厳しい答え ~影に生かされている~
エンシル「戻ってきたのか? 俺達の友、カルセルモは元気だったか?」
レイジィ「あれ以上の頑固じじいは居ないだろうな」
ウィンターホールドのエンシルの元に戻ると、カーリアもそこに来ていたようだ。
早速、手に入れた石版の写しをエンシルに渡す。
レイジィ「どうだ? これが翻訳の役に立つか?」
エンシル「どうやって手に入れたか尋ねるのはまずいだろうな……って、拓本だと? 妙だな、文書かと思っていた」
レイジィ「書き写そうと思ったけど、めんどくさいのでやめたw」
エンシル「まあいい、よく見せてくれ」
そして写しを元に、ガルスの日記の解読を始めた。
さて、うまくいくかどうか……
エンシル「ふむ、興味深いが、どうも穏やかじゃないな」
日記には、ガルスが数ヶ月もの間、ギルドに対するメルセルの忠誠を疑う文が書かれているようだ。
メルセルが誰にも知られず、ギルドの金庫から資金を持ち出していた事も確信していると。
やっぱりメルセルが混乱の元凶か……
俺を殺そうとした恨みもあるしな。
カーリア「エンシル、他には? 他に何か、ナイチンゲールに関する事は?」
エンシル「最後の数ページには、『ナイチンゲールの失敗』について書かれているようだが、詳しい説明は無い」
やはりカーリアは、ナイチンゲールの事が気になるか。
俺にはそのナイチンゲールが何のことだかよくわかっていないのだがな……
エンシル「それにガルスは、メルセルが黄昏の墓所とやらを汚したという強い疑いについて何度も述べている」
カーリア「私達は影に生かされている……、本当なんだわ……」
エンシル「黄昏の墓所のことはよく知らない、一体何なんだ? メルセルは何をした?」
カーリア「ごめんなさいエンシル、わけは話せないの。翻訳してくれたものを一刻も早くギルドに持ち帰る、用はそれだけよ。さようなら、エンシル……、何と言ったらいいか……」
エンシル「大丈夫だ、カーリア。何も言わなくていい」
影に生かされているとは何のことだろうか?
影と共にあれ、と何か関係があるのだろうか?
レイジィ「……で、俺はこれからどうすればいいのだ?」
カーリア「メルセルがこれ以上ギルドに害を加えないうちに、リフテンへ戻らないと」
レイジィ「さっき話していた『黄昏の墓所』とは何のことだ?」
カーリア「『黄昏の墓所』はノクターナルの聖堂よ。ナイチンゲールは皆、命に代えてもそこを守る誓いを立てている」
レイジイ「なぜそこまで守る必要があるんだ?」
カーリア「ノクターナルの力を表すすべてがその墓所に収められているからよ」
ノクターナル……
聞いたことはある、デイドラだ。
盗賊たちに信仰されているという夜の女王だ。
俺も盗賊ギルドに所属したからには、ノクターナルの信仰を考えるべきだと思い始めていた所である。
話を聞くと、メルセルはノクターナルの誓いを破り、守ると約束した当の場所を荒らした事になるのだとさ……
レイジィ「しかし盗賊と聖堂か、妙な組み合わせだな」
カーリア「ガルスから始めて聞かされた時には私も同じ感想を抱いたものよ。いずれ、あなたにも分かるわ」
レイジィ「教えてくれないのか?」
カーリア「ナイチンゲールの一員として、墓所に関わる秘密を守る誓いを立てているのよ」
なるほどな……
それでもカーリアは自分を信じて欲しいと言って来る。
まぁ、少なくともメルセルよりは信用してあげようじゃないか。
そこでカーリアは、先にリフテンへ戻って様子を探ることになった。
メルセルが何を企んでいるのか調べてみるのだ。
そしてラグド・フラゴンで落ちあいましょうということで話がついた。
最後にカーリアは、ガルスが持っていた物を俺に譲ってくれることになった。
ガルスの物だったが、状況が状況だから彼もきっと許してくれる、と。
剣か……
ほとんど使ったことの無い代物だな。
何でもこれは、ナイチンゲールの剣だというのだ。
そんなもの、俺が持っていて大丈夫なのだろうか?
盗賊ギルドは、今、大きく変わろうとしている。
それは俺にも感じられることだ。
この先どうなることやら――
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