帝都への道 ~グレートフォレスト横断~
さて、スキングラードでの仕事は終わった。
あとはここでの出来事をラミナスに報告して終わりなわけだが、その帰り道でちょっと冒険してみることにした。
俺の想定したルートはこうだ。
この地方、グレートフォレストと呼ばれる大森林を一直線に抜け、最短コースで帝都に戻る作戦だ。
危険じゃないって?
大丈夫、この国は街道を進んでいても、熊やオーガやウィルオーウィスプに襲われる国だから。
最短コースを通ったほうが、より遭遇率が低いとも言えるのだ。
それに、「陰葉の雑木林」や、「コディアク熊のうろ木のねぐろ」という名所もあるみたいだからな。
というわけでスタート。
なんか村に突入したけど、想定したルートなのでそのまま踏み込んで横断する。
なんだろう、製材所か何かだろうかな?
そしてここが、陰葉の雑木林だ。
うん、確かに雑木林だね。通ってきた道も雑木林だったけど。
小さな池と、中央の岩が名所なのかな? とくにこれといった感激は無いけど。
いや、なんか居る。
なんか居る。
なんか居る!
自縛霊みたいなのが取り憑いているよ……
とくに襲ってくる気配はないけどね。
あとはニルンルートが三本ほど生えていたぐらい。二十本見つけないといかんからなぁ。
というわけで、陰葉の雑木林を後にして、北東へとさらに進む。
このまま進めば、コディアク熊のうろ木のねぐろにたどり着くはずだ。
………
……
…
おう、倒れた巨木の傍に、子連れの熊がいるよ。
って、子連れの熊って凶暴中の凶暴じゃなかったっけ?
――と思ったけど、この熊は全然襲い掛かってこない。
可愛いか? どうだろ?
なんか見ていたら、親熊はのそのそと動き、その周りを小熊はぐるぐると走り回っている。
ひょっとして熊は本来おとなしい動物で、その中の一部が凶暴化して街道に出てきたりして人を襲うのだろうか?
それが本当なら、この国では街道ほど危険で、道なき道は安全ということになる。
変な国だ、というか変な自然界だ(。-`ω´-)
さて、のんびりしていて森の中で夜を迎えたら、それはそれで嫌なのでさらに北東へと進める。
………
……
…
次に目の前に現れたのは、おなじみになった神様の祠だ。
ついでに新しい宝を頂いていくかな。
しかし信者達に話しかけても、とくに何も話は進まない。
お供え物を要求されるでもなく、神の声が聞こえてくるわけでもない。
ここはキナレスの祠。
しかし、今はただ祭られているだけで、何も起きなかった。
祠の裏側に回ると、そこから先はもう森が広がってはいない。
ぱあっと視界が広がり、そこは目の前に帝都が一望できる丘になっていた。
予想通り早くついたな、一直線コース。
………
……
…
ハシルドア伯爵がうんぬん、死霊術師の秘密結社がうんぬん。
そして今度は使いっ走りをよこさずに、主要メンバーでやってこいうんぬん。
ってな感じに、ラミナスへスキングラードでの出来事をいろいろと俺がかっこよくなるように報告した。
例えば、死霊術師に襲われていた伯爵を、俺が駆けつけて助けたとか、スキングラードに豪邸を買ったとか、エリクサーを手に入れたとか。
……関係ないことも報告しているな(。-`ω´-)
その後ラミナスは、本を返してもらうといったエサを使った理由について語ってくれた。
なんでもハシルドア伯爵は特異な体質についてや、ギルドの幹部を送れば伯爵の反感を招いたり、死霊術師が警戒して地下に潜伏するのでは? と考えたのだとか。
いや、伯爵は今度は下っ端ではなく幹部が来いとか言っていたけどね。
あと、伯爵はヴァンパイアなのだとさ。
あの悪魔のような目は、ヴァンパイア故のものだったというわけだ。
そのことを隠してスキングラードを治めているが、魔術師の評議会はその正体について知っていたのだと。
アズラの要求を拡大すれば、伯爵も退治しなければいけない――ってことはないか。
まぁ問題なくスキングラードを統治し続けているから、評議会も伯爵を脅威だとは思っていないらしい。
それに、伯爵は死霊術師に関与していなかった。
しかし俺は知っている。
スキングラードには、グラアシアという基地外が発生したという事実を……(。-`ω´-)
以上のことにより、イヴォーカーに昇格することとなった。
修行者じゃなくなったので、もう修行は終わりでいいのですね?
今度からはイヴォーカーすればいいのですね。
イヴォーカーって何ですか? 調べてみよう。
イヴォーカー……、イヴォーク……、evoke(死者の霊魂などを霊界から)呼び出す。
よし、死霊術師に昇進したぞ!
…………これでいいのか?(。-`ω´-)
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