黒檀の戦士 ~「狙撃手」に一騎打ちを挑む愚か者~
黒檀の戦士「時が満ちた」
ラムリーザ「何たと、どういう意味だ?」
マルカルスでの任務を終え、ウィンターホールドに戻ろうとしたところ、全身漆黒の鎧で身を固めた戦士が唐突に話しかけてきた。
鎧だけではない。
持っている剣も、赤黒く光る魔剣のようだ。
こんな物騒な奴が、俺に何の用だ?
黒檀の戦士「できる事はすべてやった。これ以上は何もない」
ラムリーザ「左様でごじゃるか?」
黒檀の戦士「受けるべき依頼も、倒すべき悪党も、挑戦すべき試練も……」
ラムリーザ「す、すごいねー……(。-`ω´-)」
黒檀の戦士「お前だけだ、ドラゴンボーン。お前が最後の試練だ。誇り高くソブンガルデに送ってくれるのはお前だけだ」
リセッテ「やめて! この人は決闘を申し込んでいるのよ!」
ラムリーザ「何?」
黒檀の戦士「準備をしろ。用意ができたら、最後の見張り場所に来てくれ」
ラムリーザ「なるほど、決闘か……」
どうやらこいつは自分よりも強い者を探しているようだ。
そしてドラゴンボーンである俺が、最後の試練という考えに至った様だ。
決闘、か……
ラムリーザ「よかろう。その勝負、引き受けてもいいが――」
リセッテ「ちょっと!」
ラムリーザ「その前に二つ質問がある。いいかな?」
黒檀の戦士「いいぞ」
ラムリーザ「一つ、最後の見張り場所はどこだ?」
黒檀の戦士「リフテン東の山脈の中だ」
ラムリーザ「二つ、戦いは俺流にやらせてもらうが、いいかな?」
黒檀の戦士「よい。最後の見張り場所に着いたら、お前の好きな時に戦闘を仕掛けてくれればよい」
ラムリーザ「ふむ、わかった」
リセッテ「ちょっとあなた……」
ラムリーザ「これは男と男の真剣勝負だ。リセッテは先にウィンターホールドに帰っていてくれ」
リセッテ「そんな……」
ラムリーザ「いいから! 俺を信用しろ!」
リセッテ「…………」
というわけで、心配性のリセッテを先に帰し、俺は最後の見張り場所に向かうことにした。
リフテンに移動して、東の山に向かう。
ここのどこかが、最後の見張り場所という場所なんだろう。
居た……
うむ、威風堂々たるものだ。
ただし、俺から見たら、堂々たるだけだ。
さて、「俺流の戦い」を見せてやるか……
見つからないように、こっそりと背後の高台に移動する。
どうやらこちらが仕掛けてくるのを待っているようだな?
よし、俺の持つ最高の一撃をプレゼントしてあげよう。
アーリエルの弓。
アカトシュの魔力が込められている最高の一品だ。
兜と鎧の隙間に、アーリエルの魔力を撃ち込んでやるだけよ。
Snipe!
ズドーン!!
黒檀の戦士「ようやっと、ソブンガルデに行ける……」
愚か者め……
ドラゴンボーンである前に、スカイリム随一の「狙撃手」に一騎打ちを挑むとはな……
何?
卑怯?
狙撃手が狙撃することに卑怯もクソもあるか。
ちゃんと最初に「俺流にやらせてもらう」と確認していたしな。
相手をナメてかかって、まともに扱えもしない剣を振り回して「やぁー、とぉー」とかやってたんじゃ、相手に失礼だろ?
勝ちは勝ちだ!
男と男の真剣勝負はどこに行ったのかという野暮な質問は抜きだからなw
一つ言える事。
間違いなく俺は真剣に戦った、一切、手は抜いていない。
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