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自殺滝の宝 ~ささやかな宝~

 
「自殺滝で宝が手に入ると言う者がいる。それを見つけようとした者は皆、滝つぼの岩の上で死んじまうのさ」
 
 クリムゾン・ブレード賊のキャンプで、このような噂を聞いていた。
 滝の名前は物騒だが、まだ誰も見つけることができなかった宝があるはずだ。
 

 そういうわけで、東側のダムからさらに上流に登った場所にある滝つぼへとやってきた。
 北側のダムの先は、クリムゾン・ブレード賊のキャンプだったので、位置的に東側だろうと判断したわけだ。
 
「確かに半分遺跡に様になっている滝だね」
「これを登るの?」
「まだ誰も手に入れることができなかった宝が眠っているんだぞ? わくわくしないか?」
「わぁ、なんだかわくわくしちゃう」
「なんだその棒読みは」
 
 と言っても滝を泳いで登っていくわけにもいかない。
 周囲にどこか登れる場所は無いか? と調べてみたところ――

 なにやら意味のありそうな洞穴が一つ。
 俺の予想では、この洞穴の奥に通路が延びていて、滝の頂上まで通じているというものだ。
 みんな滝を正面から登ることに夢中で、この抜け道のことを知らないのだ。急がば回れとはよく言ったものだ。
 

 しかし洞穴に入ってすぐの場所で、トレジャーハンターの死体が転がっていたりした。
 たぶん滝から転落して、その勢いでここまで吹っ飛んできたのだよ。
 
 さて、気を取り直して奥へと通じる道を探し――

 でっか!
 
 洞穴にはなんかでっかい熊が住み着いていた。
 宝を見つけようとしたものは、こいつにやられたのではないのか?!
 

 こんな巨大な奴は、緑娘には荷が重かろう。
 フリーズ・レイでもぶっ放して氷付けにしてやろう。

 凍らせたとこころで先に進もう。
 

 ――などと思ったけど、ここはただの洞穴だったようだ。
 
「ただのグリズリー洞穴じゃないのよ」
「あれっ、おかしいな? こんなはずじゃなかったんだが……」
「この分だと、お宝というのも山賊たちの迷信かもしれないわね」
「そんなことはない! 宝は絶対に、ある!」
 
 ここまで来たら、自殺滝の宝を絶対に見つけてやるという使命感のようなものが沸きあがった。
 滝つぼに叩きつけられても、くいはない! 杭はあるけどね!
 

 しかし、滝つぼには足を引っ掛けて登れるような場所は無い。
 
「もう帰らない? なんだか疲れてきちゃった」
「いや、滝の上まで登る手段はある。あれを見よ!」
 

 おれは、滝を直接登るのではなく、その周囲の山を登ることを思いついたのだ。
 確かにブレナ川渓谷の両側には、ダムの場所から普通に登れそうな山道となっているのだ。
 山賊達は、急がば回れという言葉を知らんから、滝つぼを無理矢理登ろうとして転落死するのだ。
 

 そういうわけで、川の南側にある山を登っていく。
 見ろよほら、滝つぼの頂上までここから辿りつけるぞ。
 

「へ~、すごく高いね」
「お宝を見つけたら、もっと驚くことになるぞ」
 

 上から覗き込むとこんな感じだ。
 う~ん、吸い込まれそうな高さ。ここまで来た奴は、まだだれも居ないということだろう。
 
「それで、そのお宝はどこにあるの?」
「慌てるな、きっとこの辺りのどこかにあるはず」
 
 というわけで、周囲を探してみる。

 滝つぼの周囲は大きな湖となっていて、泥カニとか熊とかが居て襲い掛かってくる。
 なんか狼は泥カニと喧嘩していたりするが、そんなのはほっといて宝探しを続けていた。
 
 しかし、それらしいものは発見できなかった……
 
「だいたいね、だれも辿りつけなかった場所に何故宝があるのよ」
「そりゃあ誰も辿りついていないから、手付かずのまま宝が残されているんだよ」
「その宝は誰が置いたのよ」
「…………(。-`ω´-)」
 
 くっ、山賊の迷信か!
 いや、そんなはずはない。まだ負けたわけではないぞ!
 

「見ろ、まだ滝は終わっていない」
「急にしょぼくなったわね」
「うるささ」
 
 滝つぼの頂上にあった湖は、そこからさらに北側に向かって川が延びていて、その先は小さな滝になっていた。
 滝の上のまたさらに上の滝、宝があるとしたらそこしかない!
 
 その小さな滝を登ってみると、そこが川の源流となっていた。

「ほら見ろ! 言ったとおり宝があるじゃないか!」
「不自然な宝の配置ね、まるでゲームみたい」
「なんでもいい、これで俺達は一生遊んで暮らせるぞ!」
「そんなことよりも世界を支配してみたいなぁ」
「そんな物騒なことを言ってないで、ほら来いよ!」
 
 どきどきわくわくしながら、自殺滝の上にあった宝箱に向かっていく。
 その中には――
 
 その中には!!
 
 

 
 …………(。-`ω´-)
 
「わぁ、すっごいお宝ね!」
「…………」
 

「意味わかんねー、意味わかんねーよ……」
「所詮夢なんて、そんなものだわ」
「期待させておいてあの山賊共め、くだらん迷信に惑わされやがって!」
「ここにも一人、くだらない迷信に惑わされた人がいるけどね」
「くっそ、あのキャンプの山賊、皆殺しにしてやる!」
「それだけは賛成、やっつけちゃいましょうよ」
 
 そんなわけで、残念ながら自殺滝の宝は8ゴールドというすばらしい物を発見して終わることとなった。
 宿賃一泊10ゴールド。
 自殺滝の宝は8ゴールド。
 やっぱり物の価値観がわかんねー国だな!
 
 ヽ(`Д´)ノ ウワーン!
 
 
 
 
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