洞窟を通り抜けた先はやはり知らない場所だった
洞窟を通り抜けた先は、やはり記憶に無い世界だった。
少しばかりは、洞窟を抜けると何かを思い出せるかも、というのを期待していたが、そうそううまくいくものではないようだ。
しかし嫌な予感だけは続いている。なぜかだって?
遠くてよくわからないが、見たことも無い茶色い生き物と、赤黒い巨大な昆虫みたいなのが争っているんだ。
よーくみると、もう馴染みになった野蛮な奴も居る。ダメだこりゃ……
めんどくさいので、爆発魔法を一発ぶちこんで、得体の知れない生き物を一掃しておくことにした。
うん、怖い、気持ち悪いw
こんな生き物は確かに見たことは無い。いや、見たことあるのかも知れないが覚えていない。
しかし、さっき洞窟で殺された人は、なぜこんなところに居たのだろうか?
ひょっとして塔の住人で、帰る途中だったのか? 今となっては何もかも遅いが……
ここにも石像があった。鎧を着こんで剣を持った人物。
あ、剣の一本でも持って来ればよかったかな? 使わないけど。
ひとまず先に進もう。
何があるのか分からないが、ここは山の上らしい。山を降りれば、人の住む場所にでられるかもしれない。
そう思いながら進みだした矢先に――
ん? 襲われているのか?
なんだかよくわからないが、何も無い空間から突然光り輝く玉が現れたかと思うと、熱線を浴びせられ――いや、熱くないぞ?
そのまま通り過ぎようと思ったが、何かに引っかかって進めない。何か居るな?
よく分からないままに反撃してみる。すると、今度は別方向から熱線が――いや、熱くないけど。
光り輝く玉の正体は不明、しかし何か攻撃してくる。
相手の正体が、まるで分かりません……
しばらく攻撃していると、光の玉は力を失って、同じように光る屑へと変わったが、その屑は山肌を滑り落ちていって見失ってしまい、結局なんだったのか不明だった。
なにか霊的な物か? それとも魔法生物か?
どちらにせよ、見えにくい相手はやっかいだ。
………
……
…
山を降りるまでは、何度か妙な生き物に襲われたり、それ以外に人の気配は全く無かったが、平地にたどり着くと、そこは石畳で舗装された文明的な通路になっていた。
さらに、立て札まであった。これは、人が住んでいないかな?
何々?
「ブルーマ」でいいのかな?
矢印の方向に進めば、「ブルーマ」と言う場所にたどり着くのですか? 囮怪獣ですか? ってそれはプルーマか。
なんか要らんことだけ覚えているが、とりあえず人が書いた文字なので、この先には文明があると信じて、俺は石畳の道を進んでいった。
しばらく進むと、大きな建物が見えてきた。
やった、これで助かったかも?
あの野蛮な奴の街だったら悲惨だけど、同じような人間も居たんだ。
あの洞窟で殺された人が住んでいた街だと信じたい。
そう思いながら、俺は大きな街目指して進んでいった――
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