妄執 第三幕 ~ダヴィドの調査~
スキングラードの四日目の朝、俺はそろそろグラアシアに付き合うのもめんどくさくなってきた。
監視の監視も今日でおしまいにしよう、これ以上何か言ってきたら、さっさと衛兵のディオンに相談してやれ。
さもないと、俺が変人扱いされてしまう。
というわけで、朝からダヴィドの家を監視。
朝の五時にはグラアシアは教会へと向かっていった。どうせそこでベルナドットと鉢合わせするんだろ?
まるななまるまる、目標が家から出てきた。これより追跡態勢に移ります!∠(`・ω・´)
スパイごっこ気分でもださないと、やってられんわまったく。
ダヴィド・スリリーは、ブドウ園の有力者とグラアシアから聞いていたとおり、ベルナドットと同じように朝から畑仕事を始めている。
仕事の合間を見て話を聞いてみることにする。
すると、このブドウ園から生産されるワインは、タムリエル一だと言ってきた。たいした自信だな、今度飲ませてみろよ。
んでグラアシアについてだが、ダヴィドも彼は頭がおかしい街の変人だという認識のようだった。
これは二つに一つ。
一、グラアシア以外の人間が全ておかしい。
二、グラアシアがおかしい。
前者はありえん、やはりグラアシアが変な人だという認識でいいだろう。
しかし、億が一という可能性もあるので、今日はダヴィドを監視する。
何も無ければ、グラアシアを衛兵のディオンに通報だ。
………
……
…
昼過ぎまで、ダヴィドはブドウ園で働いていた。
同じところばかり鍬で耕しているようにも見えたが、そこは気にしないでおいてあげよう。
昼休みなのか、ダヴィドは畑を離れて街の前で雑談をしていた。
これはグラアシアのことか? それとも俺のことか?
確かに昨日一日中、俺はトーティウスを監視していたぞ?
まずいな、変な噂が立ち始めている。本当にこんな仕事は今日までにしておこう……(。-`ω´-)
そしてその後は、日のあるうちはずっとブドウ園で働き続けていたのである。
………
……
…
ふたまるまるまる、目標は畑仕事を終了したようだ。
そのまま、何をするでもなく、じっと立ち尽くしている。休憩だろうか?
時々他の従業員と話をしていたが、特にこれといった怪しい点はない。
アンヴィルの聖堂が襲撃された、などと話をしているが、そういえばアンヴィルの聖堂には行かなかったな。こんどまた立ち寄ることがあれば、聖堂を見ておくか。
そして、ふたふたまるまる、目標は自宅へと帰っていった。
結局グラアシアとは、何も関係ない一日でした。
さて、もうめんどくさいな。
グラアシアは、ダヴィド・スリリーが正直者かどうか尋ねてきた。
その時のことである。
俺の脳裏にひとつ試してみようというイタズラ心が芽生えてきた。
もしもここで、ダヴィド・スリリーが本当にグラアシアを監視していたと告げると、彼はどういった反応を示すのだろうか?
ありもしない陰謀が、現実のものになるのか、彼の妄想が実現するのか……
俺は、ちょっとその結末が気になってしまった。
「うむ、ダヴィドは君を監視しているよ、君の言うとおりだった……(。-`ω´-).。o○(嘘)」
「君は僕の暮らしを守るのを手伝ってくれた! やはり奴が全ての陰謀の首謀者だったのだ!」
……だから、何の陰謀だよ。
君に一体どんな重要な任務があるんだよ?
まぁ俺がそう答えたんだけどな。
すっかり興奮してしまったグラアシアは、紙切れに何かを書き記して俺に手渡し、「最後の依頼だ」と言ってきた。
ふぃ、ようやくこいつから解放されるか。これ以上付き合いたくないんだけど、最後の依頼なら仕方が無いな。
これでほんとに最後だ――
…………(;;-`ω´-)