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部外者とギルド規則と幼馴染 ~新しい仲間誕生~

 
 さて、俺は自分のことを俺の許婚だと主張する娘と共に大学のホールへ入り、ラミナスにジュラーエルがブルーマ支部長を引き受けたことを報告した。

 ラミナスはジュラーエルのことは好んでいないようだが、俺に従うと言ってくれた。
 まぁアークメイジが決めたことなのだ、嫌でも従ってもらうけどな!
 そしてさらにラミナスは、ブルーマギルドに配属するのに相応しい人物にも心当たりがあると言った。
 そっか、それなら後でブルーマギルドに行って、順調に再建が進んでいるかどうか確かめに行くとしよう。
 
「ところでアークメイジ殿」
「なんでしょう、ラミナスさん」
 
 ラミナスは、ブルーマギルドについての話を終えると、急に険しい目つきになって俺を糾弾してきた。
 
「あまり部外者を大学内に連れ込むのは感心しませんな」
「部外者? 誰が?」
「そちらのお嬢さんですよ。勝手に大学へ入り込んできて、私はラムリーザの婚約者と言って聞かないので放置していましたが、身内とはいえ部外者を連れ込まれては困りますな」
 
 む、この娘か……(。-`ω´-)
 
 許婚じゃなくて婚約者――、同じ意味か。
 

「ああん、ラミナスさぁん。そんな固いこと言わなくてもいいじゃないのん」
 
 ……なに身体をくねくねさせながら色目使っているんだこの娘はw
 ってか魔術師大学はそんな軽い場所じゃないっ。
 俺は、ますます目つきが険しくなるラミナスに、弁明を続けるハメになってしまった。
 
「いや、違うんですよ。いや、婚約者だと思うのですが記憶が、えーとね、なんというかその、ね」
「いくらアークメイジだからと言って、大学の風紀を乱すようなことは、謹んでいただきたい」
「いや、風紀とかこれは突然襲い掛かってきた災厄――」
 
 災厄と言いかけたら、傍の娘は口を尖らせて睨み付けてきたので言い直す。
 
「あ、そうだ。今日からこの娘もギルドの一員にしよう。早速デルマールさんに頼んで魔術師の杖を――」
「ギルドメンバーに加わるためには、街それぞれの支部から推薦状を出してもらわなければなりません。いくらアークメイジの身内とはいえ、ギルドの規則は遵守してもらいます」
「うわっ、そんな話もあったねぇ……」
 
 身内という単語になかなか馴染めない。この娘とは過去に何かあったのだろうが、今の俺にとっては数日遭遇したばかりの娘だ。
 しかし仕方が無いので、今後は気をつけますという話にして、とりあえずアークメイジの私室前の評議会室かな? へと連れ込んだ。
 むろん、部外者をそこに連れ込むことにラミナスはかなり批判的だったが、ごめんなさい今日だけ、というわけで逃げ込むように移動した。
 
 

 うん、たぶんここでこんな具合に評議会メンバーで話し合っていたのだろう。裏切ったり喧嘩別れしたり散々な結果になったようだが。
 さて、どうするか。と思ったが、先に話しかけてきたのは向こうからだった。

「ねぇ、アークメイジって何? それにここに居る人たち、みんなラムリーザのことを敬っているみたいだけど、何をしたの?」
「簡単に言えば、この国の魔術師ギルドというものの最高峰の者のことですね」
「へぇ、あなたって偉いんだ」
「まぁいろいろと面倒なことがあって、それをほとんど自分で解決してきましたから、それを認めてくれたみたいです」
「でも逆に考えれば、あなたみたいな平凡な人が最高峰に就けるなんて、この国はそれほどたいした事無いのかも……」
「何ですか?」
「ううん、なんでもな~い」
 
 それからしばらくの間、娘は魔術師ギルドについていろいろと尋ねてきた。
 俺はこれまでの出来事を、語り続けることになったのだが、ん~なんだろ、これからどうすればよいのだろ。
 
「それで、ラムリーザは何故魔術師ギルドに入ろうと思ったの?」
「失った記憶を取り戻すなら、そこが一番力になるかな? と思ったからですね」
「ふぅん、やっぱり以前の自分を取り戻したかったのね」
「でも、今の自分でもいいと思っています。ギルドの人はよくしてくれているし友人もできたし、君には悪いけど今の自分が気に入っているかも。昔のラムリーザは死んだのです」
「あなたはそれでいいかもしれないけど、取り残されたあたしはどうなるの?」
「それは……、今の俺に付いてきてくれ、でいいですか?」
「まあいいわ、また一緒にいてくれるなら、あたしも記憶を取り戻す手伝いしてあげてもいいし」
「ありがとう、こんな自分になってしまいましたけど、それでもよければまた昔のように――」

「ああちょっと待って、あたしに丁寧口調で語りかけるのはやめて」
「え? なぜですか?」
「あなたは覚えていないから仕方ないかもしれないけど、あたしはあなたの同い年で幼馴染で、将来も誓った相手なの。それなのにそんな他人行儀な接し方をされたら悲しくなっちゃう」
「あ、わかりました――、じゃなくて、わかったよ」
 
 なんか幼馴染とか新しい単語が出てきたけど、もう気にしないことにした。
 
 本当なら再会を祝って積もる話があるはずなのだが、あいにく俺はこの娘と過ごした過去の記憶が無くなってしまっている。
 彼女はいろいろ話したがっているみたいだが、過去の話を聞くのも怖いので、今日の話はここらで切り上げて、ひとつ愚痴を聞いてもらうことにした。
 

「ここなんだけど、見てくれよこの閉塞感」
 
 俺はアークメイジの私室に彼女を招待して、この部屋が如何に嫌いかを述べてやった。
 
「たしかにあまり良い場所じゃないわね」
「うん、だから俺は、この国全ての街に家を持つことを目標にしている。で、一番気に入ったところに住もうと考えているんだよ」
「その旅にあたしも連れて行って」
「いいけど、この国は危ないよ。街道に熊とかライオンとか出てくるし」
「あなたを救ってあげたのは忘れたのかしら? それに、あの雪国の町から一人でここまで来れたのよ」
「ああそうか、君は大丈夫みたいだね」
 
 この娘は自分で自分の身は守れる。
 それなら一緒に旅をしても問題ないかな、共闘もできるわけだし。
 
 そして俺は、ジト目でこちらを見つめているラミナスにペコペコ謝りながら、部外者を大学の外へと連れ出したのであった。
 まあいいか、こんな美女と旅できるんだ。わるくない、わるくないと考えよう。
 まずはブルーマギルドの確認、その後はこの娘のための推薦状集めかな?
 
 
 
 
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