イタズラ前編 ~ジ=スカールを探せ~
さて、俺はブルーマという街の魔術師ギルドに入会することになった。
この国には、魔術大学というものがあって、入学するにはシロディールにある各地方ギルドの推薦状が必要になるらしい。
なるほど、この国の名前はシロディールと言うのか。全然記憶に無い。
それでこのブルーマのギルドでは、今話をしているジーンヌに推薦状を書いてもらえるらしい。
ああ、このおばさんがここのギルドのマスターなわけね。
ジーンヌは、ジ=スカールという人を見つけ出してくれればすぐにでも推薦状を書いてくれるらしい。
そのジ=スカールという人は、姿が消えてしまいこの数日間誰も見かけていないのだとか。
それで、ヴォウラナロという人が、魔法を失敗したと言っているらしい。
魔法の失敗ね、そのジ=スカールという人も気の毒なこった。姿が消えるだけならいいが、存在そのものが消滅してしまったとかならないでくれよ?
とにかく人探しか。
さてどうする……
ジ=スカールって奴を探すか?
ギルドの魔術師から情報を集めてみればよいと言っているが、とりあえずギルドに媚を売っておこう、探してやるか。
こうして、俺は新たな居場所を確保するために、魔術師ギルドの一員として働き始めた。
この人から当たってみよう。
「ねぇ、おば――っと、魔術師ギルドの準会員ラムリーザです、よろしく」
危ない、またおばさんと言って怒られるところだった。
この人はセレーナといって、錬金術師らしい。錬金術ね、残念ながら金は作れないよ。でもその研究が、いろいろな物質を発見することに繋がるからがんばってね。
さっそくジ=スカールについて尋ねてみる。
しかしセレーナは、ヴォウラナロとジ=スカールが楽しんでいるだけで自分は関係ないとか。話があるならその二人に聞いて頂戴、とのことだった。
ジ=スカールは行方不明だから、ヴォウラナロに聞いてみるしかないじゃないか。
折角だから、ついでにブルーマについて聞いてみる。
ブルーマにはノルドという種族が多く住んでいて、セレーナのようなハートランド出身者を良い目で見ていないらしい。
ノルド、ハートランド、ん、わかった。よくわからないけど、とりあえずわかった。
あと、ヴォウラナロはユーモアのセンスは褒められたものではないけど、剣を召喚するとか良い呪文を持っているらしい。
それは面白そうだな、剣を召喚ね。それは興味が、ある。
さて、ヴォウラナロと話をするか、それが手っ取り早そうだ。
このギルドでは、地下が居住区になっているらしく、メンバーは地下で生活しているとか。
魔術師って地下に潜りたがるよね?
どこぞの国では、国王が大事にしているアミュレットを盗み出した魔術師が、地下迷宮に篭った事があるとか。
狂王の試練だっけ? なんだっけ?
まあいいや、ヴォウラナロを探そう。
ヴォウラナロは、地下にある実験室でなにやら書き込み作業をしていた。
「こんにちは、ラムリーザでした」
なぜ過去形で話しかけるんだ俺は……。
「スペルが必要? リチャージが必要? 冴えた悪ふざけが必要? このヴォウラナロなら全て揃っているよ」
よかった、この人は過去形を気にしていないようだ。
とりあえずブルーマについて聞いてみる、本題に入る前に世間話から入るのは会話の常套手段だ。
何々? この地は少しばかりたくましすぎる? ノルドは毛の無い熊みたいなもの? なんやそれ、気持ち悪いな!
さて本題、ジ=スカールについて知ってることは無いかな? と。
ヴォウラナロは、ジ=スカールを探しているならば、まずは頼みごとを聞いてくれと言ってきた。さらに、この件はジーンヌに言わないでくれと。
ジーンヌ? あ、ギルドマスターのおばさんか。別に黙っていてもいいけどね。
どうやら「イタズラ」に手を貸してくれれば、ジ=スカール探しに協力してあげると言っているが、お前実はジ=スカールの居場所知っているだろ? 何か裏がありそうだな……
んでもって、「開錠スペル」を教えてあげるから、ジーンヌの机を開けて「魔術の手引き」を取ってきて欲しいと言うのだ。
ジーンヌの部屋は二階にあるので、教えたスペルで机の鍵を開けてその本を取ってくる、しかし誰にも見つからずにやってくれ、だとさ。
とりあえず開錠スペルね、教えてもらおうか。
金を取るのかよ?!
しかも368G、俺、48Gしか持ってねーよ! ダメじゃん!
仕方が無いので、他の方法でなんとかすることにする。
二階ね、魔術師ギルドの最初の仕事で、まさか盗みをすることになるとはな。
これって、盗賊ギルドか何かの間違いじゃないんでしょうかねぇ……
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