同志の裏切り 後編 ~しなやかさの御守り~
翌朝、俺はすぐにエルリーネの家へと向かった。
今日も朝からカリウスはエルリーネの家居るようだ。
なぜずっとここに居るのだろう? 調査は俺に任せたっきり、カリウスはここでいったい何をしているのだろうか?
俺の報告を聞いてカリウスは、ゲレボーンもヴァンパイアとしてレイニルに殺されたことは知っていると言った。
さらにカリウスは、俺の意見を奇妙な言いがかりとして決め付けるが、こっちには証拠がある。
俺は、ゲレボーンの日誌をカリウスに手渡す。
これは有力な証拠品になったようで、レイニルがスキングラッドの現行犯場からこの日誌を持ち去る理由が、遺物の独り占め以外にないということが確定した。
その日誌に書かれている鍵も、ブレイドンの遺体から持ち去ったのだと。
ここでカリウスもレイニルが殺人犯だということになり、衛兵を招集して街中でレイニルの捜索を開始することになった。
そして一時間後に、オラブの宿屋で合流しようと。
とくに他に用事が無いので、オラヴと雑談しながら待つことにする。
「なあおやじさん、俺の顔に記憶はあるかい?」
俺を知っている者が居れば、その人から話を聞くことで記憶を取り戻せるかもしれない。
「ん~、知らんなぁ。エルフの遺跡なら知っているが」
残念ながらオラヴは俺のことを知らないようで、代わりに遺跡について教えてくれた。
「エルフの遺跡ってのがあるんだ。どこにあるのかな?」
「このシロディールのいろいろな場所にあるぞ。アイレイドの遺跡とも呼ばれているがな」
などと会話していたが、やっぱりそうか。まあそうだよな。そう簡単には物事は進むまい。
そんなこんなで一時間後、カリウスは宿屋に現れた。
カリウスの話では、街道の見張りからブルーマ郊外を西へ向かうレイニルを目撃したと聞いたそうだ。
西にある洞窟でゲレボーンの日誌の記述と合致するのは、北方洞窟だけだと。そういえば、遺物はブルーマ近くの洞窟に隠したと書いてあったな。
そういうわけで、俺にそこへ向かって、レイニルが逃亡する前に遺物を手に入れてくれと言ってきた。
おいおい、レイニルの身柄じゃなくて、遺物優先ですか?
まぁ遺物がこっちの手に入れば、レイニルはそれを奪うために現れるしかなくなるか。
さらにカリウスは、レイニルが投降しなかったら、強硬手段に出てもいいと言ってきた。
北方洞窟はこの辺り。カリウスに地図を貰って、早速向かうことにする。
途中、なんか山賊が死んでいたので、お金だけもらっておく。15Gゲット。
少し落ち着いてこの近辺の様子を見てみると、うっすらと雪が積もっている。
けっこう北国に来たってことかな?
山の上の建物も気になるが、今はひとまず西へと急ぐことにした。事件が解決したら、行ってみよう。
というわけで、北方洞窟に到着した。
そっと奥へと進むと、緑色の鎧で身を固めた誰かか居る。レイニルか?
奴は俺の気配に気がついたようで、こちらに向かってきた。
なんだろ、この場合はここで「御用だ!」とか叫べばいいのかな?
こいつはやはりレイニルで、投降したり、降伏したりするつもりは無いようだ。
そういうことですか、仕方ないなー。
レイニルとのバトル開始!
………
……
…
…
……
………
はい、成敗完了。この鎧、きれいだな。
持ち物を調べてみると、やはり三つの鍵が出てきた。遺物の独り占めをしようとしていたのは、これで事実となったわけだ。
金は10Gか、少ないな。まぁついでに頂いておこう。
レイニルの居た広間には、大きな箱が置いてあり、厳重な錠が締められていた。
先ほど手に入れた三つの鍵を使って、中身を入手することができる。
しかし、レイニルはもう死んだのだから、遺物は要らないような気もするが、カリウスが取って来いと言っていたので、中をあけてみる。
そういうわけで、「ありふれたアミュレット」を入手した。
こんなありふれたもののどこが遺物なのだ?
こんなもののために、二人も人を殺さなければならなかったのか?
それともこいつらにとっては、このレベルの物ですら遺物となりうる秘宝だというのだろうか?
いろいろ疑問は残るが、とにかくこれで任務達成だ。
そこで俺はふと思った……。
こいつの身包み剥いで、着込んでいる綺麗な鎧を売ったら金になるのでは?
追いはぎちゃうで、資源の有効活用だ。
こいつは裸で、この薄暗い洞窟で眠り続けるのだ。
妙に身体の色が黒い奴だな……、ダンマーとか言っていたのが意味しているのだろうか?
………
……
…
カリウスはどこに行ったのかわからなくなったので、エルリーネに会うことにした。
アミュレットはブレイドンの形見として、エルリーネが持っているのがいいだろう。
しかし実はこのアミュレット、ブレイドンが用心深く特別なエンチャントを施したもので、特別な言葉を唱えるだけで本来の姿を取り戻すのだとか。
さらに、本来の姿を取り戻したアミュレットは、エルリーネの感謝の印として俺がもらってもいいという話になった。
しなやかさの御守りか、走力が上がるみたいだね。
これにて、ヴァンパイア騒動はおしまい。
結局ヴァンパイアハンターは嘘で、欲に狩られたレイニルが、仲間をヴァンパイアだということにして殺して、遺物を独り占めにしようとした話でした。
ああそうそう、レイニルの装備を商店で売りさばいたら、所持金が2000を超えました。
これでしばらくは不自由無く食っていけそうだな。
ブルーマクエスト 同志の裏切り ~完~
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