グレイランドへの強襲 ~スクゥーマ密売人~
さーて、やっかいな予言が下る前に、レヤウィンからおさらばだ。
レヤウィンも悪くは無いのだけど、毎日毎日予言が下って右へ左へと走り回らなければならないのはめんどくさい。
それに、そろそろ帝都見物をしておきたいと思ったので、朝早くから俺はレヤウィンの町を抜け出した。
思えばサングインの思惑に嵌められて来てから、一週間以上になるな。
騎士団になれたのはありがたいが、やっぱり予言がなぁ。
まあそのうちダゲイルも、予言の力が戻った喜びも落ち着いてきていずれは日常が戻るのだろうけど、その前に俺がギヴアップ。
今日からは予言はスドラッサに下すがよい、よい。
「どうも、冒険者さん。よかったらすこし時間をくれないか?」
「うむ、一時間当たり2000ゴールドであげよう。さて、何時間欲しい?」
レヤウィンを出てすぐのところで、時間が欲しいという衛兵が現れたので、俺は気前良く売ってあげることにした。
さあ、買うかな? この衛兵は。
「よし買った。その時間でキリナス・ロナヴォというダンマーに率いられたスクゥーマの密売グループを始末してくれ」
安かったかもしれん、なんか重要な仕事みたいだ。
衛兵の名前はレクサス・カリダス。
グレイランドという集落に潜伏しているスクゥーマの密売人ロナヴォの始末を依頼してきた。
それって衛兵の仕事じゃないのかね? と思ったのだが、レクサスはすでに顔がばれていて、いつも見張りに見つかって逃げられてしまうのだとか。
ほんじゃら緑仮面でも使うか? と言ってみたけど、どうやら俺に丸投げのようだ。
しかたねーな!
というわけで、グレイランド集落へと向かうことになった。
集落はレヤウィンの南西。西門から出て南に進めばすぐだと言う。
目的は、ロナヴォを始末して、その証拠に彼の指輪を取ってくること。ロナヴォは油断ならない奴だから気をつけろとのことだ。
まぁスクゥーマを密売している奴だ。まともな奴ではない。ちなみにスクゥーマは麻薬の一種で、この国では使用を禁じられているということだ。
そういうわけで、あっさりとグレイランド集落に到着。
集落と言いながら一軒しか家が無い。ひょっとして家の中が二十部屋ぐらいに分かれていて、中には人がぎっしり――、なことはないか。
それに見張りなんてどこにも居ない。
やっぱりレクサスにうまく丸め込まれてしまったという気もしないでもないが、ひとまず「ごめんくさい」と言って中へ入ってみる。
見張りは中に居たか、意味が無い!
置くに肌の黒い人が居る、ダンマーだ。ということは彼がロナヴォか!
食らえ! プリズミック・ミサイル!
こんな狭い家で霊峰の指をぶっ放したら、家が壊れるかもしれないので大人しめの技を使うことにした。
敵を近寄せずに連発して、見張りもろともロナヴォをやっつけてやった。
あとは、指輪を回収して引き上げるだけだ。
そこで俺は、ロナヴォの着ている緑色の鎧に目が行った。これは売れば金になるやつだ。
これまでの経験上、高く売れる鎧とそうでない鎧の判別ができるようになっていた。
はっはっはっ、追いはぎ完了。
レヤウィンの町にちょろっと戻って、装備をうっぱらってから旅に出るとするか。
そういうわけで、再びレクサスに会って指輪を見せる。
「よくやった! 大体18分ぐらいで帰ってきたな。確か一時間2000ゴールドと言っていたから、18分の駄賃だ」
645ゴールドを報酬として獲得……(。-`ω´-)
くっ、秒給1000Gぐらい吹っかけてやればよかったか?
当然敵の装備を売った額の方が高くなりました。やっぱり追いはぎが一番儲かるわ。
そんなんでええのかこの国は!
――レヤウィンか。
数日間しか滞在しなかったけど、いろいろあったなぁ。
いろいろ予言が下った結果でもあるんだけどね……。
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