白馬の騎士団 ~遍歴騎士~
えーと、なんやかんやあって、オークのマゾーガ卿と共にレヤウィンの騎士にしてくれるという話になった。
なんか知らんけど、俺は割りと今の自分に馴染んでる。今ではもう記憶喪失とは思えないほど馴染んでいる。もう今の自分が本来の自分である、と言っても良いのではないか?
騎士だぞ騎士、全ての武器を使うことができて、法力も使うことができる、一番優秀なクラスじゃないかー。
魔女とは違うんだよね。魔女とは――
でも簡単に騎士にしてくれるというわけではなく、黒弓団の山賊の首領、ブラック・ブルゴを退治したらという条件をつけてきた。
もらえるものはもらっておこうというわけで、さっそくマゾーガ卿にこのことを話してみた。
む、そういえばこのマゾーガ卿、緑色の顔をした種族じゃないか。
オークね、オーガは言葉の通じない人食いの野蛮人だが、オークはちゃんと理性を持っている、間違えないようにしないとね。
マゾーガ卿も、マラキャス信仰なのかな?
それで、ブラック・ブルゴについて聞いてみたのだが、どうやら昔、マゾーガ卿はブルゴと組んでいたらしい。
なんだマゾーガ卿、元山賊ですか?
山賊は全ての武器が使えるけど、法力が使えないので騎士になることにしたのか、賢いな。器用さなんて、ウネムがあったら要らんしね……って、何の話だ!
ブラック・ブルゴは、テリープという遺跡をアジトにしていて、毎晩略奪品の分け前を受け取っているらしい。
なんだか腫瘍みたいな名前の遺跡だね。
よし、行こうか、山賊退治へ!
途中、なんか巨大な虫みたいなのに襲われたが、マゾーガ卿が片付けてくれた。
うん、見ているだけで勝てるのは楽だね。
というわけで霧の中、テリープの遺跡が見つかった。アイレイドの遺跡だな。
この遺跡は、山賊のアジトになったり、死霊術師の隠し研究所になったり、あまりよい使い方はされていない。
そもそも、何のために作られた遺跡なのかがわからないから困る。
アイレイドとは、大昔にこの世界を支配していたエルフだというのだが、今はどこに行ってしまったのかね?
やっぱり魔力の塔とかを建設していたのだろうか?
さて、ブルゴは夜に現れるということなので、遺跡の陰に隠れて夜まで待ってみた。
しかし、夜になっても現れない。
仕方が無いので、遺跡の中へと入ってみることにした。
中に居たのかよ!
ブルゴはいつの間にか戻ってきていたようで、遺跡の中に進入した俺達に襲い掛かってきた。
霊峰の指を撃ち込んでも、虹色の光を撃ち込んでもマゾーガ卿に自爆をするので、ここは傍観を決め込むことにした。
部屋の中央にあった高台に登ってみたところ、ブルゴ一味は右往左往の大暴れ。
お前らもオーガと同じく、こちらが高台に登ると対処の仕方がわからなくなるのかよ。
しかもマゾーガ卿のことはガン無視して、俺ばかり狙っているから始末に負えない。
敵は届きもしないのに高台に向かって斬り付けるばかり、マゾーガ卿はその背後から攻撃している。
まあどこぞの国では、昔空を飛ぶ戦闘機を撃墜させようと、竹槍をふるって勇猛果敢に戦ったというが、一歩間違えると酷い茶番劇だぞ?
結局最後まで敵は、高台に居る俺のことしか眼中になかったらしく、気がつけば全員マゾーガ卿にやっつけられていた。
まあ所詮山賊、オーガと知能レベルでは同じだということでしょう。
遺跡の奥には、ブルゴに宛てられたメモがあったりしたけど――
追い剥ぎ狩りをすれば、金貨三百枚ぐらいすぐなのが悲しいところだ。
というわけで、ブラック・ブルゴは始末したのでマリアス・カロ伯爵に報告だ。
やあ、俺の名前は緑仮面だよ。これからは緑仮面卿とでも呼ぶが良い。
パーティー荒らしとは、何の関係もございません。
というわけで、今日から俺はレヤウィンの白馬騎士団の一員になったのである。
白馬は支給してくれるのかな?
と思ったけど、もらえたのは盾だけでした。
確かに白馬は描かれているけど、どうせなら本物の白馬が欲しかったな。そしたらアルタックスとでも名前を付けて可愛がるのに。
以上、マゾーガ卿と共にめでたく騎士になれましたとさ。
レヤウィンにて 白馬の騎士団 ~完~
前の話へ/目次に戻る/次の話へ