三人衆復活 ~ギルドマスター~
ついに俺はナイチンゲールの一員になった。
今後は、カーリア、ブリニョルフと共に三人衆と呼ばれることだろう。
そしてカーリアからメルセルのことについて聞くことになった。
メルセルが、ギルドの金庫を開けたりできたのは、黄昏の墓所の宝である「不壊のピック」を盗み出して使ったからなのだ。
雪帷の聖域で見せた腕前も、その「不壊のピック」のおかげってことだろう。
だがこのおかげでノクターナルへの面目は丸潰れ、幸運も尽き果ててしまった。
そしてその「不壊のピック」を黄昏の墓所に戻さないと、ギルドは二度と元通りにはならなくなると言う……
元に戻す、か。
レイジィ「物を返すために出かけるのは初めてだな」
カーリア「まったくよね。この稼業をやってて、盗品を正当な持ち主に返すなんて、めったにない経験だわ」
レイジィ「急いだほうがよさそうだな、行こう」
カーリア「待って、ブリニョルフが話があるとか言ってたわ。先に聞いておいた方がいいんじゃない?」
なんだろうか?
その話は、俺にとって衝撃的なことだった。
メルセルの裏切りによって、現在盗賊ギルドのギルドマスターは不在と言っても良いだろう。
そしてギルドの指導者について解決しなければならないというのだが……
ブリニョルフ「お前なら盗賊ギルドの指導者として、メルセルに代われる可能性があると考えたんだ」
レイジィ「ちょっと待ってくれよ、何で新入りの俺が? ブリニョルフあんたがやればいいじゃないか」
ブリニョルフ「俺の仕事の腕はいい、随一とさえ言えるかも知れん。だが俺に備わっているのは、それだけなんだ」
レイジィ「俺も一緒だって!」
ブリニョルフ「俺は統率するような人間じゃない。そうしたいとは思わなかったし、気にしたこともない。柄じゃないんだ」
レイジィ「…………」
ブリニョルフ「まあ、戴冠式までにはもうちょいと仕事しなぎゃならん。まだ感傷的になるんじゃねぇ」
カーリアじゃダメなのか?
だが、ブリニョルフが俺を推薦してくれるのならば、引き受けてもいいかもしれないが……
俺がギルドマスターなら、シャヴァーリを加入させるのも俺の考え一つで決定できるしな。
しかし、俺がやってもいいのか?
ブリニョルフは、俺のおかげでメルセルの裏切りを暴くことができたと言ってくれた。
そしてこれはカーリアと話し合った結果でもある、と。
レイジィ「分かった」
ブリニョルフ「では決まりだ」
それでも、今後のことについては、メルセルの問題が片付いてから詳細を詰める事になった。
メルセルは、先日見つけた計画書によると、ドワーフの遺跡「イルグンサンド」にあるのは間違いないそうだ。
次はそこに向かい、メルセルとの決着をつけることになったのだ。
ブリニョルフ「覚悟しとけよ、小僧。こいつは記憶に残る戦いになりそうだ!」
レイジィ「ギルドマスターに持ち上げておいて、小僧呼ばわりかよw」
いよいよメルセルの野望を打ち砕くときだ。
目的地はイルグンサンド。
先を越されてはならないので、急いで突撃だ!
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