単独での窃盗3 ~そろそろ合法的な盗み場が~

 
 アーダルジの指輪を取り戻した(盗みなおした)ことにより、盗賊ギルドでの俺の信頼度はさらに高まった。
 スクリーヴァなどは、俺の事をギルドの財産だとも言ってくれるようになったのだ。
 この調子で行けば、グレイ・フォックスに接近できる日も近いか?
 
 しかし盗賊ギルドでの昇進はあまり喜ばしくないものだった。
 

 嬉しくねーっ!
 
 しかもスクリーヴァは、次の仕事をやるにはもっとどろぼうさんをやれと言ってきた。
 盗賊ギルドの特別な仕事より、むしろこっちの方がめんどくさいと思う、今日この頃――
 
 

 さて、そんなわけで――というわけではないが、俺達はタスラへと戻ってきた。
 以前リリィに魔法の品があると聞いてやってきた、アンヴィルの外れにある小さな集落。
 しかしここは密輸団の巣窟で、シーリアという老婆の依頼で密輸団のリーダーを退治したことがあったりした。
 

 ここは岩石酒場。
 この酒場のマスターであるジョンヌは、密輸団のリーダーと繋がっていて、問題解決の際に退治したのだ。
 つまりこの酒場は主無き酒場、盗みに入ったところで被害者は居ない。むしろ略奪団から盗むのだから、正義の盗賊となるのである。
 

 しかし中に入ると、相変わらず裸なのともう一人が客として残っていた。
 これは夜になってから出直すか――、と思ったら!
 
「あんなことをした後にここをぶらつくとはいい度胸しているな? オブリビオンでその身を焦がすがいい!」
「きっ、貴様――っ人殺しめっ、思い知れ!」
 
 なんと二人は俺達の姿を見るや否や襲い掛かってきた!
 こいつら密輸団の一味だったのか?!
 

 残党狩りだ、やっつけてしまおう。
 
 どうだスクリーヴァ、これでも俺はこそ泥か?
 へんなものに昇格させるから、こそこそせずに強盗してやったぜっへん!
 

 ビールやワインも盗品として少しは値がつくから、片っ端から頂いてしまおう。
 
「よし、他にも密輸団の残党がいるかもしれないから、他の家も回ってみよう」
「レヤウィンの城から指輪を盗んでおいて、今更奇麗ぶるのもどうかと思うわ」
「盗賊ギルドの仕事は潜入捜査だが、単独での窃盗はそうもいかん。おれはどろぼうさんじゃないからな」
「ついさっきどろぼうさんをしたばっかりのくせに」
「違うな、さっきのは遺品整理だ(。-`ω´-)」
 

 というわけで、他の家にも入ってみる。
 ジョンヌやリーダーの敵討ちだ! などと言ってくる奴が居たら、返り討ちにして家の中の物全て没収だな。
 

 そして入った家では、おじいさんが一人だけ寝ていたりする。
 
「寝ている隙に、転がっている酒を頂きましょうよ」
「まて、それだとこそ泥になってしまう」
「こそ泥のくせに」
「やかましい! おじいさん! 起きてください!」
 

「なんかの?」
「ここはタスラですよね?!」
「タスラ? ええと、何も知らないな。わしは年寄りだしひどく酔っているんでの」
「俺を知らないか?」
「知らんがの」
「ノットギルティ!」
 
 この家から盗みをしてはいけない。
 おじいさんを再び寝かしつけると、俺達はそのまま家から立ち去っのである。
 
 タスラの集落では、それ以外の家は全て空き家になってた。
 これで盗むとどろぼうさんになってしまうので、手はつけないでおく。
 手に入れる物は、あくまで所有者の居ない盗品か、敵の品物でなければならないのが俺のポリシーだ。
 
 

 タスラの海岸にある潮溜まりには、黒い棘を持った大きな丸いものがあったりする。
 

 中身は黄金海岸ウニの卵。
 他の食べ物よりもそこそこ値段はするようだが、盗品じゃないのであまり意味はない。
 この卵は結構美味なのだが、食べ過ぎると痛風にかかるリスクもある諸刃の剣。
 素人はりんごでもを食ってなってことだ。
 

 タスラの海岸から見える対岸。
 ヴァレンウッドという場所で、ウッドエルフの故郷なのだとさ。
 ウッドエルフと言えば、グラアシアやマグリール、そして意味不明な熱狂的なファンとかがそうだ。
 つまりあの対岸に行けば、ああいう奴らがたくさん居るというのだ。
 
 ん、なんだか楽しそうな場所じゃないかね?
 
 ちなみに男性陣は彼らのような濃い面子が揃っているが、女性陣はそうでもない。
 メスレデルやボエシルのような各種ギルドの構成員や、レヤウィンでは魔術師ギルドマスターのダケイルさん等が居る。
 男性でも商人のソロニールは割とまともな方ですかな?
 
 
「そうだ、主無き家を思い出したぞ」
「ほんと、こだわるわねぇ……」
 
 

 それはここだ。
 ここではわからんから説明するが、以前立ち寄ったことのあるシェトコーム農場だ。
 ここに住んでいたスライズ・セリンギは、沈みし者に惑わされたか何かして、近くの洞窟で既にお亡くなりになっている。
 つまりここは、遺品整理な場所なのだ。
 

 しかし中に入ってみたはいいものの、金目のものは何一つ無かったりする。
 思い出してみたら、農民から盗んではダメなんだったっけ?
 ダメだなぁ!
 
 しかしそろそろ合法的な盗み場所が少なくなってきたかもしれない。
 

 例えばスキングラードにあるグラアシアの家などは、こんな有様である。
 持ち出せるものは全て持ち出した、ほとんど本だったけどね。
 食べ物も売れば1Gになったりするけど、それもそんなに数があるわけではない。

 
 う~ん、気に入らない奴の家に忍び込まなければならなくなってきたか?
 マグリールの家とか、熱狂的なファンの家があったら、中身空っぽにしてやるんだがなぁ……
 
 
 スキングラードの近くまで来たので、再びリリィに会っておくことにした。
 何かいろいろと手詰まり感があるので、合法的に盗みができる方法があるならば、ぜひとも聞いておきたいものだと思った。
 迷ったときはリリィを尋ねる、なんかこれが今後のパターンとなっていきそうだなぁ……
 こだわりを捨てて、適当にどろぼうさんをやれば済む話なんだけどね。
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ