盗賊ギルド、一触即発の危機
最近リフテンに戻る時は、どうにもドキドキしてしまう。
シャヴァーリが無事か?
シャヴァーリは結構戦える戦士なのだが、もしかしたら逆にブレイズに……
そんな嫌な予感ばかり考えてしまうのだ。
だから、リフテンに彼女の姿を見つけたときの安堵感と言ったらもう言葉にできない。
シャヴァーリ……、シャヴァーリ……、俺の大事なシャヴァーリ。
シャヴァーリに何かあったら、俺は立ち直れるのだろうか?
レイジィ「ただいま、マルカルスの件はうまくいったぞ」
シャヴァーリ「お勤めごくろうさま、もうレイジィは一人前ね」
レイジィ「お前はどうだ? エズバーンは出たか?」
シャヴアーリ「まだよ……、でも、何者かが連れ出しに来るって情報が入ったの」
レイジィ「ほう……」
シャヴァーリ「それで、出てきた所を始末することにするわ」
レイジィ「何か手伝おうか?」
シャヴァーリ「これはあたしの仕事、あたしも一人前になるために、これはあたしだけにやらせて」
レイジィ「わかった。まぁ……、油断はするなよ」
シャヴァーリ「わかってるわ」
シャヴァーリも任務をこなそうと真剣になっている。
俺もギルドを正しい方向に導くために、真剣にならなくちゃな。
たぶんここからが正念場だ。
すべてがうまくいった、その時には……
ギルドに行こうとしたが、普段使っている秘密の通路が閉じられている。
これは何かが動き始めているな……
仕方が無いので、ラットウェイを通ってラグド・フラゴンに向かうことにした。
カーリア「来てくれてよかった。そろそろ、ここの人達にも怪しまれはじめたみたいだから」
ラグド・フラゴンでカーリアはずっと俺を待っていたようだ。
だが状況は決して良いとは言えない。
遠目に見ると、いつも居るはずのヴェックスやデルビンが居ない。
やはり何かが動き始めている……
カーリア「ギルドと対決する覚悟はできた?」
レイジィ「敵はギルドじゃない、メルセルだろ?」
カーリア「ギルドに日記を見せないといけないのよ」
レイジィ「メルセルが居たらどうするんだ?」
カーリア「その時はガルスの日記を見せて、うまく行くよう祈るしかないわね。なんといっても、こちらには証拠があるわ。一方あいつには口先だけよ」
こうして、カーリアと共に、ギルドの幹部と対面することになった。
しかし、ギルドと対決なんて考えていないぞ。
悪いのはメルセルだけだろ?
折角、ヴェックスやデルビンにかなり信頼され始め、客にも「プロ」だと言われるようになったんだ。
彼らを敵に回したくないぞ……
…………
まずいな……
一触即発の危機……
ブリニョルフ、ヴェックス、デルビンの幹部3人は、俺達に武器を向け、今にも斬りかかってきそうだ。
カーリアは最悪の事態を考慮して俺にガルスの剣を預けたのだと思うが、俺は剣の腕はからきしだぞ……
俺は盗みが専門なんだ……
ブリニョルフ「その殺人犯と一緒にいるのに、ちゃんと理由があるんだろうな?」
カーリア「お願い、武器を下ろして話を聞いてちょうだい。あなた達はみんな騙されているのよ、証拠もあるわ!」
俺はブリニョルフに弁解しようとしたが、それよりも早くカーリアが切り出してくれた。
ここは彼女に任せるとしようか。
話せばブリニョルフも、悪いのメルセルだと分かってくれるだろう。
ブリニョルフ「カーリア、少しでも変な動きを見せれば、その場で斬り伏せるぞ!」
しかし状況はまったく穏やかではない。
そりゃそうだろう……
メルセルの陰謀で、盗賊ギルドのゴタゴタはすべてカーリアに原因があると信じ込まされているんだ。
俺もメルセル自身から聞かされていたし。
だが、話を聞く気になったのか、ブリニョルフ達はひとまず武器を下ろしてくれた。
よかった、これで最悪の事態は回避できるかもしれない……
ブリニョルフ「それで、お前の言う証拠というのは何の事だ?」
カーリア「ガルスの日記を持っているわよ。あなたにとっては都合の悪い内容もあるでしょうね」
ブリニョルフ「どれどれ……」
ブリニョルフは、唯一の証拠品であるガルスの日記を手に取り眺めだした。
果たして証拠に納得してもらえるのか?
盗賊ギルドが真っ二つなんてことにはなってほしくないぞ。
頼む……、ヴェックスやデルビンも、俺を……、いや、カーリアを信じてやってくれ。
続く――
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