完全犯罪の絵 後編 ~叶わぬ恋心~
さて、コロルの城を訪れてみたところ、絵画盗みの窃盗犯を見つけるための探偵事をやることになっている。
聞き込みは全て終わったので、次は城内に残されている証拠を集める番だ。
聞き込みの地点で怪しいのは、顔が怪物風の執事のオログと、「呪いをもたらす」ビッテネルド。
って、印象で犯人を決め込んではいかんな。
もうジ=スカールのイタズラでした、めでたしめでたし、でいいんじゃね? あいつなら透明化できるから、盗みなんて容易いだろ? ってそうしたら俺も透明化できるから容疑者入りしてしまうな、いかんいかん。
とまぁ冗談は言ってないで、城内の探索だ。
まずは何度も出てきたキーワード、「西塔」から調査しよう。聞き込みではオーグノルフとシャネルが西塔に居たと言っていたが。
その西塔では、絵を描いている奴がいるらしい。
こんな上手な絵は、酔っ払いながら描けるものではないから、オーグノルフじゃなくてシャネルだな。シャネルは絵描きなのか?
あと別の塔では、机がひっくり返されていて、辺りに果物が散らかっている。
これはオーグノルフの仕業だな、酔っ払って机をひっくり返したのだろう。
次に見つけた怪しい点は、大広間から食堂にかけてのカーペットの染み。これは塗料か?
聞き込みの内容では、食堂に居たのはシャネルだったので、シャネルはやっぱり絵描きなのだろうか?
シャネルの部屋を調べてみたが、椅子の倒し方が不自然。
それに、机の上の書見台に、絵画道具がしまってあった。これでシャネルが絵描きだということは確定だ。
だから何? と言われたら、何も言い返せないが……。
「見たわね」
「何をや?」
突然後ろから声をかけられる。慌てて振り返ると、いつの間にかシャネルがやってきていた。
「ひょっとして犯人だったりする?」
「確かにあなたは有力な証拠を持ってらっしゃるようですが、それでも私の本当の動機を話すほどあなたを信用していません」
「左様でごじゃるか?」
俺的には、絵描きが絵画の窃盗犯に結びつかないのだが、シャネルが自分からぶちまけてくれたので、結果オーライとしよう。
信用してくれないのなら、いつものアレをぶち込むぞ?
はい、魅了、OK
この呪文、シティアドベンチャーにはすごい有効だね。心を閉ざした犯人も心を開く、意外と俺は探偵の素質があるのかもしれない。
呪文一つで信頼を左右できたりするのは、かなりヤバい気もするけどな……。
魅了することで、シャネルは罪の告白を始めてくれた。
なんでも、彼女の心の中にあるヴァルガ伯爵への愛から出た行動なのだとか。
伯爵の絵を描いたのは彼女だが、伯爵が亡くなられたあと、伯爵夫人が絵を片時も離そうとしないので、次第に嫉妬するようになったとか。
それで絵を奪い、隠したと。
叶わぬ恋心から生まれたすれ違いか。
まあしかし俺は探偵だ、領主の伯爵夫人には真実を告げる義務がある。
俺は、伯爵夫人に真実を告げ、宝石と金貨を受け取った。
シャネルは気の毒だけど、コロルを永久追放となったらしい。
しかし、これでいいんだ。
名声だけは獲得しているらしい。
そこでひとつ気がついた。どうやら領主の了解を得られたら、コロルに家を持つことが可能になるらしい。
コロルの景観が気に入っていた俺は、早速家が欲しいと言ってみたのだが、伯爵夫人は聞いてくれない。
ようし、それなら――
――こうだ。
しかし、伯爵夫人は静かに答えた。
「失礼ですが、私は家主としてより名声のある方を求めています。あなたの名声が突然上がりでもすれば、喜んで考え直すでしょう」
ぬ……、好感度ではなくて名声か。
魅了の呪文は好感度は上がるが名声が上がるわけではない。
この時俺は誓った。
名声を高めてシロディールの英雄になってやろうと――。
大げさすぎ、取り消し!
まぁ、家は欲しいので、困っている人を見かけたら助けて名声稼ぎをさせてもらうヨ。
コロルクエスト 完全犯罪の絵 ~完~
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