる人を見ることは稀で珍しかったので、砂浜から声をかけてみた。
「おはよー、朝から海水浴ですかー?」
「そうよー、あなたもどうー?」
「いんえー、それよりも灯台に住むジュリアさんをご存知ですかー?」
「それは私ですー。どうかしたのですかー?」
そこでジュリアにキンタイラ二世号について尋ねてみたのだが、やはりまだ到着していないらしい。
そして到着したら伝えますよと、モリハザに伝えて欲しいと言ってきた。
しかし奇妙なこともあったと言う。
数日前に、ヘルガという女の人が岸に打ち上げられたのだ。そして彼女はどこから来たのか言おうとしない。
それから彼女は、島民に売春をしようとしたということで、現在牢屋に入れられているのだとさ。
ん、あの開脚のベルガか。やはり開脚の由来は、誰にでも簡単に股を開くってことだったか……
春を買おうとしたら緑娘に踏み殺されそうな気がするのでやらないが、このことは船が遅れていることと何か関係がありそうだね。
もう一度牢屋に向かって、彼女が何か知っているか聞き出してみよう。
そこで砂浜でリリィさんと遭遇。そうだ、気になっていることを聞いてみよう。
「リリィさん、昨夜はどこに泊まりましたか?」
「船室を借りましたよ」
「その手があったか……(。-`ω´-)」
なんで俺は宿を探すのに物乞いを頼ったかなぁ?
今夜からは、俺も船室を借りよう。
さて牢屋だ。
「こんにちは、ヘルガさん」
「やーよ、罰金払うかなんとかして出してくれなきゃ、なーにも教えないわ」
「分かったよ、おい衛兵! 彼女の保釈金払うぞ!」
「50Gだ」
「やっすいのぉ……」
そんなわけで、恐ろしく安い保釈金で、彼女は釈放となったのであった。
俺の想像する保釈金は、少なくともあと四桁ほどはかかると思うのだけどね。
いや、この場合罰金だったか。どっちみち安いことには変わらないけどね。
そのヘルガの話では、彼女もキンタイラ二世号に乗っていて、アンヴィルに向かう途中だったそうだ。
その航海の途中で、その船はスタークにも寄る予定にもなっていたが、真夜中に突如船は破壊されて沈んでしまったのだ。
それでヘルガは、なんとか流木に捕まって、スタークに辿りついたのだ。
沈没しかけていた時ヘルガは、ボートが近づいてくるのを見かけたが、それはゴブリンの乗ったボートだった。
何人かの乗客は、ゴブリンにさらわれてそのボートで連れ去られたというのだ。
「あなた、あのヘルガって人と何かするつもりなの?」
「せんよ、俺の前で開脚してもいいのは君だけだからね」
「その言い方、なんか微妙」
「知らんがな」
畜生、楽じゃないね。いろいろと大変だよ。
そして再びジュリアの所へ戻る。
彼女は丁度着替え中だった、こほん。
ゴブリンについて何か知っていることを聞いてみたところ、灯台の西側をぐるりとまわった先にある牙折れ洞窟に住み着いているとの話を聞けた。
この小さな島にも、ゴブリンが住み着いているのか。どこにでも居るのだね。
灯台の方へと向かうと、ジ=スカール先輩とニラーシャが、なにやら揃って魚釣りに熱中しているようで。
やっぱり猫は魚か、金塊食ってないで、魚食べたほうが体に良いと思うよ。
そして灯台の裏道を進んでいく。
橋がかかっていて、その先に洞窟があったのだ。
なぜゴブリンの住んでいる洞窟まで橋をかけるのだ? 共存しているのか?
それともこの橋は、ゴブリンが作ったのか?
さて、牙折れ洞窟だが、雰囲気はこれまでの洞窟とはほとんど変わらない。
ゴブリンが住んでいる洞窟というのも、既に何度か経験済みである。
ゴブリンの群れを蹴散らしながら奥へ進むと、なんだか殺されている人と、牢屋みたいなのに閉じ込められている人が居た。
そしてゴブリンシャーマン、そういえばゴブリンの魂は捕獲していなかったので、ついでに魂縛しておく。
ゴブリンは依頼された8種類の怪物に入っていないが、闘技場にゴブリンが出てくるのも悪くは無かろう。少なくともネズミやカニよりは……
ゴブリンシャーマンの持っていた牢屋の鍵で、柵を開けてあげる。
どうでもいいが、そのぐらいの柵なら上を乗り越えて脱出できそうな気がするけどね。
「どうか助けてください。私はジャン・シスコッテ、スタークと呼ばれる島を探しているところなのです」
「君がジャンか、丁度良い。モリハザに頼まれて、君を探していたところだよ」
「ナインよ、感謝します」
「いや、助けに来たのはナインじゃなくて俺だけどねっ」
「ところで、スターク島はどこですか? 私を連れて行ってください」
「ここがスタークなんだけどね」
「おお、カイナレスに祝福あれ!」
こいつは神様ばっかり感謝して、助けに来た俺には何も言わないのな。
畜生、楽じゃないね。いろいろと大変だよ。
まあ別にいいけどね。
ジャンは、話を聞いてくれと言って、長々と語りだした。
非常に長かったが、要約したらこんな感じかな?
ジャンはキンタイラ二世号の乗務員としてスターク島に向かっていた。
途中でスクゥーマの入った木箱を偶然見つけてしまったが、その時たまたま船長とカッシウス・スタークに見られてしまい、スクゥーマの密輸人と間違えられて営倉入りさせられてしまった。
その後船は転覆したしまい、ジャンは海へ放り投げられたが、ボートに助けられたかかに見えた。
しかしそのボートはゴブリンの物で、そのまま捕まってしまいここに閉じ込められたと。
ゴブリンは、まず船長を殺し、カッシウス・スタークを殺した。もう少し遅ければ、次に殺されるのはジャンだった、というわけだ。
「私を救って頂き、ありがとうございます。どうかモリハザの所まで案内してください」
「お、神様ばっかり感謝していたが、ようやく俺にも礼を述べたね。よし、行こうか」
俺も最初は神に感謝するのが、この国では正しいことなのかな。
シェオゴラスよ、感謝します! あほやん!
お亡くなりになってしまった、カッシウス・スターク。カッシウスって確かモリハザの父ではなかったか?
まあいいか、邪魔者が居なくなって、ジャンとモリハザはめでたしめでたしということにしておこう。
この洞窟には、まだ奥があるようだ。
この先が気になるが、まずはジャンを連れて行くのが先だね。
そんなわけで、ジャンを連れて牙折れ洞窟を出たのであった。
衛兵にモリハザの家を聞いて、戻ってきました。
ん、スターク家の物だけあって、島で一番大きな家だね。
まぁ、あなたには二度と会えないと思っていましたわ!
あなたの父上のおかげです! 私は父上と和解して、あなたを一生愛すると誓いました! 彼もそう望みました!
とまぁこんな会話が繰り広げられましたとさ。
なんか話を創っている部分が見受けられたが、ジャンの奴、策士だな。
モリハザが父親を失ったことを慰めると同時に、自分の結婚に対する正当性を主張したね。
否定しようにも、カッシウスは既に亡き、死人に口無しとはまさにこのことだ。
モリハザから、お礼に200G貰い、二人の結婚問題はこれにてめでたく解決ということにしてやろう。
畜生、楽じゃないね。いろいろと大変だよ。
おしまい。
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