シェオゴラス 後編 ~三つの災いをもたらす者~
えーと、これはシェオゴラスにそそのかされて、ボーダーウォッチの集落へやってきている話の続きだ。
翌朝、俺はク=シャーラの予言を成就させるために行動に出たのだ。
ボーダーウォッチのカジート達に恨みは無いが、シェオゴラスに脅されているから仕方が無い。恨むならシェオゴラスの狂気を恨んでくれ、俺も被害者だ……
というわけで、朝一番からオルロイチーズを使った料理を勝手に作らせてもらう。
チーズを使った料理、なんだろ、チーズをトロトロに溶かして、それを肉片とかにつけて食べるとかやろうかな。
そしてすぐに、周囲にはオルロイチーズの強烈なにおいが充満していくのだった。
すぐに結果は現れた。
どこからともなく現れた、大量のネズミが周囲で暴れ始めたのだ。
やばいな、これ、俺が元凶だとバレバレじゃないのか?
あわてて姿を隠して村人の様子を伺う。
しかし村人は、突然のネズミの襲来に右往左往しているだけで、誰が犯人とかそこまでは考えが及んでいないらしい。
「これは災厄の兆しだ!」などと叫んでいる。すまぬ、災厄をもたらしたのは俺だ。
リ=バッサとかはネズミの始末で手一杯のようだが、話しかけると「ク=シャーラの予言の始まりかもしれない!」と言ってきた。
すまぬ、予言を成就させようとしているのは俺だ。
ひとまずネズミ騒ぎは、リ=バッサの撒いたネズミ駆除剤によって収まったようだ。
そういえば、リ=バッサはこの災厄に備える意味で、ネズミ駆除剤を欠かしたことはないと言っていたな。そういうことか。
というわけで、次は第二の災厄を引き起こすべく行動するときだ。
それは飢餓の災い、理由無く家畜が野で死ぬこと。そして放牧地には六頭の羊が居るようだ
村の奥の放牧地、二頭しか見えないが、この羊を……、殺すのか?
なんかやだなー
でもやらないと俺が呪われるしなぁ……
気は進まないが、放牧地の真ん中にある羊のエサに、先ほど入手したネズミ駆除剤を混ぜる。
なんか緑色に輝いたが、これでいいのか?
エサを食べた羊は、ネズミ駆除剤を撒いたときと同じように緑色に光る。
派手な駆除剤もあったものだな、発光する駆除剤なんて初めてだ。
――などと暢気なことを考えている場合ではなかった。
四匹しか見えないが、放牧地の羊は全滅してしまった。
ネズミの時もそうだったけど、即効性ありすぎる駆除剤だな、怖い。
その時、どこからともなくシェオゴラスの声が響いてきた!
「よくやったな定命の者よ、面白かったと思うぞ! ではボーダーウォッチの中央まで向かえ!」
面白かったのか……(。-`ω´-)
やはりシェオゴラスにしろサングインにしろ、退屈な神は何を考えるかわかったものじゃない。
言われたように、ボーダーウォッチの中央へ向かってみた。何が起きるのか?
しばらく待つと、村人たちが騒ぎ始めた。
「何かが降ってくるぞーっ!」
…………(。-`ω´-)
なんか知らんけど、燃えている狼が降ってきた。
まったく意味がわからん。
はれときどきぶたじゃないけど、はれときどきもえるおおかみですか?
わーい、今夜は狼ステーキだーって、狼は美味いのか?
ひどい有様だ。
退屈な集落だという理由で、シェオゴラスに目をつけられたみんなに合掌!(^人^ (^人^ ) なんまいだー
以上でク=シャーラの予言は成就された。主に俺の悪巧みによって……
よそ者には語れない恐怖の災いとやらは、燃えている狼が降ってくることだったらしい。
確かに恐怖ではあるが、明らかに妙すぎるだろ! 狂気すら感じるぞ!
……って、シェオゴラスは狂気の神だったか(。-`ω´-)
以上の事柄によって、シェオゴラスを満足させた俺は、スキャンプを押し付けられることも無く平穏を取り戻していた。
報酬は、ワバジャックという杖。
別にスキャンプが無限に沸いて出てくる杖ではないようだが、使うのが怖いのでどこかに保管して封印しておこう。
そんなことを考えながら、再び北へ向かって旅を続けるのだった――
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