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マーティン・セプティム ~皇帝の血筋~

 
 クヴァッチをデイドラの軍勢から守りきった。
 しかし俺の本来の目的は、ここで皇帝の血を引く隠し子マーティンを探すことだ。
 

 教会で一休みしてから外に出ると、夕暮れになっていた。
 城に突撃したからはずっと雨だったので、いまいち時間の流れが分からなかったよ。
 

 教会の傍は少しだけ片付けられ、新たにテントが設営されていた。
 元々は外にキャンプを張って避難していたが、デイドラの脅威が去ったので戻ってきたということだろう。
 
「マティウス隊長、マーティンも戻ってきていますか?」
「あのお坊さんはまだ来ていないね」
「まずいな、やられちゃったのかな……」
 
 がらくたが片付けられていて、教会の裏側にも進めるようになっていたので、ちょっとそちらも探索しておく。
 

 普通に道があるだけで、城まで続いているだけだったよ。
 そしてアルゴニアンが一人、この人がマーティンか?
 
「あなたはマーティンですか?」
「わしはウィータム、オブリビオン・ゲートを閉じてくれたことを、クヴァッチの避難民を代表して感謝する」
「いんえー。で、お坊さんはどこですか?」
「まだ避難キャンプから戻ってきていない人もいるかもな」
「さよか」
 
 クヴァッチの生き残りは街に残り、衛兵達と一緒に廃墟を復興させるようだ。
 街はひどい有様だが、決してへこたれないと言っている。しかしへこたれない人は、何の特徴も無い普通の人である。
 何故かだって? 知らんな……(。-`ω´-)
 

「夕焼けは何故赤いか知っているか?」
「太陽が低くなって大気の中を通る距離が長くなり、波長の短い青い光が散乱してしまい、波長の長い赤い光だけが届くようになるからでしょ?」
「違うな。太陽神が沈みたくない、沈みたくないと嘆き、血の涙を流しているからだ(。-`ω´-)」
「なにそれ! 面白く無いし気持ち悪いし悪趣味!」
 
 緑娘のマジレスも面白く無いぞ、とは言わないでおく。
 余計なことを語ってないで、さっさと難民キャンプのあった場所へと向かおう。


 元々難民キャンプがあった場所は既に撤収されていて、人気は無くなっていた。
 ただ一人だけ残っていたので話しかけてみた。想像しているお坊さんには見えないが……
 
「あなたがマーティンですか?」
「そうです。君が衛兵と一緒にデイドラを撃退したことを知っているよ。お見事でした」
「一緒に来てください、あなたの身は危険です」
「危険だって? もうデイドラの脅威は去ったのではないのか?」
「陛下からあなたを探すよう命じられているのです」
「皇帝が死んだ? アークメイジよ、私に何をしろと?」
「あなたは、ユリエル・セプティム陛下のご子息なのです」
 
 ジャーン、とでも効果音鳴らそうか? そんな場面だよね。
 想像してご覧。平凡な日常を送っていたところを、突然魔物に襲撃され、次に帝国のアークメイジが衝撃の事実を告げに来たら。
 これがよくわかんない人が告げに来たのなら、酔っ払いのたわごとと片付けられるが、相手は帝国の賢の代表格たる魔術師大学の長なんだぜ。
 別に俺が賢者というわけじゃないよ。魔術師大学が賢者の住む場所と呼ばれているのだ。
 イタズラ先輩とか住み着いているけど。

「皇帝陛下は、あなたが危難にあることを知っていたようです」
「君は皇帝が亡くなる前に話をしたのか? 皇帝が私を探せと?」
「アークメイジ、嘘つかない」
 
 いざとなったら、魅了の魔法を使うまでだけどね。
 それでもどうやらマーティンは俺のことを信じてくれたようだ。
 俺がオブリビオン・ゲートを破壊したことや、デイドラ撃退に協力して皆に希望をくれたということを評価してくれたのだ。
 そんなクヴァッチの英雄と呼ばれている者が、理由もなく人を担ぐとは思えない、と。
 
「では、私はどうすればよいのだろうか?」
「一緒にウェイノン修道院へ行くのです」
「わかった、行こうじゃないか。そしてジョフリーの話を聞いてみる」
 
 こうしてマーティンは、俺に同行してくれることを承諾してくれた。
 

「では出発。魔術師、戦士、僧侶の順番で行進ね」
「戦士のあたしが先頭じゃないの?」
「男、女、男という順番がよいのだ」
「なぜかしら?」
「嬲……(。-`ω´-)」
 

 さて、スキングードとコロールへの分岐点にやってきた。
 このまま街道を進めばスキングラード、北に抜ける道を進めばグレートフォレストを横断してコロールだ。
 日も沈みかけているし、ここは二つに一つ。スキングラードで一泊するか、一気にコロールに向かうか。
 
 少し迷ったが、結論として目的を急ぐことにした。
 マーティンがスキングラードに行くと、今度はそこが狙われるかもしれないのだ。
 ここは一刻も早く、ブレイズの保護下に置くべきだね。
 

「でも私は僧侶だ。僧侶の力が必要なのか? 私ではあまり力になれないと思うが」
「僧侶は魔力の回復が二倍で、魔力系と法力系の二種類を使いこなせるのです。大丈夫ですよ」
「レンジャーの方が役に立つのではないかね?」
「レンジャーは五人揃わないとだめです。しかもそのうちの一人は、常にカレーを補給しないと文句を言い出す」
「しかし、神々の理解に苦しむな」
「俺も苦しんでますよ、例えばシェオゴラスとか……」
「これが神の計画の一部だと言うのなら、関与すべきなのか私にはわからない」
「神でも悪魔でも、あなたの助けが必要なのです――と陛下やジョフリーは言ってましたよ」
「私はただの一介の僧侶なのにな」
「俺も一介の魔術師だ」
「ご謙遜を、アークメイジ」
「大丈夫、あなたも陛下のご子息ですから」
 
 マーティンといろいろ話をしながら、北へ向かう道を進んでいく。
 この道を進むと、途中にレザーウェアとかあったはずだ。
 
「ところでクヴァッチの人々はあなたのことを『お坊さん』と呼んでましたよ。お坊さんには見えませんが……」
「聖職者のことを、クヴァッチではお坊さんと呼ぶのだ」
「ほーお」
 

「なんね?!」
「マーティンとの会話禁止!」
「なんでやねん!」
 
 なんか緑娘が割り込んできた。
 以前アリーレさんと話をしてきたときに割り込んできたが、緑娘は男女関係無く俺が他人と親しくするのが気に入らないのか?
 

 そんな感じに進んでいたが、日は沈み松明の明かりが必要になってきた。
 真夜中の行軍はやめといた方がよかったかな……
 
「やっぱり途中で休んでいこう」
「こんな森の中に休む場所はあるのか?」
「それがあるのです。以前助けてあげた兄弟が居てね」
 

 それがここ、レザーウェアだ。
 すぐにジェメイン兄弟の一人が、俺たちを見つけてやってきた。
 

「えーと、ギルバート?」
「いや、レイナルド」
「今夜一晩泊めてもらえないかな」
「どうぞ、あなたの頼みなら断れない」
 
 

 こうしてウェザーレアの一軒家に泊めてもらうことになったが、中は散らかっていて休めるような状態ではない。
 
「すんませんねぇ、皇帝の跡継ぎという方をこんなところに泊めたりして」
「気にすることはない。私は神官だし、父――この場合育ての父となるのか……は農夫だったし、こういう場所には慣れている」
「神官、アカトシュでしたっけ」
「そうだ。君はどの神を信仰しているのかな?」
「とりあえずシェオゴラスやメファーラ以外なら何でもいいよ」
「九大神では?」
「タロスは英雄の名にふさわしいが、神ではない」
「え? 何だって?」
「なんでもないです、たまに脳がトリップするのです……(。-`ω´-)」
 
 俺は遠い未来か過去、もしくは別世界で、タロス崇拝を迫害していたのだろうか?
 過去の記憶が無いし、ひょっとしたらそうなのかもしれない。
 

 こらこらジェメイン兄弟よ、人をかまどで焼くのはマズいと思うぞ?
 なんか見てはいけないものを見てしまった気分だ……
 オーガにやられた旅人を火葬していると言いたいが、ここを解放してから数ヶ月経つしなぁ……
 

 とりあえず寝室だけは整頓していたようだ。
 しかしベッドは一つだけ。あの兄弟、一つのベッドで一緒に寝ているのか?
 それはちょっとヤバいような……、まあいいや。
 
「あの恐怖の夜、私はアカトシュに寝ずに祈りを捧げていた。しかし助けは来ず、来たのはデイドラだけだった」
「おそらくデイドラ軍がクヴァッチに侵攻してきた目的は、あなたを亡き者にするためだと思うんだよね」
「私を殺すために街が巻き添えに? 何故だ?」
「デイドラには分かったのですよ。そして、皇帝の血を引くものは根絶やしにしてしまおうと」
「私が皇帝の息子だから?」
「結局の所、そうなると思うんですよ」
 
 皇帝が誰でもよいのなら、俺がなっても構わない。
 しかしデイドラも暗殺者も俺を狙わないということは、俺が皇帝になっても奴らにとって何も障壁にならないということだろう。
 このマーティンが帝位に付くと、奴らにとって都合が悪いということだ。
 
 
 そんなところで、今日は床で寝ることになる。
 緑娘はベッドに来てもいいのにというが、マーティンが傍に居る状態で同衾しようという気にはなれない。
 明日はコロールだね。デイドラが襲ってきませんように、おやすみ。
 
 
 
 
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©発行年-2020 らむのゲーム日記