余話 ~夢か幻か?~
諦めるな、我が信徒よ。
はっ???
誰だ? 俺を呼ぶのは――
俺の名前はラムリーザ、シドナ鉱山で服役している囚人だ。
マルカルスで不正に巻き込まれて、殺人犯に仕立て上げられ投獄されてしまった……
まぁ、オグマンドにやってしまった罪を考えたら、これが俺に相応しい末路なのかもしれないがな、ははは……
しかし、いつの間に石造りの独房に移されたのやら。
シドナ鉱山の監獄って、正面の独房と向き合う形だったっけ?
ひょっとして寝てる間にサルモールの監獄に移されたとか?(;´Д`)
…………
誰か来る――
ソーナーか?
4人……
なんか立派な服を着た人と、その護衛らしき3人。
???「この囚人はここで何をしている?」
ラムリーザ「お前らが濡れ衣を着せて投獄したんじゃないかよ(;´Д`)」
???「何を言っている?! 後ろに下がれ、囚人よ。邪魔をするなら、この場で斬り捨てるぞ!」
ラムリーザ「…………」
窓まで下がれ!
鉱山内部に窓ってあったっけ?
――ある。
どうなってんだよ……(´・ω・`)
あ、なんか偉そうな人が入ってきたぞ?
こいつがマルカルスの首長か?!
立派な服を着た人「そなた、そなたには見覚えがある」
ラムリーザ「(白々しいな、お前らが仕組んだ罠のくせに……)」
立派な服を着た人「夢で見たのはそなたか……」
ラムリーザ「……何の話ですかね?」
マジで何の話かわからん。
マルカルスの首長がなんで夢の話をわざわざ俺にするんだよ。
この人の話では、自分の子供たちが暗殺者に襲われ、次は自分の番だと。
知らんがな(´・ω・`)
汚いことばかりしているから狙われるんだよ……
まぁ、俺も何度か襲われているけどなw
首謀者はたぶん「アストリッド」って奴だよ。
そして逃走用通路の入り口が、俺の独房にあるんだとさ。
しかしその次にその男から発せられた台詞は俺の度肝を抜いた――
ユリエル「私はこの国の皇帝、ユリエル・セプティムだ。神々の御力によって、私は統治者としてタムリエルに仕えている」
ラムリーザ「なっ……」
ユリエル「そなたはタムリエルの市民。そしてそなたもそなたなりにタムリエルに仕えるのだ」
ちょっと待った! 今の皇帝はタイタス・ミード2世ってテュリウス将軍が言ってなかったか?
それにさ、ユリエル・セプティムってシロディールの守護者の時代の皇帝じゃないか。
でも、シロディールの守護者が牢獄から出る時の過程で暗殺されたんじゃ……?
…………
これは一体何の罠だ?
エレン姉やんの新しい陰謀か?
それともひょっとして、おれはマルカルスで既に処刑されていて、これは最期に見ている幻影なのか?
しかし、この人の顔……
よく見てみると、資料として残されていたユリエル・セプティムの肖像画に似ているような?
逃走用通路の入り口があるのはほんとなんだな。
ってか、ここホントにシドナ鉱山か?
そもそもシドナ鉱山内部って石造りだったか?
確かにマルカルスは石造りの街だったが……
まあよい。
ここから抜け出せるならそれに越したことは無い。
抜け出してさっさとリセッテさんの元に戻ろう。
そしてマルカルスには二度と来るまい……
しかし、何かひっかかるものが。
シロディールの守護者がユリエル・セプティムと会った時の話が、まさに先ほどのような感じだったわけだ。
もしもシロディールの守護者伝と同じような展開で進むなら、この先で「深淵の暁」に襲われ、レノルト指揮官がやられるはずだ……
――何か現れた。
深淵の暁だ!
つまり、この人がレノルト指揮官?
なぜだ?
シロディールの守護者伝の冒頭で読んだ内容をそのままなぞっているぞ?
衛兵「ここにいろ、囚人。我らの後についてくるな」
ラムリーザ「はいよ……」
どうなっているんだ?
これは夢か?
それとも今までが夢でこれが現実か?
俺はシロディールの守護者なのか?
いや、ひょっとして、いよいよシェオゴラスの狂気が本格的に俺に取り付き始めたのか?
いや、気のせいかも。
シドナ鉱山っぽい所に出てきたよ。
やたらネズミが多いのが気になるがw
まあ監獄だ。
あまり衛生状態は良くないんだろう……
しかし、他の囚人はどこに居るんだ?
マナダックだったっけ、彼もどこかに居るはずだが……
ん、誰か来るぞ。
ウラクセンかな、デュアチかな?
うわああぁぁぁぁぁ!!
………
……
…
はっ!!
デュアチ「ん? お目覚めか?」
ラムリーザ「……はぁ、……はぁ( ゚д゚ )」
デュアチ「全く、暢気なやつだ」
ラムリーザ「ここはシドナ鉱山だよな?」
デュアチ「寝ぼけているのか? シドナ鉱山以外のどこだと言うんだよ」
夢か……
いろいろ疲れていたから、妙な夢見たんだろうな。
だがシロディールの守護者の旅の始まりも牢獄だった。
俺の真の旅はここからはじまるのかもしれないな……
たぶん、「諦めるな」と言ったのは、シロディールの守護者なのかもな。
オグマンドの件を懺悔できたら、その時は……
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